2012/2/19  15:35


「どうやら春が来たらしい。」

本屋で何気なく手に取った小説がそんな書き出しから始まっていた。
何の変哲もないその一行がなぜか私の頭に強く焼きついた。

ついこの前までとは何かが違う・・・

その気配に気づく時、人は「どうやら〜らしい」そう思うのだ。

スーパーには雛あられが並び、ピンク、黄色、緑、色とりどりのあられと
桃色のパッケージが春の訪れを告げ、
ところ狭しと積まれた商品の一角で明るいオーラを放っている。
まだ寒く殺風景な冬の世界にそっと彩を添える桃の花のようだ。

野菜コーナーでは菜の花がほろ苦い春の記憶を呼び起こしていた。
店のあちこちで新しい季節がちらほら顔を出し始めている。

どうやら春が来たらしい。晴れ

職場の同僚と話をしながら
妊娠6か月の彼女のお腹を静かにさすってみた。
妊婦のお腹に触るのは初めてのことかもしれない。

まぁ〜るくて、やわらかくて、温かくて、
とても繊細な感じがする。

春に向け蕾を膨らませる花たちのように
お腹の中ですくすく育つ新しい命はまだ発展途上。
出て来るにはまだ早いのでもう少しお水の中で
プカプカしていてくださいませね。あかちゃん

仕事へ向かう私の前を手をつなぎ歩く父娘の姿。
お父さんはスーツ姿、仕事前に子供を保育園に送っていくのだろう。

歩く度、二つに結んだ女の子の髪がピョコン、ピョコンと跳ね上がる。
寒さに身をすくめ憂鬱そうに歩く大人たちの中で、
彼女の髪が作り出す軽快なリズムが楽しい春のイメージと重なった。
ふと見上げると桜の蕾がまた少し膨らんでいた。

重いコートを脱ぐ日もそう遠くはないだろう。

どうやら春が来たらしい。
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タグ:   気配




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