『ロビンとマリアン』 1976年アメリカ、イギリス
監督: リチャード・レスター
脚本: ジェームズ・ゴールドマン
撮影: デヴィッド・ワトキン
音楽: ジョン・バリー
ロビン・フッド ショーン・コネリー
レディ・マリアン / マザージャネット オードリー・ヘプバーン
ノッティンガムの代官 ロバート・ショウ
獅子心王リチャード リチャード・ハリス
リトル・ジョン ニコール・ウィリアムソン
ウィル・スカーレット デンホルム・エリオット
サー・ラナルフ卿 ケネス・ヘイ
タック修道士 ロニー・バーカー
ジョン王(リチャード王の弟) イアン・ホルム
ロビンフッドとマリアの年老いてからの恋を描いている。といっても完全にコミックである。おバカな二人の恋模様なのだ。
イギリスに伝わる歴史物語をパロディ化して見せる喜劇で、こういうのもまたイギリスらしさなのだろう。
すでに老いたロビンは戦闘姿も身体もだぶだぶでまったく様にならないのだが依然として義勇感だけは健在である。無駄な殺しはせず、かと思うと無謀な戦いに身をゆだねる、といったアンチリアリズムの戦士である。つまりはドン・キホーテなのだ。
故郷のシャーウッドの森に帰ると、恋人だったマリアンは修道院の尼僧になっていた。これはマリアン役のヘプバーン個人のパロディ化である。私まだきれい?とかなんとか、やはりおバカな女をやっている。もうストーリーなどどうでもいいのだ、ただ「帰ってきた」ヘプバーンとショーン・コネリーの顔見世興行なのである。
昔のように村人はロビンに反乱の指揮を頼みとするが、ジョン王の軍勢との闘いで代官と一騎打ちをするその無様さは、おかしくも悲しくもあるコメディタッチで描かれる。やっとこさ勝ったはいいが、結局はジョン王の軍に村は蹂躙されてしまう。なんのこっちゃい!
しかも一人だけマリアの住家に戻って手当てを受けるはずだったロビン、こともあろうかマリアが毒入りワインを飲ませて無理心中を図ってしまうのだ。バカだけじゃなく何と身勝手な女!ロビンは立って歩けるぐらいなのに、もう死が近いからと勝手に決めてしまったのだ。
信じられないという表情のロビンは、まあ惚れた女だからいいかとあっさり認めてしまうのだった。
ただ面白くしたいだけの映画だった。まじめなのはロビンにいつも付き従っていたリトル・ジョンだけなのだった。ま、この監督ならばこんなもんでしょ。漫然と楽しみたい人には、格好の娯楽映画である。
底に流れるのはアンチ・キリスト教の思想である。

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