続けざまに秋刀魚の夕食。
スーパーで勝手にすくうやつが一尾80〜90円で売っているのでつい買ってしまう。この時期どこで買っても身は締まっているし油はのっている。旬ということはこういうことだ。だからほかの魚を物色していても結局は秋刀魚の売り場に戻ってくる。この魚は飽きることがない。
いや、言うなれば「旬の魚は飽きがこない」というべきかもしれない。
それでもさすがに料理法を変えた。
三枚に下ろして塩を振り、小麦粉をまぶしてフライパンでこんがりと焦げ目をつける。皿の上でちょっと酢をふり、塩漬けのグリーンオリーブをころがして一緒に食べる。
いつも食う焼き秋刀魚は醤油だが、これは塩味だけがいい。
焼きサンマが基本で、こうやって秋刀魚をフライにしたりカツにしたり蒲焼にしたり、どうやっても食えるものができるのが大衆魚というものの良さだ。
アジ、イワシ、サケ、と今まで大衆魚であった魚がなぜか安く無くなってしまい、サンマは最後の砦になった感がある。
≪蕎麦(そば)と麩(ふ)≫
作り置きのそばつゆは昆布、煮干、椎茸を醤油とみりんでコトコト煮て作る。
これを薄めた中に麩を入れて煮立たせ、溶き卵を流してネギか香味野菜を刻んで散らす。これがおいしいスープである。
少し濃い目にこれを作って茹でた蕎麦にかけると、温かいどんぶり蕎麦になる。つゆは少なくして麩にしみこんだつゆと一緒に蕎麦を食べると、騒々しくすすらなくてもつゆは口の中に入って都合がいい。
蕎麦はすするものと言っても、やたらに大きな音をたてるのはやはり聞き苦しいものだ。

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