業界一のハードワーカーといわれたジェイムスブラウンがついに燃え尽きた。いっときも休むことなく燃え続けた人だった。労をいとわず動き続けた一方の革命児だった。
もちろんもう一方の革命児はサムクックだ。サムクックはすでに伝説の人になって久しいが、JBは今まで歌い続けた。彼らが同じ年の生まれだとは今さらながら驚きの事実だ。
昔ラジオのFEN(アメリカ軍放送)を、スピーカーに耳をつけて聴いていた。夜中の2時〜3時がソウルミュージックの時間帯だったから音量を上げることが出来なかったのだ。ぼくのラジオにはイヤホーンなどという物はついていなかった。ウルフマンジャックというガラガラ声のディスクジョッキーが曲のイントロにおっかぶせるようにしてがなっていて、頼むから初めから聞かせてくれよと思ったものだった。
(予断だが、そんな生活をしていたものだからサッカー部の朝練がある日などはまともに眠ることができずに登校し、授業中はいつも机に突っ伏していた。)
そんなラジオから流れてくる曲の中に、何か異質な音が二つ混じっていたのだ。
一人は女もう一人は男だった。その人が出てくると、ああまたこの人だと判り、しかしそれが誰かは分からなかったし知ろうともしなかった。とにかく次々と繰り出される曲にわくわくしていたのだ。それにしてもこの人たちはなんだろう?何かが違うのだ。
ずっと後になってからその謎は解けた。
女性の声はジャニス・ジョプリンだった。違うと感じたのは白人の声だったからだ。それにしてもすごい惹かれる歌だった。
そしてもう一人の男がジェイムス・ブラウンだと判ったわけだった。彼の場合は曲作りそのものが違うのだった。それは素人の耳にも異質な、そして魅力ある音と映ったわけだ。
ジェイムスブラウンの曲を聴くといつもその「出会い」が思い出される。あの衝撃は忘れることは出来ない。
その時ぼくはいろいろなミュージシャンと出会ったわけだが、彼らは次々とあの世に旅立った。その中の「大物」ではもう彼しかいなかった。
才能と人格は別、芸術と私生活は別だと感じさせた最後の人だ。
合掌

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