2015/2/20

100分de名著「ハムレット」  その他の映画・ドラマ・舞台

NHKEテレで放送中のシリーズ「100分de名著」。1回25分×4回=ひと月で100分で名著を解説します。去年の12月が「ハムレット」でした。ちなみに今月2月は「フランケンシュタイン」です。

ハムレットを見たのはNTLiveのニコラス・ハイトナー演出が私には初体験でした。その時の腑に落ちない物語だという私の感想がコチラ。その後戯曲も読み、デヴィッド・テナント主演のBBCTVドラマ版ハムレットも見てみたけど疑問はとけません。そこに回答してくれたのが、この番組でした。

正確に言えば、番組は1回しか見られなかったので、河合祥一郎著のテキストを読んでやっと納得が行きました。

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疑問@ ハムレットはなぜ実の母に失礼なほどに不貞だと責めたのか
疑問A ハムレットはなぜ求愛した女性であるオフィーリアをも謎の心変わりで死においやったのか


現代イギリスを見た私の先入観と、中世以来の騎士道精神から考えて、「ハムレットはなんて女性に意地悪なのか」と思いましたが、実は書かれた当時のイギリスは女性蔑視の社会だった。「妻は夫に従うべし」と聖書にあり、女性の貞節が重視された。男を惑わす女の肉体それ自体が罪だとさえ考えられていた。

は〜〜!こんな思考回路のハムレットを私が理解できないのは当然でした。
疑問@への答えには、この女性の不貞を悪とする(正確に言うと母は元の夫が死んだ後に結婚したので不貞でも何でもないんだけど!)社会風潮がひとつ。
プラス、復讐を誓ったハムレットは、人が人を裁く建前として「ヘラクレス」という当時の人間(男)としての理想像へ自分を近づけようとした、と言うのです。それは戯曲中にも出てきます。復讐=父の仇を討つだけでなく、「世の不正を正す」神の仕事である大事業を亡霊から引き受けてしまったとのことです。

「そんな身勝手な?!」と私は思いましたけど、父の幽霊に命じられた中世のデンマーク王子の考えることですから、当時の社会通念や理想像を知ったら、理屈ではパズルの凸凹がはまって行った感じがしました。

疑問Aのオフィーリアへ「尼寺へ行け」と言い放ったのも、彼女が魅力的なのでハムレットが性的対象として人間の欲望にかられてしまい、ヘラクレス理想像から遠ざかるので、自分の目の前から消えろという意味だそうで。

つまり叔父殺しを正当化するために、自分は神の存在にならねばならない、そのためには母の罪を正さねばならないし、罪そのものである女の肉体も避けなければならない、悩んで、女性を傷つけ死なせた末に復讐をとげ、自分も滅ぶ・・・・という、ギリシャ神話と聖書による理想を追求して闘った男の物語のようです。


これはテキスト著者の解釈です。シェイクスピアにとっては当時当たり前だったことは書かなかったのでこのような研究が必要なのですね。他にも多くの解釈がありましょうが、私にとってはありがたい疑問解消となりました。

ハムレットの心境をふまえて演技を見れば、役者さん達の解釈を推測したり表現の仕方に注目するという楽しみがやっとできます。

そうそう、ハムレットがオフィーリアの父ポローニアスのことを「魚屋」という謎の台詞があります。狂ったふりでの戯れ言かと思っていたら、「魚屋」が当時の隠語で「女郎屋」だったとのことです!自分がオフィーリアに恋してるからって、それで彼女を女郎呼ばわりはひどいと思いますけど、納得がいきました。

まったく、女の肉体に欲情してその対象を悪者扱いするとは、金に目がくらんで金の亡者となりあげくに金を責めるようなもの。弱きもの、汝の名は男。

色に惑わされる当代きっての色男達が演じる王子達、というのがハムレットの魅力だったのですね。(違います)


21:39追記
本日タイミングよく、バービカンのハムレットがNTLiveにてストリーミングされるというニュースが発表されましたね!ヨーロッパが10/15で日本は下旬とのこと。10/30金曜日スタートあたりかな?字幕は大体準備できるけど15日にどういう舞台になるか当日までわかりませんものね。イギリスではチケット発売や詳細は3/16からって、そんな前に・・・日本ではこれから発表されますので楽しみですね!しかし劇場や上映回数はいつもより増やして欲しいなあ。できたら夜の回だけでなくマチネも。最初のフランケンシュタインが完売という前例を作ったことだし、賢いナショナルシアター・ライブさんならきっと期待に応えてくださると思うのですがハート
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タグ: ハムレット



2015/2/20  21:38

投稿者:sofiaandfreya

hedgehogさん

そうなんです。あの番組は「入門書」でしょうから、テキストを読めば、ほぼ番組内容もわかりますよね。(苦笑)おかげさまでテレビは2回目以降忘れて見られなかったけど、このブログ程度のことはわかりました。

ロリレット(ああ、舌がまわりません)は、予習もなく見たので、物語を追うだけで終わってしまいました。その結果、「なんなのこの話!」と大憤慨しました。ベネレットには、心の底から期待しています。女性スタッフですしね〜

フランケンシュタインは、結構自習したので復習講座みたいです。
ところで入門書だから仕方ないんですけど、番組中に先生のお話を聞く
男性のタレントさんの反応が気になります。台本があるのかもしれませんけど。

2015/2/20  21:10

投稿者:hedgehog

しましまさん

私もあの番組は観ましたが、はりきって事前に予習しすぎたせいで番組の内容に新味を感じられないという、大層イヤな視聴者になってしまいました。で、今放送中の「フランケンシュタイン」については極力まっさらな状態で視聴しようと心がけています。

あの番組で語られたハムレットの解釈は、学者の説としては筋は通っているのですが、だからと言って今の観客が観て納得できるかどうかはまた別。「当時は女性蔑視が当たり前だったから」主人公の女性蔑視を受け入れろと言われても、観客としては納得できないですもん。だからこそ「ハムレット」をやる演出家や俳優は、今の観客でもすんなり納得できるよう特別な解釈とか演出を考える必要があると思うし、あのニコラス・ハイトナーとロリー・キニアはそのハードルを越えていたとも思うのですが、ともあれ今はベネディクトの奮闘を祈ってます。というか、信じています!

http://ameblo.jp/hedgehog42/

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