2016/7/29

シングストリート  その他の映画・ドラマ・舞台

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この映画のことを知ったのは、今年の3月か4月くらいのこと。海外サイトで写真とトレイラーを見て、青春バンド映画だ、面白そう、と思いました。しかし出演者に知っている俳優もなく、英国&アイルランド映画に詳しい人の多い私のツイッターTLでも誰も呟いてないので、この映画も日本には来ないのかなぁ残念、と思っていたんです。

それが1ヶ月ほど前に日本公開のお知らせがいきなり!おお監督さんが「はじまりのうた」の人ということで日本での実績のおかげでしょうか。前作は見てないけど今度のは80年代ロック盛りだくさんらしく、私の好きなジャムの「悪意という名の街」もフューチャーされていたのが決め手でGO!やっと行けました。

なあんとパンフレット2種(ということ自体なんか特別?)が売り切れていて、劇場の予測を上回るヒットだとうかがわせますね。


あらすじ:

1985年アイルランド、ダブリンは不況で、コナーの父は失業、両親は不仲、家計の事情で私立高から公立校へ転校する羽目になった。荒れた校風と厳しい校長に失意のコナーは、学校の近くで美人でオシャレなラフィーナに一目惚れし、「バンドをやってるからPVに出演してほしい」と格好つけてしまう。それから急遽兄をメンタリストに、校内でバンドを結成、曲作りとビデオ撮影にこぎつける。ラフィーナはオシャレセンスを生かしてメイクなどヴィジュアル面でも貢献し、いいチームとなってきた・・・しかし彼女には大人の彼氏がいて一緒にロンドンに行くのだという。


感想:

アイルランドが舞台で荒れた家庭と学校生活・・・ということでもっと暗い映画かと(映画版ビリー・エリオット的なちょっと重い感じの)思ってましたが、まるでミュージカルのようにテンポよく、ユーモアが効いてて楽しい映画でした。

14歳のコナーが兄にロックとは何かを教わり、精一杯かっこつけてバンド少年になったきっかけは、美人でかっこいいラフィーナだったけれど、いつも夫婦喧嘩が聞こえて来て節約のため暖房なしで寒い家や、学級崩壊してナショナルフロントみたいな暴力不良や校長にいじめられる学校での怒りや想いを歌うことで自己表現する男の子になっていく様子はかっこよかった。カセットテープに彼女のことを歌って渡すなんて、これはラフィーナも惚れるよね。

間に合わせのバンドかと思ったら、作曲もできる友達もいたおかげでコナーは作詞の才能も開花させたし、ただ黒人だからとスカウトした子もちゃんと楽器が弾けるし、かなり簡単にうまく行きすぎじゃ?と思ったのですけど、これはミュージカルなんだよ、と自分に言い聞かせると結構納得できました^^;

コナー役は演技は初めてという、リンゴのほっぺも初々しい主人公にピッタリな新人役者くんでしたが、バンドマネージャー兼PVカメラマンを演じた赤毛のチビの子がとっても可愛かったです。14歳というと、彼みたいにまだ成長期が来てない子供っぽい子ってクラスに一人くらいいますよね。

神父の服を着た校長先生がコナーを呼び出して、校長室のトイレでメイクを落とせと言った時、「スポットライト 世紀のスクープ」がとっさに頭に浮かび、あの校長が性的虐待をするのではないかと思ってしまいました。さすが深読みしすぎて国語のテストでいつも✖️だった私。だって先生はコナーのほっぺをペチペチして「メイクなしで十分イケメンだ」という意味のことを言ってましたし・・・

80年代のヒット曲やバンド名はどれもこれも知ってましたが、コナーのお兄ちゃんやバンドメンバーとの分析による曲の解説が新鮮でした。だってニュー・ウェイブとニュー・ロマンチックが音楽的技術的にどうのって考えたことなかったです。ベースとドラムのリズムが同じって言ってたのはジャムの曲だったかな・・・

兄ちゃんがリビングのテレビ見ながらデュランデュランのPVのカッコよさを解説してたのも新鮮。だってリアルタイムでは私の周りにニュー・ウェイブ好きな男子はいなかったんです。ちょうどコナーのパパが「ビートルズじゃないよな」なんて受け入れられないけど、ママは「あらカッコイイわね」と単純に興味を持ってたのと同じかも。だから真剣にデュランデュランを語る、ジョン・テイラーがカッコイイと言う男子は当時尖っていた音楽男子だけだったのかもですね。

80年代だったから、MTVの時代だったから、本気でヴィジュアル演出もトータルで考えたのがこの時代の楽しさでした。のちに、ロックはMTVのせいで魂を失った、なんて発言も音楽史上出てきますけど、まだ黎明期だったからみんな真剣だったのがいい。コナーたちの髪型やメイクもいちいち当時の新しいPVに影響を受けるたびに変わるのも可愛い。キュアのボサボサ頭はなかなか似合っていました(笑)。

アイルランド映画をよく見るようになった昨今でさえ、東の島国の私たちから見るとアイルランドなんて半分イギリスじゃん、と乱暴に思ってしまいがちなのですが、この映画を見てダブリンとロンドンは全く違ったんだなあと実感しました。文化的には近くても、ネット以前の80年代には、最新のニューウェイブはダブリンにはなかったのですね。それでも、海峡の向こうにウェールズが見えるアイルランドは、日本から見たら近くて裏山なんですけどね。

私も遠いキモノの国から、ロンドンのロックシーンにあこがれて飛行機に乗ったのが80年代ですから。とてもとてもコナーのような方法でロンドンに行こうとは考えもできない距離ですからねえ。






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