唸る特撮技術
今回紹介は
「美女と液体人間」です。
雨の降る東京で「三崎」というギャングが、麻薬の取引途中に行方不明となる。現場には脱ぎ棄てられた衣服だけが残されていた・・・事件を追う刑事は三崎の女「新井 千加子」に接触するが、そこに学者である「政田」が現れる。政田は、三崎の行方不明現場の状況から突飛な仮説を語りだす。それは、人間が溶けたというものだった。証拠として人間が溶けて生まれた液体人間を見たという人物が居るという。捜査が行き詰る中、次々と同様の事件が勃発し、いよいよ液体人間と事件の係わりが明らかになってくる。そして、液体人間掃討作戦が始まった。
本作は東宝が贈る
「怪奇映画」の傑作。何と言っても液体人間の
特撮描写が素晴らしい。スライム状の液体人間が壁や天井を伝う様が一瞬どうやって撮影しているのか?と疑問に思う程良く出来ている。CGの無い時代にこれだけリアルに動くスライム状の怪物を表現していた事が驚きである。この特撮技術を観るだけでもこの作品の
価値はある。
ストーリーは、この頃の特撮作品にありがちな「放射能」(線)由来の怪物が人間に襲いかかるというモノだが、ラスト近くまで液体人間の仕業と思わず、普通の事件として登場人物が動いてゆく所が面白い。観客は判っているのにキャラクターは判らない。(当然だ)これを引っ張りに引っ張って行く為、やっと気づいたか!とラストの対決が盛り上がる。
雨のロケーションや下水道等、液体人間が活躍出来る舞台設定と、暗くジメっとした画面、妙なSEと怪奇映画としてはこの上無い設定が揃っている。ホラー映画とは少し違う怪奇映画を観て、少し涼しくなってみるのも良いかもしれない。
「美女と液体人間」 1958年 日本映画
竜騎士採点(5点満点)
★★★★☆ 何回観ても面白い怪奇映画です。
お薦め!
女優度数(5点満点)
★★★★☆ ヒロイン「新井 千加子」を演じるのは
「白川 由美」。キャバレーの歌手を熱演。ラスト近く下水道の暗がりで服を脱いで
下着姿になってくれます。
セクシ〜。

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