今日は、楽器を吹くときの、音程感覚と、移動度読みについて考えてみたい。
なぜか、演奏の仕事と並行して始めた、サックス、フルートの教室業務が、割合として高くなっているという現実。
確かに、サックス、フルートを普通に譜面を読んで演奏するというほかに、コード進行などを理解して自由にアドリブできたら楽しいだろうという人はたくさんいる。どこから始めたらいいのだろうかと、手掛かりが皆欲しいのだ。
ここで、歌と楽器の違いについて考えてみる。たとえば、フライミートーザムーンという曲が、音程よく歌えるとして、歌だったら、2度だろうが5度だろうが、自由に上げたり下げたりして、違うキーで歌うことは簡単なことだ。
そのとき、頭の中では、同じ音程感覚で、メロディの移動を行っていると考えられる。
それがなぜ楽器だと難しいのか?たとえば、現存する12の長音階を、すらすらと歌うように吹けるには、移動読み的感覚が必要になってくる。また指使いも、#、♭がたくさんついてくると難しいのだが、それを固定度的に、ミ♭、ファ、ソ、ラ♭・・・という風に、頭の中で、ハ長調の音に操作を加えて、音を考えるのは、大変極まりない。ミ♭、ファ、ソ、ラ♭・・・をまるごと、ドレミ・・と考えるのが移動度読みであって、これが文部省の音楽教育の指導要領で取り上げられなくなって20年以上だ。若い人で移動読みができなくなっているのは、まことに残念なことだ。ジャズ教育もこれで20年は遅れることになっただろう。(泣)
初心者でも、一見、ちゃんとスケールを吹いているようで、頭の中ではちゃんと歌っていない人が多いという事実がわかって、実は愕然としている。
というのは、我々プロの世界では、あまりにも空気のように当たり前すぎて、それをやらずに済まそうという、音楽を無視した、音楽のやり方というのが、想像すら出来なかったからである。
まるで耳栓をしたまま、楽器の演奏をしようとしている、救いがたい勘違いをしている人が多いこと!!
しかも私の教室にもそういう人たちが存在していたというショック!!楽器は指で操作するので、音程を歌わなくてもある程度は演奏できるのである。でも、そういう、実際の音高活動を伴わない演奏は、正しい意味で音楽とはいえない、つまり壁はすぐやってくる。
私の教室は、来年から、歌っては吹く、聴音、視唱重視、徹底移動度読みの教室になる。
壁にぶち当たって、伸び悩んでいた人には朗報になるだろう、勘違いを改める気のない人は、置き去りにされることだろう

0