昨年末以来、見樹院の竣工引き渡し→引越→本尊遷座・入仏式→残工事・・・・と、忙殺され、ガザから来日したカウンターパートの責任者にも会えず仕舞い。ウィキリークスの情報や、それと関連したチュニジアをはじめとした世界の動きをなかなか追っかけることもままなりません。膠着したように見える中東和平ですが、こういうときこそ、細かい変化や動きをしっかり見て行くことが、市民としてのアプローチに重要だと思います。
以下、JPMAからのメルマガを転載します。
パ┃レ┃ス┃チ┃ナ┃最┃新┃情┃報┃110127
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛JPMAメルマガ
┏━━━━━━━┓
■□ ニュース速報 □■
┗━━━━━━━┛
カタールの衛星TV局「アル・ジャジーラ」と英紙「ガーディアン」が、ウィキリークスなどが入手したという膨大な文書を使って、パレスチナ=イスラエル関係の裏舞台を暴露しています。追い詰められたPLO=PA側が、驚くような譲歩案を出すが、強者イスラエルは、それをも蹴飛ばす。このような構図が読み取れます。個々の事実についてはさらなる検証が必要でしょう。しかし、「中東和平」といわれているものの実態、全体像をつかむ上では、なるほどと思わせる情報が多々含まれています。
チュニジアの「市民革命」をきっかけに始まったアラブ諸国での反政府・民主化要求運動は、いっそう拡大しています。ムバーラク政権成立以来の「戒厳令」が敷かれてきたエジプトでは、3日連続の反政府デモが行われ、参加者、死傷者も増えているようです。アラブの、腐敗した、親米独裁政権が揺れています。
この波と、パレスチナ=イスラエル交渉にかかわる一連の記録流出、報道がこの地域にどのような影響を及ぼしていくのか。目が離せません。
以下、1月20日以降のニュースです。
<注1>07年6月、ハニヤ氏はアッバース大統領によって首相を解任され、ファイヤド氏が首相に任命されました。また、アッバース大統領の任期は、09年1月9日で切れています。法的には、3氏の地位とも問題をかかえています。しかし、パレスチナ自治政府は事実上分裂しており、アッバース氏は、大統領としての権限を行使、ハニヤ氏はガザ政権、ファイヤド氏は西岸政権でそれぞれ「首相」としての職務を行っています。このため、引き続き、ハニヤ氏、ファイヤド氏にはいずれも「首相」、アッバース氏には「大統領」のタイトルを付すことにします。
<注2> 各ニュース記事末尾の(カッコ)内は、その主なニュース源です。必ずしも、元の記事の翻訳や抄訳ではありません。とくに断らない限り、Webサイト上の情報です。日本語ニュースの場合、固有名詞の表記などは、編集者の判断で変えることがあります。
<注3> この速報では、東京外大「日本語で読む中東メディア」と、フランス語紙翻訳グループ「ジャリーダ・ファランスィーヤ」による記事を時々利用させていただいております。編集者の責任で、記事を短縮する場合があります。
【1月20日(木)】
■ヘブロン地区の5戸に取り壊し命令■
同日のMaan通信は、ヘブロン南方スシヤ(Susiya)村の住民によると、イスラエル占領行政当局が、前日、同村の5戸に取り壊し命令書を手渡したと報じた。建物は、布やアルミ板などでつくられ、当局は「無許可建築」だとしている。
土地収用に反対する村委員会のヤーセル・アル・ジュブル氏は、この5戸が、パレスチナ人の土地につくられた違法な仮設入植地のある同村西北の渓谷にあるという。(1/20 Maan News)
【1月21日(金)】
■ビルイン村などで「壁」抗議行動■
「壁」建設に反対している西岸地区のビルイン村で、約60人が抗議デモ。目撃者によると、この日「チャンネル2」のTVチームが取材中、ガス弾の使用は控えめだった。
デモ隊は、「壁」反対とともに、支援のイスラエル平和活動家、ジョナサン・ポロック氏の釈放、活動家への嫌がらせを止めるよう要求した。
近くのニイリン村では、約40人(イスラエル軍発表)が「壁」反対デモ。軍は、両村で「暴動鎮圧措置」を取ったと述べた。
ニイリン村の東北東約20kmのアン・ナビー・サーレフ村では、近くのハッラミシュ入植地のための土地収用に抗議する住民が集会を開こうとしたが、軍が解散させた。
このほか、ベツレヘム南方のアル・マアサラ村ではエフラタ入植地に通じる道に住民が集まり、入植地拡大に抗議、ポロック氏の釈放などを要求した。
(1/21 Maan News)
【1月22日(土)】
(大きなニュースは無かった模様)
【1月23日(日)】
■◆パレスチナ側、エルサレム問題で大幅譲歩案――08〜09年の交渉◆■
同日付Guardian紙とAi-Jazeeraが入手した「パレスチナ関係文書」("Palestine Papers" )によると、パレスチナ側は、1967年に占領された東エルサレムのイスラエル人入植地存続を認めるなど、大幅な譲歩案を提示、イスラエル側に拒否されていた。「この前例のない提案は、パレスチナ人とアラブ世界全体にショックを与えた一連の譲歩のひとつ」だと同紙は報じている。
同紙は、引き続き、次のような秘密文書を公開すると予告した――(1)パレスチナ難民帰還権を含む、パレスチナ交渉担当者からの極秘譲歩案(2)アラブ系イスラエル市民を新パレスチナ国家へ移送することを求めた、イスラエル指導者からの私案(3)イスラエル治安部隊とPAの非公式な秘密協力(4)パレスチナにおけるハマース粉砕秘密計画策定で、イギリス諜報機関がはたした主要な役割(5)08年12月から3カ月に渡ったイスラエル軍のガザ侵攻を、PAの指導者たちが内密に知らされていたこと。
これらの文書によると、PLO指導部は、「ハル・ホマ」を除くエルサレムの全入植地のイスラエル併合を認めるほか、私案として、東エルサレムのアラブ人地区「シェイク・ジャラ」の一部を他の土地と交換することを示唆していた。
また、パレスチナ指導部は、エルサレム旧市内の宗教感情がからむ「ハラム・アッシャリフ」(ユダヤ教では「神殿の丘」)の所有・管轄権などについて合同委員会の設置を提案した。
これらの提案は、08〜09年にかけて行われ、サエブ・エラカートPLO交渉団長によると、世界最大の難題を解くため「エルサレムの最も大きな部分」をイスラエルに与えるものだった。
しかし当時のツィピ・リヴニ・イスラエル外相は、エルサレムの東側にある最大の入植地「マアレ・アドミーム」や西岸北部の大入植地「アリエル」が含まれていないことなどを理由に「われわれの要求に合致しない」としてパレスチナ側の譲歩案を拒否したという。
エラカート団長は、これらの文書について、「ウソと半分真実の山」("a bunch of lies and half truths" と評した。
元PLO交渉団法律顧問のダイアナ・ブットゥ(Diana Buttu)弁護士は、エラカート団長の辞任を求め、「もし、彼が辞めないなら、この交渉団がパレスチナ人の立場から如何に乖離しているかを示すだけだ」と批判している。
(1/23 Guardian)
<注>記事の全文は:
http://www.guardian.co.uk/world/2011/jan/23/palestine-papers-expose-peace-concession
――アッバース大統領支持者は反発――
ラーマッラーでは、アッバース大統領支持者数十人がアル・ジャジーラの現地支局に押しかけ、「お前らはスパイだ」と非難、イスラエル国旗に「アル・ジャジーラ」と書いて火を付けた。
アッバース大統領はカイロで記者会見、アル・ジャジーラが意図的に視聴者に誤解を与えたと批判、「はっきり言おう、われわれは隠しごとなどしていない」と語った。
アブドゥル・ラッボPLO事務局長は、「カタールは、西岸地区のパレスチナ指導部に反対するキャンペーンに『青信号』を出した。カタールは、ガザ地区を支配するハマースと親しい関係にある」と述べた。(1/24 Reuters)
■イスラエル「ガザ支援船団強襲は問題なし」、トルコは反発■
昨年5月31日のガザ支援船強襲事件を調査していたイスラエルの「トゥルケル委員会」は、イスラエル政府・軍とも間違った行動はしていないとする報告書を発表した。支援船「マヴィ・マルマラ号」は、「明らかに拿捕に抵抗したことで、軍事目標となった」としている。また、ガザ地区封鎖を合法だとしたうえで、ハマースに対する制裁が市民に犠牲を強いることにならないよう研究すべきだ、と述べた。
これに対し、トルコ外務省は声明を発表、「国際調査委員会が実証したあらゆる事実を無視していることに愕然とした」と反発。「イスラエルは、乗船者たちの自衛行動について再検証する十分な時間があったにもかかわらず、怠った」と批判した。そして「イスラエルの言うガザ海上封鎖にはなんらの法的根拠も正当性もない」と述べている。(1/24 Reuters)
【1月24日(月)】
■イスラエル中央銀行、0.25%の利上げ■
イスラエル中央銀行は、政策金利を0.25%引き上げて2.25%とすると発表した。利上げは昨年9月以来。声明文では「住宅市場など資産価格の推移を注視する」と述べ、通貨高を警戒する従来の立場から不動産バブルの抑制に軸足を移したことを明確にした。
イスラエルでは住宅価格が前年比15〜20%のペースで上昇しており「過熱した不動産市場の『軟着陸"が課題』(市場関係者)。中銀は金融引き締めを続け、年末までに政策金利を3%まで引き上げるとの見方も出ている。(1/25 日経)
【1月25日(火)】
■西岸地区でアル・ジャジーラのTVスタジオなど襲撃■
アッバース大統領に批判的な人物とアル・ジャジーラのインタビューが流された後、ナーブルスのスタジオに銃で武装した4人の男が押し掛け、コンピュータやファックス機などを破壊して引き揚げた。スタジオは、パルメディア社の所有。ここで、アル・ジャジーラは、大学講師アブドゥル・サッタール・カーシム氏との会見を生中継していた。
この日、アル・ジャジーラは、元自治政府内相が、イスラエル軍によるガザ地区のパレスチナ強硬派の暗殺に協力したらしいことを示す文書を報道。アル・ジャジーラの「パレスチナ関係文書」による一連の報道に、自治政府幹部は強く反発している。
ラーマッラーとエリコでは、最近、アッバース大統領の支持者によって、アル・ジャジーラの報道に抗議するデモが行われた。(1/26 Reuters)
【1月26日(水)】
■アメリカの圧力でPAはゴールドストーン報告棚上げに賛成■
08年12月から3週間に及んだイスラエル軍のガザ侵攻について、戦争犯罪容疑や国際人道法違反を指摘した、国連人権理事会の「ゴールドストーン報告」の採択が遅れたのは、アメリカの圧力でアッバース大統領が採決延期を認めたため――同日付Al-Jazeeraが「パレスチナ関係文書」を根拠に報じた。
ゴールドストーン報告は、当初09年10月2日の採択が予定されていたが、アッバース大統領は同案件の採決延期に同意、パレスチナ人やアラブ世界から激しく反発された。結局、同報告は翌10年3月の理事会で、賛成多数で採択された。
同文書によると、ゴールドストーン報告を審議する国連人権理事会の予定日から1週間前の09年9月24日、PLO交渉団のエラカート団長は、アメリカのジョージ・ミッチェル中東特使らと会談。ミッチェル氏らは、早期のパレスチナ=イスラエル交渉再開のため「関係当事者による包括的な合意」を用意していると述べ、人権理事会での投票延期に同意するよう求めた。
続いて、10月1日の会談で、ミッチェル特使らは、投票延期と引き換えに、イスラエルとの交渉ではパレスチナのためにアメリカがより積極的な役割を果たしたいと述べた。
翌2日、アッバース大統領がニューヨークを訪問、PAは、交渉のために有用な雰囲気づくりを進めるため「国際法に関わる会議で、このような雰囲気を害するような直接的・間接的な動きを推進したり、支持したりしない」というアメリカが示した文書に、アッバース、エラカート両氏が同意し、人権理事会での投票延期に同意した。
ところが、パレスチナ側の投票延期同意は、アッバース大統領が「イスラエルのガザ攻撃に協力したことを示すテープを公開する」というイスラエルからの脅しに屈したからだというリーベルマン・イスラエル外相のリークがあり、同大統領の顔は丸つぶれになったという。(1/26 al-Jazeera)
<注>Al-Jazeeraは、関連文書を多数紹介しています:
http://english.aljazeera.net/palestinepapers/2011/01/2011126123125167974.html
(出典:Al-Jazeera、Guardian、Maan News、Reuters、日経)
┏━━━━━━━━┓
◆■ サイトの紹介 ■◆
┗━━━━━━━━┛
占領の実態をより知るために
UNOCHA(国連人道問題調整事務所)のWeekly Reportによれば、1月12日から18日の1週間に、イスラエル軍や警察によって西岸で19人が負傷しました。また入植者による暴力行為もあとを絶たず、同じ1週間に6件の事件が報告されています。さらにヘブロン郡のベドウィン村で13の建築物がイスラエル当局によって解体され50人が追い出されたと報告されています。このようなことは占領下において日常に起こっています。メルマガでもしばしば占領の実態をあらわす事件を報道しています。しかしながら、ひとつの事柄を掘り下げて報道されることは、なかなかありません。
Women's Center for LLegal Aid and Counsellingという団体が、占領下のパレスチナにおいて、女性が受けてきた人権侵害の報告書(2009年)をまとめました。
http://www.wclac.org/english/publications/book.pdf
80ページにわたる英文の報告者ですが、その翻訳が「平和をめざす翻訳者たち」(Translators United for Peace)という団体が翻訳し、「女たちの証言−−占領下パレスチナで生きるということ」という証言集としてまとめていて、日本語で読むことができます。
http://www.tup-bulletin.org/
「暴力」「移動の自由」「住居と家族の離散」「家屋の取り壊し」の4部構成になっていて、「暴力」の4回分がすでに発表されています。。メルマガ(無料)でも配信して、サイトから申し込めます。
┏━━━━━━━━━━┓
◆■ 公開講座のご案内 ■◆
┗━━━━━━━━━━┛
創立25周年
日本パレスチナ医療協会主催
第46回 公開講演会
パレスチナ西岸地区における中小零細企業の実態について
ー占領政策下でパレスチナ企業が強いられる課題ー
スピーカー:岩浅紀久
パレスチナでは、イスラエルによる占領政策が多くの課題をもたらしています。1.隔離壁による地域の分断、2.検問所による人の通行の制限と物資の検査による自由通行の制限、3.国境管理における輸出入および人の出入りの制限、4.A地区、B地区、C地区へと分断されたことによる行政とセキュリティのまちまちな管理、5.地域内のパレスチナ人家屋の破壊と入植地建設。これらが中小零細企業にどんな影響をもたらしているか、現地調査を行い、パレスチナの中小零細企業が強いられているさまざまな困難が明らかになってきました。物流に焦点をあてて実態についてお話しいただきます。
日時:2月19日 18:00−20:00 (開場17:30)
会場: JICA地球ひろば セミナールーム202号室
〒150-0012 東京都渋谷区広尾3−2−24
電話 03−3400−7717
資料代:800円
交通案内:東京メトロ日比谷線広尾駅下車(3番出口)徒歩1分
地図:
http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html
主催:日本パレスチナ医療協会(JPMA)
問い合わせ先:090-2167-4802、jpma@keb.biglobe.ne.jp
岩浅紀久(いわあさ・としひさ)氏のプロフィール
日本IBMのSEとして多業種にわたって数多くのシステム設計を手がけ、後に本社SE部門のマネージャー、社内研修、経営管理等にたずさわる。25年の勤続の後、日本フィリップスの情報システム部長として、関連会社やオランダ本社のシステムとも連携をもった全社システムの再構築を完成した。8年勤続の後、システム設計の専門会社であるベンチャー企業「ITエンジニアリング研究所」を立ち上げる。2009年にはJICAプロジェクトの「Palestine/Assistance of Small & Medium Sized Enterprises」のメンバーとして、西岸地区における中小零細企業の実態調査に、物流調査の専門家として参加。
電子情報通信学会正員、NPO法人ビジネスキャリア協会理事、日本ボランティアセンター(JVC)会員、パレスチナ子どものキャンペーン会員、日本聖公会信徒。
┏━━━━━━┓
■◇催し案内◇■
┗━━━━━━┛
《ノートン・メズヴィンスキー大阪講演会》
アメリカはなぜイスラエルを支援するのか?
〜「中東和平」挫折の背景〜
メズヴィンスキー氏は、アメリカのキリスト教徒の中にあるイスラエル支持の潮流ーキリスト教シオニズムーに関する研究書をまもなく刊行されます。パレスチナ/イスラエル研究の第一人者である氏の最新の研究成果をもとに、アメリカの親イスラエル政策の政治的・歴史的背景について講演をしていただきます。
●日時:2011年2月6日(日) 14:00〜16:30(13:30開場)
●会場:大阪市立住まい情報センター5F研修室
(地下鉄「天神橋筋六丁目」3号出口より連絡(北区天神橋6−4−20)
●資料代カンパ:1000円
●主催:パレスチナの平和を考える会 (Palestine Forum Japan)
◆電話:06−7777−4935 (オフィスSORA内)
◆Email:palestine.forum@gmail.com
◆URL:palestine-forum.org
■講師プロフィール■
セントラル・コネチカット州立大学名誉教授。専門は、中東研究、パレスチナ/イスラエル問題など多岐に渡る。シオニズムに対するラディカルな歴史研究で有名。2009年、アメリカ政府、市民社会に対して中東に関するより正確な情報を提供するシンクタンクとして中東研究世界協議会の設立に中心的に関わる。著書に『イスラエルにおけるユダヤ教原理主義』(1999)『反シオニズム:分析的考察』(編著、1988年)など多数。2011年1月には、『キリスト教シオニズム』を発売予定。
......................................................
★このメルマガは無料です。メルマガ配信を希望される方、
送信先を紹介してくださる方、不要な方、突然メルマガが途切れた方は、
いずれもご遠慮なくjpma@keb.biglobe.ne.jp までお知らせください。
●このメルマガは自由にご転送ください。
***********************************************
日本パレスチナ医療協会
Japan Palestine Medical Association (JPMA)
発行人:奈良本英佑
編集人:奈良本英佑・長沢美沙子・森和信
E-mail : jpma@keb.biglobe.ne.jp
Home Page :
http://www7b.biglobe.ne.jp/~jpma/
TEL: 090-2167-4802
住所:〒272-0816 千葉県市川市本北方2−6−5
***********************************************

0