浄土宗の法要次第でも、本題の経典に入る前に「懺悔文(さんげもん)」を唱えます。
よいことをする以前に、私たちは無意識にも罪を犯していることを認め、反省する必要があるからです。そして過ちを犯す原因は、我々が生来的(あるいは前世から)に持っている3つの弱点、つまり「貪」(貪り)、「瞋」(怒り・憎しみ)、「痴」(無知)の「三毒」(さんどく)に起因しており、さらにその過剰な欲望に駆り立てる原因は何か、憎しみの感情がどこから来るのか、真実を見えにくくしているものは何か、と掘り下げます。自らに内在する「機」を見つめるのと同時に、三毒を煽るメカニズムを見極めることも必要です。
人間が引き起こす戦争やジェノサイドは、これら三毒が支配されることで引き起こされてきました。それに抗うため、仏の慈悲と智慧を学び、実践するのです。そのテキストが私にとって浄土経典であり、日本国憲法であり、世界人権宣言をはじめとした国際条約でり、そして何より虐げられ、踏みつけられていう人々の声なき声なのです。
そんな思いで、1年間の懴悔総決算である年末の「仏名会」(ぶつみょうえ)に当たり、この声明を受け止めています。

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