一方、白竜の背中の上では・・・
サチコ「わかった!大石には大石を!大石の所へ行って!」
カムカム「大石?」
ひろ子「はい、はい、ほら、あれ、見祢の大石(みねのおおいし)でしょ!」
おひょう「ほう、そうか!それだ、それだ!観光スポットにもなってる!有名な見祢の大石」
サチコ「そう、それよ!」
白竜は、必死で見祢の大石の元へたどり着くと、見祢の大石を口にくわえました。そして再び飛び立ちました。
そのとき、ひろ子さんの腕の中でおびえていたチビが今まで聞いたことのないような大きな声で遠吠えし始めました。
その声は悲しげで、それでいて美しく遠くまでよく響きました。「ウォーン、ウォーン」
それに答えるかのように猫啼温泉から、二つの白い光が猛スピードで飛び出てきました。
二つの白い光の玉は、真っ赤に燃え盛る猫石をも追い越して白竜の口の中の見祢の大石へ、吸い込まれて行きました。
見祢の大石は生き物のように勝手に白竜の口から飛び出すと、猫石にむかって真っ直ぐに飛んでいきました。
チビは、さきほどの遠吠えなど、まるで知らないかのように、ひろ子さんの腕の中で、おとなしくなりました。
サチコ「チビが、何か守り神のような・・なんだろう?呼び出したヮ!見祢の大石の中にはいったヮ!」
ひろ子「守り神?」
カムカム「そりゃ、狼神様かなあ?」
おひょう「ああ!二つあったなあ!チビのお父さんとお母さんじゃ!」
サチコ「そう、そうだわ、とっても、やさしくって、力強いから!」
真っ赤に燃え盛る猫石と、まっ白に光輝く見祢の大石は、一直線にお互いに向かって飛んでいきます。

0