我が家の選択  5) 日本との適応

我が家の選択

海外に住む日本人にとって「親のキャリア」と「子供の教育」を両立させる問題は常について回るものです。

日本国内で転校をするだけでも、新しい学校の学習進度や環境に溶け込むのは大変な事です。ましてやそれが、言葉や文化のまったく異なる外国への移転は、人間関係や環境、教育システムの変化だけでなく、状況によっては子供の「母国語」までをも変えさせなければならない場合もあり、海外生活は来る時も大変だが、帰る時もまた大変です。

こと教育の問題に至っては、子供の持って生まれた資質や能力、何歳で来て何歳で帰るか、親は両親とも日本人か、そうでないか等、それぞれの状況によって異なるので、「これが一番正しい方法」というものが存在しないものです。だからこそ、教育に対する親の正しい知識や認識、判断力が必要不可欠となります。

そんな時「よその家では何を決め手とし、どんな選択をしているのだろう。」という実際例をちょっと覗いて見るのも、時には大変参考になるものです。そこで今回は実際の「選択例」を幾つかご紹介致します。


田中家の選択
ドイツに駐在して5年になる田中さん
ご一家は、奥様と3人の娘を引連れて2000年8月に着任し、長女(17歳)がインターナショナルスクールを卒業する2006年6月に家族共々帰国する予定でした。しかしながらこの春に本社のある部門のポジションをオファーされ、熟考の末に受入れることを決められたのだという事です。従って、田中さんは長女、三女(小6)奥様の3名と犬一匹を来年6月迄ドイツに残し、単身での帰任となります。

因みに次女(高1)は田中さんの元々の任期を考慮して、今春に家族より一足先に帰国させ、京都の高校大学一貫教育の高校へ寮住まいで通わせています。今回の田中さんの帰任により、田中家の5人と一匹は、広島、京都、デュッセルドルフと国内外で「一家離散状態」になります。

田中さんがこの意思決定をするに当っては、次の点を考慮されたそうです。
先ず娘たちの教育及び将来について。
長女はインターナショナルスクールで習得した、日本の平均的高校生より若干優るであろう英語力と国際感覚を持って日本の大学へ帰国子女進学を予定。次女は今のペースで勉学と部活動に励み寮生活をエンジョイし、三女はドイツでの生活、日本人学校で学んだことと友達を大切にし、こちらで卒業式を迎えさせてやりたい。他方、田中さんはこれまでの業務経験が充分生かせる広島本社の新たな部門で心機一転頑張りたいとのこと。因みに今回の選択は、グローバルに家族を支える奥様の存在なくしてはあり得なかったとのことです。

ということで、8月末から田中さんご一家の新しい生活がスタートします。家族がそれぞれ、別々の道を歩まれて、それぞれが成長し、更に家族の絆が強くなるであろう事を心から願っています。

タイマンス家の選択
ご主人がベルギー人であるタイマンスさんご一家はご主人の仕事の関係で、しばらくはアメリカに住んでいました。でもアメリカの教育レベルは予想以上に低く、「アメリカ」という文化も歴史もなく、しかも危険な環境で暮らしていくストレスは何事にも変えられないという事で、ご主人は欧州勤務を希望して、英国に転勤となりました。

しかし英国はアメリカに比べて物価も高く、子供の私立の教育費や税金など、生活費全般がとても上がり、あまり満足のできる生活ではありませんでした。と同時に、タイマンスさんは仕事柄、各国を転々とする今の状況と、このままではベルギー人の父と日本人の母を持つ子供の母国語が、両親どちらの母国語でもない「英語」となってしまう事への危惧も強く感じていたという事です。

お子さんも6歳となった今、子供には一貫した教育システムとアイデンティティーを与えてやりたいと決意し、タイマンスさんはご主人の母国であるベルギーを「子供の教育の場」として選択する事にしました。

しかしご主人の仕事場が英国にある事は変えられません。仕方なく、今はご主人は英国に単身で残り、奥様とお子さんはベルギーで暮らして学校に通い、ご主人は週末にベルギーに帰って来るという生活スタイルを取る事にしたそうです。

お子さんはそれまで「英語」で教育を受けてきたので、母国語を変えさせるのは大変だし、言葉ができないことで苛められたり、つらい思いをする事もあったりしたとか。その涙を見た時、タイマンスさんは、「親の都合で、一度は変えさせた母国語だが、もう二度とこんな事はしない。この子が流したこの涙を絶対に無駄にはさせない。」と心に誓ったのだそうです。そして「今後、子供にはベルギーの教育システムで一貫した教育を受けさせ、ベルギー人としての文化と誇りを身につけさせる」と、硬く決意したという事です。

それぞれの家庭で、それぞれの状況に応じ、それぞれの基準によって決めた、それぞれの選択。状況の変化に直面して、あれこれ悩むことはあっても、結局は「何が一番大切なのか」という「人生の急所」さえ押えていれば、自分が選択するべき道は自然に見えてくるものなのだと思います。


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