2014/3/15
兵庫県立美術館で現在展示中の
ポンピドゥーセンターコレクション展
「
フルーツ・オブ・パッション」を鑑賞。
ポンピドゥーセンターは行ったことがないし
現代美術は結構好きだから、楽しみで。
巨大なキャンパスをグレーに塗っただけとか
さすがに訳の分からないものも多いけれど
訳が分からないなりに、面白かったりして。
中でもわたしが一番気に入ったのは
「エコー」と題されたツェ・スーメイの映像作品。
切り立った険しいアルプスの岩肌に面した
緑の草に覆われた崖の上にイスを置き、
チェロを抱えてぽつんと座る女性の後姿。
圧倒的な自然を前にあまりに小さな存在。
ところが、その女性がチェロを弾き始めると、
峻厳な山々から次々とこだまが鳴り響き、
こだまがこだまして、それがまたこだまして
響き渡る、重厚で荘厳なハーモニー。
しばらく手を止めて、鳴りやむのを待つと、
女性はまた違うメロディーを弾き、
山々がまた何十奏ものハーモニーで応えて。
それはまるで、人間と自然とが
会話しているかのような、不思議な感覚。
同時に、無に等しい位の小さな存在でも
水紋が水面に広がるように、
山全体にこだまを響かせるように、
何かを生み出せる力があると示しているよう。
第50回ヴェネチア・ビエンナーレで
金獅子賞を受賞したというこの作品は
見ている最中よりも、むしろ後になって
静かな感動がこころに広がるような味わい。
この作品に出会えただけでも
見に行った甲斐があったと思えました。

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