ダラダラ中につきカメ更新 感想など、ちょろっとでも書き込んでいただけましたら泣いて喜びます🎵

2022/1/20  22:00

拍手SSのはずが…  小説

紆余曲折ありましたが、「鬼神」どうにか完結させることが出来ました。この度は長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

で、ひとつ前の記事に書いたとおり、拍手SSにしようと思っていた「鬼神」の後日談ですが、思ったより長くなってしまったので、こちらに掲載します。




「戻りました。シェールは?」

出迎えに立ってくれた妻に、挨拶代わりに尋ねるのは決まって息子のことだ。

「時間どおりお稽古から戻って、今はお部屋に。どうぞご安心くださいな」

妻は笑った。毎日飽きもせずよく同じことを問うものだと、呆れているに違いない。

「そろそろ子離れすべきだと、頭ではわかっているのだが」

「あんなことがあった後だもの。仕方のないことだわ。そうそう、今日はシェールくんを送ってダルトンが来ました」

「ダルトンが?何でまた」

「今夜はエヴァンズ先生が夜勤だとか」

「何もそこまでしてくれなくとも………さては、例の件をダルトンに話したな」

「情報の出所はミゼットさんかもしれませんよ?」

「確かに、ダルトンが戻っているということは、当然彼女も…」

「お二人はどこかにお出掛けだったのですか?ダルトンは、一足先に自分だけ解放されたようなことを言っていましたが」

「詳しいことは知りませんが、しばらく城外へ出ているような話でした」

ある程度まとまった期間、城外任務に就いていたのなら、帰ってからもやることがごまんとある筈だ。それを下っ端とはいえ、多少なりとも戦力になる部下に暇をやるとは、いかにも気っ風の良い彼女らしい。

「立派に成長して、頼もしい限りですね」

「あいつらに救われる日が来るとは、あの頃は思いもしなかった」

「あら、昔からあの子達は、ジョージア先生が大好きでしたよ?もう、そんなに嫌な顔しないでくださいな」

「あいつらに好かれようなどとは微塵も思っていない。思ってはいないが…」

そのせいで家族に危害が及ぶのなら話は別だ。

「大丈夫ですよ。殆んどの子はまともに育っています。今回のことにしても、あなたのせいではないわ」

「だが、もう少し注意深く見ていたら、あそこまでいく前に異変に気付けたかもしれない」

「仮にそうだとして、相手がいわゆる二世なら、何を言ったところで上は聞き入れない。これまでも、ずっとそうだったわ」

長いこと近くで働いていただけあって、流石によく見ている。これにはぐうの音も出なかった。

「辞めたくなりました?」

「やりきれない思いがやりがいを越したら、あるいは…」

「でしたら、そのときはまた旅に出ませんか」

「はい?」

場違いなほど明るい声に、目が点になった。

「その日暮らしをしながら、何物にも縛られず当てのない旅をする。憧れたこと、ありません?」

生まれてこの方、一度もそのようなことを考えたことはない。いついかなるときも安定志向なのが常である。だが、目の前で楽しそうに夢想する妻を見るにつけ、ほんの少しだけ心が揺れた。

「全くありません。が、今初めて、それも良いかもしれないと思いました」

「でしたら、楽しみにしていますね。そのときが来るのを」

連れ合いが無職になろうがまるで意に返さない。どうやら自分は、想像以上にたくましい妻をもらったようである。

おしまい


これまで私が描いていた彼らの未来予想図として、鬼のミルズが田舎に引っ込んで、二代目オニがその後を継ぐというものだったのですが、ここへ来て、ユリアとふたり放浪の旅に出しても良いかなと考えたりしています。

元軍人の肩書きはつぶしが効くので、日雇いで仕事をしながら、ユリアさんの本職である史跡をめぐったりしたら楽しそうだなって。
12



2022/1/23  21:51

投稿者:そら

Tさま
ありがとうございます🎵長いオマケ、お楽しみいただけたようで良かったです。
タリウスの説教は、半分は自分に言っていたのかなぁと。なんせ一番不合理な目に遇ってますもん。そして、「規則には守るべき理由が〜」より後のセリフは、普段のタリウスならまず言いません。だって、彼にとって規則は絶対だから。だけど、ザックの性格的に頭ごなしに黙らせてもひずみが生まれるのがわかったから、気持ちを認めつつ、折り合いつけさせたほうがおさまるかなと考えたのだと思います。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ