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2021/9/7  2:58

【指環】2  小説(再掲)

「怖がらせて申し訳なかった」

人目も憚らず泣きじゃくるユリアに、タリウスはひどく動揺した。ともあれ彼女を落ち着かせようとその場に膝を折り、そっと髪に触れた。

「違うんです」

「はい?」

「そうじゃなくて、わたし…」

ユリアが懸命に話そうとするものの、嗚咽に紛れてよく聞き取れない。

「大丈夫ですか?ともかく帰ろう」

「帰れません」

「どうして?」

「だって…」

ふいに、近隣の民家に明かりが灯るのが見えた。まずい。そう思った矢先、またひとつ明かりが増えた。

「やむを得ません」

タリウスはランタンを手繰り寄せ、腰に掛けた。

「え…?」

そして次の瞬間、ユリアの身体が宙に浮いた。

「えっ?!」

まさかの事態にユリアは驚愕した。

「騒がないでください。これではまるで、本当に誘拐している気分だ」

「誘拐って…」

タリウスはあわてふためくユリアを抱き抱え、暗がりをずんずん進んだ。

「そう思われたくなかったら、少し静かにしていてください」

ユリアは、この段になってようやく状況を理解したのか、急速に大人しくなった。そうして間近に聞こえた鼓動に、顔を赤らめた。


「何があったのか尋ねても?」

数分後、ユリアを居室へ戻したところで、タリウスは再び疑問を口にした。

「ごめんなさい。私、指輪をなくしてしまいました」

「指輪って、あの?」

思わず聞き返すと、ユリアは無言で肯定した。

「勘弁してくれ」

タリウスは唖然として、考えるより先に言葉が口をついて出た。まるで身体中の力が抜けていくようだった。

「ごめんなさい」

「ああ、いや、そういうことではなくて」

自分の言葉に責められたと感じたのだろう。ユリアはほろりと涙をこぼした。

「泣くようなことですか」

「だって」

ユリアは左手の薬指を恨めしそうに見やった。そこには、数日前にはめたばかりの小さな石が光っている筈だった。

「元々あの指輪は魔除けのつもりで贈りました。あなたの代わりに指輪が厄災を引き受けてくれたのだとしたら、それはそれで構わない」

石には、古来より持ち主を災いから守る力があると信じられている。それ故、石が割れたり、なくなったりすることは、殊更悪い兆候ではないとされていた。

「でも…」

涙に濡れた瞳が忙しなく瞬く。

「それでも諦めきれないと言うなら、明日一緒に捜します。その上で、見付からなければ、また代わりのものを差し上げます。心配しなくとも、そのくらいの甲斐性はありますよ」

「いいえ、それではあまりに申し訳ないです。それに、そういう問題では…」

「確かに、そういう問題ではない」

そこでタリウスは意図的に声音を変えた。

「はい?」

ユリアが身構える。それが何を示すのか、彼女は本能的にわかっている。

「指輪を失くしたのは、不可抗力でしょう。もとより責めるつもりはありません。ですが、仮病まで使って、こんな時間に無防備に指輪を探し歩くなど、正気の沙汰とは思えません」

ユリアはしゅんとなり、それから、ごめんなさいと言ってこちらを見上げてきた。

「時々あなたが子供に見えて仕方がない」

「だって」

自分でもそう思ったのか、言い掛けてユリアは目を伏せた。タリウスには、その姿が言いようのないほど愛おしかった。

「さて、悪いことをした娘は、どうなるんですか」

「それは…罰を…いただきます」

「あなたにはどんな罰が相応しいと?」

「そんな、タリウス。意地悪言わないで」

「いいえ。これは躾です。ユリア、来なさい」

真っ向からユリアを見詰め、あえて厳しく命じた。彼女は小さく返事を返し、ほんの少し躊躇った後で、自らスカートをたくし上げ、下着に手を掛けた。

彼女の躾を請け負うようになって随分経つが、これまで一度たりとてそんなことを命じたおぼえはない。それだけに、彼女が本心から悔いているのがわかった。

「良い心掛けです」

察するに、彼女が悔いているのは指輪を失くしたことだ。そう思ったら、このまま何もせず解放してやりたくなった。だが、それでは彼女の気が済まないだろう。

ユリアを膝に横たえ、程なくして最初の一打を見舞った。白いお尻にくっきりと指の跡が浮かび、同時にビクンと身体がはね上がる。想像していたより遥かに痛い筈だ。

「しっかり反省しなさい」

その後も、少しも力を緩めることなく、左右のお尻に平等に平手を落とした。その間、ユリアは身体を固くして、ひたすら痛みを享受した。その姿は、まるで痛みを噛み締めているようにも思えた。

「少しは懲りましたか」

どうにもいたたまれなくなり、タリウスはお仕置きする手を止めた。

「ごめんなさい、タリウス。わたし、どうしたら良いかわからなくて…」

「そういうときは聞いてください。ほら、ユリア。おいで」

ユリアを膝から下ろし、そっと抱き寄せると、彼女のほうから強く胸にしがみついてきた。そのまま黙って抱き締めていると、ぽつりとユリアが呟いた。

「本当は、お顔を見たときからずっとこうしたかったです」

「それならそうと言ってください」

全く素直じゃないなと、タリウスは苦笑した。

「また買ってあげるから」

「イヤよ。気に入っていたんだもの」

「わかった。捜すから、いい加減、泣き止みなさい」

「だって、お尻が…」

「指輪が不要なら、いっそ鞭でも贈りましょうか」

「け、結構です!」

ユリアはぎょっとして声を上げ、それから頬を上気させた。


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2021/9/12  0:41

投稿者:そら

2021/9/11 21:47の方
めちゃくちゃ好き、いただきました!ありがとう!
ホント、初めは何とも思ってなかったのにね、今となっちゃ大好きですもん、ユリアさんのこと。
とりま、シェールがイイコに寝ててくれることを願うのみですw

2021/9/11  11:35

投稿者:そら

2021/9/10 18:05の方 
キュンキュンしました?!
後半戦は読み返すが恥ずかしいのですが、楽しんでいただけたのなら一安心です。ありがとうございます!

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