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2021/7/20  22:13

続ジョージア先生の長い長い夜5  小説

その日未明、泣き腫らし、片頬に指の跡まで付けて帰ってきた少年に、老教官はもとより主任教官も、強い言葉を掛けることはなかった。

翌日、諸々の事後処理が済んだ後で、ゼイン=ミルズは改めて違反者を呼び出した。

「さ、昨夜は多大なるご迷惑をお掛けして、本当に、本当に申し訳ありませんでした!」

ポーター=カヴァナーは主任教官を盗み見ながら、声を震わせた。対するゼインは、それには応えず、ただじっと少年を凝視していた。

ポーターがゴクリと生唾を飲み込む。

「す、すいませんでした!」

これ以上は正視できない。そう思い、勢い良く頭を下げた。

「本科生になっても門限破りとは、愚かしいにも程がある。ジョージア教官、愚か者に罰を」

ゼインが自身の部下に目配せし、すぐ隣で、若き教官が従順な返事を返した。ポーターは信じられないおもいで教官たちを見比べた。

「ミルズ先生、自分は退校になるのでは、ないんですか?」

命があっただけありがたい、公安から解放されただけで御の字だ。そう思っていたのはあくまで昨夜までの話で、今朝からは自らの処遇について考えを巡らせていた。

「ジョージア教官。門限破りの罰は退校だったか」

「いいえ、パドル打ちです」

「結構。始めろ」

タリウスはパドルを手にし、罰を受ける姿勢になるよう顎をしゃくった。

ポーターは、慌てて両手で机の縁を掴み、頭を下げた。必然的に、むき出しになった尻だけが高く上がった。

バシン。耳に響く大きな音に続いて、焼けるような痛みが尻に広がった。ポーターは唇を噛んでその痛みを飲み込んだ。

そんな必死の我慢が報われることなどなく、間を置かず更なる痛みが襲ってくる。

バシン。バシン。バシン。容赦ない打擲が繰り返される。

「うぅ…」

そうしてまんべんなく尻が腫れ上がる頃には、口から呻き声が漏れ、無意識に腰がひけた。

「動くな」

教官は尻たぶにパドルをピタピタと当て、姿勢を矯正した。

「すいません」

ポーターはすぐさまもとの位置に身体を戻す。

だが、それから少しすると、 またしても姿勢が乱れた。

「何度も同じことを言わせるな。拘束されたいのか」

「いえ」

ポーターは大きく息を吸い込み、再び姿勢を正した。

そうして、性懲りもなくポーターの身体が三度逃げたときだった。

「堪えろ!!」

突如として、それまで沈黙を守っていた主任教官が吠えた。ポーターは驚いて目を見張る。チラリと盗み見た主任教官は、まさしく鬼の形相をしていた。

「貴様のせいで、一体どれだけの人間が迷惑を被ったと思う」

「すいませ…」

「それにも関わらず、どれだけの人間が、労を厭わず貴様を捜し回ったと思う!」

ポーターはハッとして、両目を見開いた。

「自分は、本当に考えなしに、馬鹿なことを…すみませんでした」

その瞳から涙が溢れた。

「己を恥じ、悔悟しろ」

主任教官は立ち上がり、執務机から籐鞭を取った。

「代われ」

ピシリと机が鳴った。

「君には特別に、この私がたっぷり反省させてあげるよ。そうだな、さしあたっては、この鞭が折れるまでだ」

ゼインは鞭を弄ぶようにして、ポーターの背後にまわった。入れ違いに、タリウスがパドルを片付け、ポーターのすぐ隣に立った。必要とあらば、いつでも主任教官を手助けするためだ。

「ひぃ!」

微かな音と共に、皮膚を切り裂くような痛みが走った。パドルのそれと違い、一極集中型の鋭利な痛みである。

「あぁっ!」

痛みを噛み締める間もなく、すぐさま次がやってくる。

「いっ!うぅ!」

自然とつま先立ちになり、ガクガクと膝が震えた。教官はそんな自分に全く構うことなく、黙々と鞭を与え続ける。次第に息が荒くなった。

もう無理だ。これ以上は堪えられない。何度目かにそう思ったところで、頭で考えるより先に身体が反応した。両手が机から離れ、上半身が浮いた。

主任教官が鞭を下ろし、こちらに近付いてくる。

「す、すいませ…。身体が逃げてしまって」

「そう簡単に退校になぞしてたまるか」

「え…?」

間近に顔を覗き込まれ、ポーターは視線を上げた。

「貴様は一番大事なものを傷つけた。それが何かわかるか」

ポーターはふるふると首を横に振った。その間も、ゼインは鋭くこちらを威嚇してくる。目を逸らそうにも、身体が凍りついたように動かなかった。

「誇りだ。何年、何十年と先人が守ってきたものをお前は一瞬にして壊した。士官学校の制服を着て公安に捕まるなど言語道断。お陰で中央士官学校の名は地に堕ちた」

「申し訳ありません」

「給金をもらいながら、学ばせてもらっている意味を考えろ。本気で申し訳ないと思うのなら、己の作った借りは、己の手で返せ。何年掛かろうともだ」

「は…い」

「姿勢を戻せ。次に動いたら、ジョージア教官に拘束してもらう。そうなれば、またひとつ借りが増える。そうでなくとも、君はジョージア教官の手を煩わせ過ぎだ」

「す、すみませ…うっ!!」

皆まで言わないうちに、粛々と罰が再開された。そのまま何十回と地獄は続いた。

「あぁっ!」

脂汗を滴し、涙に暮れながらも、ポーターは机にかじりついたまま離れなかった。

「結構」

ゼインは満足そうに呟くと、執務机の上に籐鞭を置いた。みれば、先のほうが折れ、初めより短くなっていた。


眠けまなこで書いていたら、朝起きたら原稿がごそっと消えており、ひょええぇ。
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2021/7/21  0:06

投稿者:そら

Rさま
あははは!『父親のふりまでさせて迎えにいかせたあんたが言う?』がおもしろすぎて、めっちゃ目が冴えました。いや、ゼインのセリフはいつも「おまいう」と思いするながら書いてるんですけど。イヒヒ。
お仕置きの順番は、軽い人→重い人なので、チェイスはポーターの前に、サクっとジョージアせんせーにしばかれていると思います。教官室の前で入れ違っているか、はたまた部屋の前でなかよく順番待ちか。

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