ダラダラ中につきカメ更新 感想など、ちょろっとでも書き込んでいただけましたら泣いて喜びます🎵

2021/5/9  9:24

先見之明3  小説


それから宣言どおり、彼らは本科生の教室へ向かった。教室では、ゼイン=ミルズが軍学の授業を行っていた。

レグラスは教室に一歩足を踏み入れた途端、私語を止め、目だけを忙しく動かした。

訓練生たちは皆一様に起立し、各々軍法の一節を暗唱している。そんな彼らの横を教官が長靴を踏み鳴らしながら行き来する。いずれも突然の訪問者には一切の注意を向けていない。

やがて、少年たちのうちの何人かがぱらぱらと座り始めた。どうやら課題を終えた者から着席するシステムになっているらしい。そうこうするうちに、暗唱する声が徐々に小さくなり、反対に長靴の音がカツンカツンと響き渡った。

すると、突然その音がぴたりと止まった。

「貴様は何故座っている」

静まり返った教室に、ピシリと軽い音が鳴った。教鞭で手を打たれ、少年は飛び上がらんばかりに立ち上がった。

「申し訳ありませ…いっ!う!」

今度は続け様に尻に鞭を当てられ、少年は苦悶に満ちた表情を見せた。察するに、課題が済んでいないにも関わらず、お茶を濁して着席したのだろう。十数名が同時に暗唱を行っていたというのに、よく判別出来たものだ。

「踵(かかと)を上げろ」

教官の命に、少年は脂汗をかきながら慌ててつま先立ちになった。

「未だに課題が終わっていない貴様も同罪だ」

「すみません」

教室の隅には、もうひとり別の少年が起立したままになっている。彼もまた直ちに命じられたとおりの姿勢になった。

「教科書のひとつも覚えられなくて、何が士官だ。笑わせるな」

教官は侮蔑に満ちた視線を少年たちに向けた。

「一度現場に出れば、何十、何百とある戦術を状況を見ながら瞬時に使い分けることが求められる。当然、陣形から武器の扱い方まですべてが頭に入っているのが前提だ。愚か者や馬鹿者に用はない」

「申し訳ありません」
「申し訳ありません」

少年たちが声を震わせる。二人とも未だつま先立ちのままである。だが、教官は彼らには見向きもせず、涼しい顔で教卓に戻った。

「では、授業を始めよう。前回の続き、攻城戦における有益な手法について」

教官はコトリと鞭を置き、それまでとはまるで別人のように、それはにこやかに攻城戦に関する講義を始めた。

「ああ、よろしければお二人もどうぞご参加ください。お誂え向きに、二席ばかり空席もございます」

「いや、結構。もう充分だ」

言うや否や、レグラスは戸口へと向かった。すぐさまミゼットも従う。そして、退出する直前、教官に向かって何やら目配せした。
8



2021/5/10  7:09

投稿者:そら

2021/5/10 1:17の方
そんでも、テストさえクリアすれば授業はスゲーおもしろいって言うギャップ。なので、みんな怒らせたくなくて頑張ってるみたいな。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ