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2021/2/5  0:47

ジョージア先生の長い長い夜1  小説


↓以下は、もともとサウンドノベル用のネタでしたが、諸般の事情により断念せざるを得なかったので、お蔵入りにするのも勿体ないと思いフツーに小説として公開します。

時系列や人物設定が???な部分があるかと思いますが、本編とは別物のパラレルとしてお楽しみいただけるとよろしいかと思います。



ある夜のこと。冷たく長い廊下を長靴の音がカツカツと響き渡たる。

タリウスである。彼は今、消灯点呼を前に兵舎内の見回りをしている。当直の仕事というわけではないが、火種を見付けたらなるべく早いうちに消し止めたい、そんな思いから自らの意思で始めたことだ。

士官学校始まって以来、初の試みである交換訓練生を受け入れてからというもの、ともすれば騒ぎが大きくなりがちだった。

すると、突然ドンドンと何かを叩く音が聞こえた。一体何事かと眉をひそめると、音は益々大きくなり、更には壁の向こうから、叫び声が聞こえてきた。

「せんせい!!助けてください!せんせい!!」

「その声は、オーデン?」

声は、一連の騒ぎの遠因のひとつだった。どうやら風呂場のほうから聞こえてくるようだ。

「ジョージアせんせいぃ」

教官の声にほっとしたのか、イサベルの声に涙が混じる。

「一体どうした。閉じ込められたのか」

「違います。着替えを盗られましたぁ!真っ裸で消灯点呼に行けません!どうしたら良いですかぁ?」

「は?どうしたらって…」

つまり、壁を一枚隔てた向こうには、あられもない格好をした女子訓練生がいるということだ。これには百戦錬磨の鬼教官も流石に狼狽を隠せない。

「ラサークはどうした?」

とにかくこういうときは、同性の力を借りる他ない。

「風邪気味だから、今日はお風呂には入らないと言っていましたぁ。なので、多分部屋で寝ていると思います」

「わかった。ラサークを呼んでくるから、もうしばらくそこで辛抱しろ」

「もう充分辛抱しましたぁ!寒すぎて、風邪ひきそうですうぅ」

悲痛な叫びに、床を踏み鳴らす音が加わる。

「ああ、もうわかったから、泣くな」

「泣いてないですぅ!!」

イサベルの精一杯の強がりを背中で聞きながら、タリウスは深いため息を吐いた。


「ラサーク!開けろ!ラサーク!」

先程イサベルがしていたように、今度はタリウスが部屋の主を呼びながら、居室の扉を叩いた。

「とっとと開けろ」

ほどなくして返事が返されたものの、一向に開かれない扉を前に、タリウスは苛立ちを隠せない。

「遅い!一体何をしていた」

「す、すみません。出られる格好をしていなかったので、着替えていました」

「お前もか…」

勘弁してくれ。タリウスは思わず額に手をやった。頭痛がしてきた。

「あの…」

俄に顔をしかめる教官を前に、大丈夫ですか、とアグネスが首を傾げた。

「何でもない。それより、今すぐ着替えを持って風呂場に行け」

「ですが、自分は今日お風呂には…」

「そうではない。オーデンが着替えを盗まれて難儀している。早いところ行ってやれ」

「盗まれたって、一体どういうことですか?!」

途端にアグネスが噛みついてくる。甲高い声に頭痛が強くなった。

「それはこれから調べる」

「実は先生に黙っていたことが」

そう言うアグネスの目が据わっている。もはや嫌な予感しかしなかった。

「何だ」

「私も昨日、下着盗まれました」

「は?」

「主任先生に何かあれば報告するよう言われましたが、流石に恥ずかしくて言えませんでした」

なかなか良い判断をした。そう思ったのも束の間、続く台詞に度肝を抜かれそうになる。

「なので、週末に主任先生の奥様のところに相談に伺おうかと…」

「だめだ。奥方は無関係だ。余計なことを言うな」

「だったら公安に…」

「ふざけるな!もっとだめだ」

「じゃあ、どうすれば良いんですか?て言うか、何で私たちがこんな目に遭わなきゃならないんですか?!」

思い余って叱りつけると、アグネスが逆上した。涙に濡れた瞳がこちらを睨み返してくる。

「落ち着け。お前の件もきちんと調べる。ラサーク、泣くな」

「泣いてません!」

アグネスが勢い良く踵を返し、その振動で長い髪が揺れた。彼女が級友の引き出しを漁り始めたのを見届けると、タリウスは部屋を後にした。

そうして足早に廊下を歩いているうちに、かつてないほど激しい怒りが腹の底から込み上げてきた。

「あの糞餓鬼共が…」

滅多に言わない暴言が自然と口から漏れ出した。その表情はまさに鬼の形相である。
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2021/2/13  23:48

投稿者:そら

Nさま
確かに、溜め息ばかりですね、今回のジョージア先生は。きっと早いところうちに帰ってチビの笑顔を拝みたいと思っているはずです。
「老馬の智」とはまたひと味違ったノーウッド先生をお楽しみいただけたらと思います。

2021/2/13  23:42

投稿者:そら

2021/2/6 7:40の方
クソガキへの尋問、お楽しみいただけましたでしょうか?
作品ごとに核になるセリフがあるのですが、今回は間違えなく「あの糞餓鬼〜」がそれなので、反応していただけて嬉しいです。たとえ机は蹴っても汚い言葉は使わない、がポリシーだったはずなのに、おかしいなぁ…

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