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2011/11/28  0:04

お店やさんにて  小説

ある休日のこと、シェールは父に連れられ買い出しにきていた。必要なものを二三買い求めたところで粗方の用は済んだが、その後も彼らはのんびりと街を散策した。

シェールにとって、今現在一番楽しいのは友達と遊んでいるときだが、それでもこうして父親と過ごす時間もまた充分に有意義だった。

日が傾き掛け、徐々に行き交う人が増え始める。大通りは、ともすれば、すれ違うだけでも一苦労なほど混み合った。そこで、彼らは人混みを避け、横路を折れた。

通りを一本外れたそこは、開いている店もまばらで、驚くほど閑静だった。

「先生」

そんな中、しわがれた声が父を呼んだ。声の主は、店先に広げられた重そうな壺を片付けるところだった。壺の中には老人が使うような杖が数本立て掛けてあった。

「ご用とあれば、いつでもこちらから伺ったのに」

「いや、今日はその、違うんだ」

「先生、お子さんがいたんですかい。へぇ、こりゃ驚いた」

男は、そこで初めてシェールの存在に気付いたようで、しきりに驚いたと繰り返した。

「折角ですからどうぞひやかしてってください。良いですって、どうせ暇してましたから。さささ、どうぞ」

傍目から見ても父にその気はないことは明らかだった。しかし、男は全く構うことなく、先へ立って店へ入る。一体何を売る店なのだろう。好奇心に胸がうずく。

「すぐに戻るから、ここにいなさい」

「ああ、お利口な坊やには無縁でしょうな」

男が振り返り、目が合うと大袈裟に笑い返された。笑顔とは到底言い難い、気味の悪い顔だった。

「それがそうでもない」

「へへへ。それなら良いものがありますよ」

男と共に父が店の中へ消えるのをシェールは不安な面持ちで見送った。だが、すぐにいても立ってもいられず、こっそりと店の中を窺う。薄暗くてよく見えないが、どうやらふたりは店の一番奥にいるようだった。

「どうです?軽くて振りやすいでしょう。先生のほうから主任先生にすすめてみてはくれませんかね」

「あの人は自分の目しか信じない」

「そうですか?じゃあこれなんてどうです?お宅にひとつ。飾っておくだけで効果覿面ですよ」

「窓から捨てられそうだ」

「そのときはもう一回買ってくだされば良い。ああ、おすすめはこれです。これさえあれば、どんな腕白坊主もたちどころに従順になるって寸法ですわ」

「そいつはすごいな」

一体何を話しているのだろう。察するに、自分かて無関係な話ではない筈だ。好奇心にかられたシェールは、一歩一歩店の中を進んでいく。

「先生、鉄は熱いうちに打てって言うじゃないですか」

「確かにそうだが、息子はまだ…」

「とうさん…!!」

手燭の光に照らされ、うっすらと浮かび上がった光景に、シェールは思わず叫んだ。

「シェール。表で待っていろといっただろう」

「いやだ!イイコにするから!」

「シェール、違う」

「違わないもん」

父の手にあるのは、お仕置きに使う道具、もっと言えばお尻を叩く道具だった。それだけではない。店主が持つそれも、机の上にあるそれも、どれもこれも皆鞭の類いだった。

「お願い、とうさん!もうベッドの中でお菓子食べたりしないから」

「お前はそういうことをするから虫歯になるんだろうが!」

「へ?あ、えっと…」

途端に父の目の色が変わった。この段になって、ようやくシェールは自ら墓穴を掘ったことに気付く。

「何なら試し打ちも出来ますよ。やっぱり実際に振ってみないと」

「もっともだ」

「うそでしょ!?」

ぐいっと首根っこを掴まれ、あっという間に机の上へ両手を付く格好にさせられてしまう。

「うぎゃあぁ!!」

盛大な音と共に、焼けるような痛みがお尻に広がった。ズボンの上からだというのにその威力は絶大で、シェールは飛び上がってお尻を擦った。

「お前が気に入ったのなら、そのパドルは買ってやる」

「いらないったらいらない。もうしない、ごめんなさい!」

喚きながら、辛うじて堪えていた涙が床へとこぼれ落ちた。

「すまないが今一つお気に召さないらしい。またの機会にでも寄らせてもらうよ」

「いえいえ、また兵舎のほうへお邪魔しますんで。坊や、おじさんのとこは何も怖いものばっかり売ってるわけじゃないんだ。懲りずにまたおいで」

「絶っっっ対、やだ!!」

その言葉どおり、彼はその後、それこそ子供と呼ばれる歳を過ぎた後も、二度とこの付近に近寄ることはなかった。





海外のスパ動画を漁っていたら、やっぱり道具オンパレード!でしたので、たまにはいいかな、とね。
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2011/12/10  16:46

投稿者:そら

kさま
kさまの「大好き」いただきました!やった〜♪ありがとうございます。
決して甘くはないけれど、チビにだけは精一杯やさしいおとうさんでいたいのだと思います。んでも、舐められてたまるかとも思う複雑なパパ心。店屋のおじさんにもその辺の事情は伝わったことかと。

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