2017.2.11(土) 妙高・杉の原ゲレンデで滑る
新しく始めた連山荘の集まり。題して『華麗(加齢)に滑ろう野や山を』という。連山荘のSさんの提案で70代に差し掛かろうという人間が集まろうというのだ。
きっかけは70にもなるとそこそこ今までのスキー仲間がだんだんいなくなり、一人じゃぁねということでスキーから足が遠ざかりかけた人間がだれか仲間はいないかとSさんに持ち掛けたのが始まりだろうと、たぶんそんなことだったろうと思う。ぼくとしてもここ二三年はスキーを年一回正月にすると言ってもなんだか今までのようにシャカリキに滑るわけもなく、だからといってゆったりと滑っていてもそれはそれで時間の余裕があるがためにかえってその時間を持て余し気味になっていた。ひっきょうレストランに入ることになり、そうしてみても美味くないコーヒーとカレーライスを食ったからといって満足するはずはないのだった。
だが、だからといってスキーをしたくないわけではもちろんなく、できればスキーの合間にお喋りをする仲間がいればまたスキーの違った味があるのだがなあ、などと考えていたのだ。
と、Sさんから70歳の野鳥の会の人が一緒に滑る人を探してますよ、などと持ち掛けてきたのである。ここぞとばかりに飛びついたのだ。同じ思いの人がいたか!というぐあいだ。実際はSさんのうまい誘いなのかもしれないが、そんなことはどうでもよろしい。とにかく一緒に滑る同世代がいればいいのだ、という思いだった。
それで妙高に久しぶりに行ったのが去年で、郵便局のTさんと野鳥の会のNさんと4人で近くの林を散策して野鳥を見たりクマの棚を発見したりして大いに盛り上がったのだった。
そして今年だが、また三人が増えた。二月の連休日に行ったところなんとSさんを含めて6人も集まったのだ!これは快挙である。Iさん夫婦、Nさん、Kさん、吉益とSさんである。
初めての顔見世も同年という気楽さですぐに話は通じるようになり二日間の面白いゲレンデスキーと林の中のスキー散策ができたのだった。
近ごろはどこのスキー場に行っても外国人が多い。しかしスキー場自体は斜陽化している。だから余計外国人の姿が目立つようなのだ。妙高も同じ。長野から妙高行きの列車に乗ると前にも横にも、ボードをかかえた外国人がいる。向かいの二人は中年女性の二人組で大きな荷物とボードの入った重いケースを床に並べている。
なぜ重いケースと分かるかといえば、ぼくがどこの国ですかというとオーストラリアだと嬉しそうに言いこっちの座席に乗り出してきた。言葉が違うので当たり障りのないことしか言えなかったが、妙高高原駅で降りるときに階段で難渋していたので、自分の荷を置いて彼女らの二つのボードケースを運んであげたのでその重さがわかったのだ。
しかし何と外国人に愛想のいい男だろう、こちらは腰を痛めていたというのにである。これも日本の好印象への貢献なのだ。俺もいやな人間になってしまったのか?とにもかくにも、そんなことで観光立国のために一役買ったというわけである。
そうなのだ、ぼくは水曜の朝に靴を履くために靴ベラをとろうと腰をかがめた際にそこがみりっとしてその日は立つことも苦痛で、しかし運のいいことに患者が来なかったのでほとんどベッドで横になっていたのだ。おかげで一両日したらどうにかスキーには行けそうということになった。
雪の中に立てば身体がしゃきっとするだろう、今までの経験でそんな風にも思っていた。それは全くその通りで、滑っているときは不思議と腰の痛みを半ば忘れているようだった。
妙高の杉の原スキー場は11日間も降り続いたという雪で埋まっていた。やんわり滑ろうという決意はその光景を見た時点で飛んで行ってしまった。やはりスキーは深いボコボコの所を滑らなきゃ面白くないと林の中に入ったり転びまくったりして、Sさんにたしなめられることになったわけである。体調が万全だったらこれほど素晴らしい気候はない。間断なく雪は降っているし時たま青空が出て寒さを和らげてくれる。気が付いたら、リフトの終了時間まで滑っていたのだ。係員が最後の客のわれわれを待っていてくれたくらいである。
2017.2.12(日) 雪の中でランチ
二日目で最後の(なんともせわしない遊びだ)、今日は近くの林に出かけるが、雪は降ったりやんだり。各自食料を買いこんできて、ぼくは細板のスキーを借りて、総勢6名のスキーを履いての緩い傾斜の林の散策である。Kさんは付き切りでNさんのレクチャーを受けて初めてのヒールフリー体験。上ったり下ったりで高速道の上を渡る橋のところまで行ったところで雪が一段と強くなってきたのでここらへんで引き返す。真っ白い林の中を歩いた先に一本の高速道が出現するのも何とも不思議な光景という気がする。
どこかでランチをしたいと物色しながら歩くと運のいいことに空が晴れてきた。よっしゃ!と広いところを見つけて雪を踏み固め、テーブルを作ったまわりに椅子代わりのスキーを並べて恰好の円卓をつくった。これはいい!!
そいで寒い中の急場のランチはカップそばに限るのだ。Nさんは雪のテーブルの上でさっそく湯沸かしにはいるが、なんか嫌な予感。やっぱり!コンロを倒して湯をぶちまけてしまい、用意周到の板を持ってきたSさんは無難にコンロで湯をつくる。果たして雪の上でどれだけのものかと実験的に持ってきた手製のアルコールストーブのぼくは、けっこう使えるという確信をもって満足だ。実用に足るアイテムである。誰よりも早くカップ麺に湯を注いだのがぼくだったのだから。
ぼく以外は鳥に詳しく、あああれが○○だと言いながらの雪中の歩きで、けっこういろんな鳥がまわりでぼくらを見張っていることがわかる。アオゲラコゲラ四十ガラノスリに、あとなんだっけ?
ランチが終わり再び重い腰をあげて歩いていると、雪がまた強くなってきた。今日はこれまでと三時に連山荘に戻った。ああ面白かったと思い、この雪がこのまま降れば明日のゲレンデは天国だと今日帰らなければイケナイぼくは少し残念な思いもする。三月の連休にはまた来ることを約して別れた。

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