★ワールドカップがこれほどワクワクしないことは無かった。いつだってW杯は心弾むものだった。
それがいつのころからか、オカシナ感じになったのである。サッカーを楽しむことがあまりできなくなったというか、少なくなったのである。考えればそれは日本がW杯に出場してからだということがわかる。初めのフランス大会はもう夢のような感じで負けて当たり前という感じだったので、負けても悔しさもなかったし、他の素晴らしい国のパフォーマンスを楽しめた。だが2回目になってもう負けてばかりじゃいやだ、ぜひ勝ってほしいと思うようになった途端、勝ち負けばかりが気になりだしてきたのだ。そうするともうサッカーを楽しむなんてできなくなり、勝敗にこだわった観方しかできなくなりつつあった。
今年でもう6回目ということになってやっとわかったのが、今回のまるでダメな日本サッカーを見るにあたって、もう勝つことは端から期待できないことによって、かえって日本以外の試合を楽しめる環境が整ったのである。そうか、日本が出るからサッカーの楽しさが消えていたのだ、と思えたのだ。それは今回、なぜかまったく期待できない日本代表の親善試合を見ていて、けっこう面白く見れたのだ。ただの弱小国でしかない日本を見て、まあせいぜい頑張って負けようね、という気分になれたのだ。
これは、その昔のぼくのW杯目線である。体たらくの日本サッカーによって原点に戻れたという感じだ。
まあ、こんな観戦姿勢もいいんじゃないか、と。
★だが今回のサッカー離れはちと事情が違うのである。
このところサッカー好きの間では、ワールドカップが白け切ったものとしか受け取られていないこと、それは凄まじいほどだ。今日もW子がきてサッカーの話をしたのだが、今の代表、あれ何?まったくさあ!といった具合なのだ。そのあとに代表を罵倒する言葉がつづかないのだ。もうあきらめきっていて、罵倒すべき言葉もないということだ。
それはまた、日本の代表が強くならないというだけならそれはそれで言いようがあるが、どうも日本のサッカーそのものに冷水を浴びせるような、そんな事態が起こっているようなのだ。それがハリル更迭の舞台裏のごたごたである。なんか臭いというか怪しいという感じの匂いなのだ。このフラストレーションの元はスポンサーがらみらしく、その権力を持つ外野の者たちの汚い手でサッカー界がかき回されているのらしい。ぼくらは、そんなことを感じてサッカーの興味が薄くなってきたのである。なにかサッカー以外の所で日本サッカーの行方が決められているという予感なのだ。
物事をはっきりさせないというのがこの国のあり方だが、国際的な状況の中ではそれはまったく良くないことだ。サッカーというのは日本の特殊な土壌だけでおこなわれているスポーツじゃないのだ。
代表監督を更迭するのに何も説明なしに「わかってるね!」と肩をたたかれて納得する外国人は一人としていないだろう。だが今回日本サッカー協会はそれをやってしまったのだ。しかもハリルが国へ帰っていた際にまるで寝込みを襲うようにして解任を通告したのだ。追放されたハリルホジッチが黙っているわけはなく、日本に「帰ってきて」記者会見でその説明を求めた。それに対する答えをぼくらは聞いた覚えはない。多分黙殺なのだろう、日本の政治のように。
どうも、この監督更迭騒ぎがファンの納得のいかないままウヤムヤになってしまったことが今回の代表戦ばなれにつながっている。まさにそういうことなのらしく、選手も監督も協会もどこか上の空なのだ。その後一試合も勝てていない。それどころか試合に身が入っていない。こういう政治的なストレスを克服できるほど日本の選手はオトナではないのだ。
それは昨日のスイス戦を見ても感じられるし、いち早くスイスのチームがそれを感じたらしく、後半はなぜか遊んでいる風だった。少なくとも、彼らはこの試合に何も得るものがないと理解したようなパフォーマンスでしかなかったのだ。もうマトモに相手をしてくれないという悲しい現実を感じてしまった。
日本はそこまで落ちてしまったのか?

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