今世界にある動物のほとんど全てはメスの細胞でできている。
人間においては100パーセント例外なく女の細胞が分裂して出来上がったものだ。それはたとえ男であろうが例外ではない。ぼくの体は全て母親の卵細胞が分裂して出来上がったものだ。要するにこの世界は全て女の「肉体」なのだ。
考えると不思議なことだが、男という肉体はありえないことなのだ。では男は人の誕生に際してまったく無力かというと、遺伝情報を子孫に半分だけ与えるという役割を担うことで存在価値があるということだ。何とも寂しい存在だ。いや先ほど言ったように男というものは「存在しない」のである。
男の肉体には男の細胞は無い。
生命の発現に際してもただ情報を(遺伝子を)女の細胞(卵子)に伝えるだけなのだ。その実体はないのだ。
じゃあ「男」はどうこの世に存在しているかというと、「役割」として存在している。男は卵子の受精・分裂を促すという役割として精子を発射する。あとは女の細胞が勝手に分裂してヒトを作ってくれるのだ。
その女の肉体がたまたま「男」として発現すればそれは男と呼ばれる。しかし実態は依然として「女の肉体」なのだ。
男とよばれる人間は男らしく育っていき「男」となる。実態が女の肉体だから男は「らしさ」しか持ちようがないのだ。だから男は、男らしくなろうと努力する。
女に「らしさ」はいらない。だってその必要がないから。どうころんでも彼女は「女」だから。
世界は女であり、それは動かしようもないことだったから、たぶん男とか女とかは問題にならなかったに違いない。男は、形は「男」でも女だったし、たまたま出っ張りがあってその役割じょう男だったに過ぎないのだから。男はその役割が済めばもう何もすることはなかったのだから。まさしく用済みなのだった。
その女ばかりの世界がひっくり返されたのはいつだか分からない。
これじゃいかんと男は思ったに違いない。男が「役割」を越えて実権を奪うには何が必要か。
その答えが戦争である。戦争がある限りひまで体力のある男は強い。女はそんなことに関わっている暇はないのだ。
そして世の実権を奪うやいなや、そこで男が考えたことは、女も役割で生きるようにしてしまえと思った。そして女にも「らしさ」を強要したに違いない。男と同じように、らしくあれと。男女平等だ!などと叫んだかもしれない。
だから男が世界を支配しようと思う限りは、絶対に戦争は無くならないだろう。男が、ひっくり返した世界を元にもどしたくない限り戦争は「必要なもの」となった。
だから描かれた歴史は全て戦争で埋め尽くされている。男は言う。戦争のない歴史はなかったと。だからこれからも戦争は必要なのだと。
ほんとうだろうか?
そしてあとは知ってのとおりだ。男は女に全てを与えた。いや、全てを奪っておいてから「役割」を与えた。書かれた歴史は、女はこうすべしと、役割で生きろと、その徹底した押し付けの歴史だ。
その典型的な例が、「聖書」なるトンデモ本なのだ。
神が全てを創ったと、そしてまず男を作ったと、してその肋骨から女を作ったと。ナンジャコレハ?ってなもんだ。
そしてご丁寧にもアダムのわき腹からむにゅーっとイブが「出産」される絵まで描かせている。これじゃ子供もだませないが、そうやっておとなをだましてきたのだ。
戦争も宗教も男の道具だ。これを使って全てを騙してきた。
神話の世界において、なぜかひとは土くれや滴や泡や、そんなものからばかり生まれたことになっていて、ああ男は、人が女から生まれるという紛れもない事実をナントカごまかそうと躍起になっていたのだなあ、と思わせるに十分だ。さらにギリシャ神話の世界でも決して人(のかたちをした神)は女のまたぐらからは生まれずに、男の頭だとか肩とか訳の分からないところから生まれるのだ。
涙ぐましいほど、人は女から生まれないんだもんね!と言っているわからずやの男の子そのものでしょ。
ま、あまりにもバカバカしいので、そのうち落ち着くでしょとおうように構えていた人間は、しかし訳のわからんものを次々に発見し発明していく男のために、もう先のない世界まで来てしまった。
世界は、女が生み、「男」が滅ぼすんだろうな。結局。

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