ジェフ・ユナイテッド市原(千葉とも言う)が最下位に並んでしまった。まったく勝てない。
去年ナビスコを制し、リーグ戦でも優勝争いを演じたチームとは思えない。確かに監督はイビチャ・オシムからアマルに変わったが、原因はそれだけだろうか。
変わったことはもうひとつある。
それまではチームにはビッグネームは皆無で代表に呼ばれるような選手はいなかった。今は代表の一角を占めている人がそこそこいる。つまり選手個人の力量が上がってきたのだ。
しかし、皮肉なことにそれでチームは弱くなった。
こういう事って過去になかっただろうか。いや、あっただろうと思う。というよりも1つの「典型」でさえあるのではないか。
一言でいえば「慢心」である。一人一人は頑張っている、ように見える。頑張りというものは機械で計れるものではないしグラフにすることもできない。
自分たちは強いと思ってしまうことが目に見えない怠惰を生んでいるのではないだろうか。
もしくは失敗を恐れるほどに「強い」チームになっているのではないか。
アマル・オシム監督の言葉、「やっていることは間違っていない」。
本当だろうか。
そしてそれをおおっぴらに言ってしまうことは果たして「良い」ことなのだろうか。はじめて連敗を喫したチームを鼓舞するためのものならば頷けることもある。しかしもうそんな事態はとうに過ぎ去っている。いまだに「やっていることは間違っていない」と言う言葉は、今の選手たちにどういう受けとめられ方をするのだろう。
選手個人の力量が上がって、弱くなるということは、戦略が間違っているかもしくは本当は「やるべきことをやっていない」、ことにはならないだろうか。
欠点の見えないチームになりつつあるのである。
欠点は見えないがどうも勝てない、というチームは他にもある。大体いつも中間あたりにいることが多い。そういうチームってのは魅力がない。(人間も?)
ひるがえってヴァンフォーレ甲府を考えてみる。
戦力的にはJリーグでいちばん選手層が薄いと見ていい。代表はおろか、選手の名前さえ知られているとは言えないチームだ。しかしなかなか面白いし14位あたりで頑張っている。彼らのスタイルは短いパスで相手のスキ間を広げるような戦い方だ。まどろっこしいほど同じ事を繰り返す。もうこの辺でシュートを打てよと思うほどゴール前でパスを回している。そしてシュートを打つ。けっこうスリリングである。何回も相手のゴール前を脅かすが入らない。というよりそれより自分たちがそれ以上に点を取られている。
だから上位にはいけないのだ。
が、ぼくは好きだ。
それは欠点がはっきりしているからだ。も少し選手の力量が上がってシュートが狙った所にいけば、勝てる試合がどんと増える。そしてロングシュートをするか大きいサイドチェンジをすれば勝てるのになぁと思うのだ。
しかしそのためにはたぶん力量不足だ。だから今は「出来ること」を目一杯やっているのだ。そして今出来ること、つまり4回に一回は失敗するような短いパス回しを繰り返し、その精度が高まれば必ずスキルの向上につながるという確信を持ってやっている。
迷いがないからぼくらはわくわくして見ているのだ。
ここもまだ発展途上チームだ。優勝を争うことになったら、今のジェフのようになってしまうのだろうか。
それはわからない。

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