年末年始の一週間は、例年通りスキーであけた。
まずは29日、妙高の連山荘へ行き赤倉で初すべりだ。だがどうも板に乗れない。何かオカシイ。
雪が少ないせいでもあるまいにどうしたんだろう。2日目には慣れてきたが疲れる。
相変わらず板がちゃんと踏めないのだ。タメをつくることができていない。それですぐターンを急いで誤魔化してしまうのだ。しかし雪が堅いせいで誤魔化しがきかない。反ってこんな時にこそよく技術を習得しなければと思うのだが、楽しむことが先にたってしまう。いつものことだ、つまらない練習をしたくはない。
佐藤さんに「もう60歳なんだから体力にまかせた滑りではこの先山に行けませんよ」と釘を刺された。そのとおり。しかしなあ。
と言うまに妙高の2日間は終わった。
31日深夜、いったん東京に帰って蕎麦を食い、元日の天皇杯の決勝を見てすぐに会津若松に行った。
今年の足は全て高速バスの利用にした。バスの旅は何となくわくわくして楽しい。夜中に若松に着いて妻の実家に泊まり、翌2日はゆっくりとカフェなどに行き夜になってから猪苗代の民宿「朝日荘」に入った。
3日はグランデコにシャトルバスで行って目いっぱい滑り昼食を摂る気もしない。5時に民宿に戻ってみたら客は皆帰ってしまっていてぼく一人。夕食6品と「葛汁」という具沢山の汁をたらふく食べた。これはおいしかった。久しぶりに満腹でしばらく部屋で転がってなければならなかったほどだ。風呂も小さい女風呂を独り占めしてゆっくりと入った。どこも冷え切っていてちょっと寒かったが。
頂上まで見える青い空
一番上は人もまばら
さあ、最後の4日はまたもや青い空がグランデコをおおっている。今年は雪がコンコンと降る中のスキーは望めない。去年まるでモコモコの山の中のような雪が今年は圧雪したまっ平なゲレンデで、滑りやすいこと。宿でポットに入れてきたコーヒーを人のまばらなゲレンデの林の中で飲み、にぎりめしと菓子をほおばって一息つく。
今日は早めに上がって更衣室で荷造りを済ませ、スキーと大荷物を背負って猪苗代駅からの最後の高速バスに乗った。
ここのバス発着場はいたってローカルで、まるで昭和30年代のバスのターミナル駅のようだ。かなり以前から手付かずのようで古いままの観光地図が誰にもかえりみられずに壁にかかったままだ。暗い待合には石油ストーブが一個、その廻りのベンチで暖をとる客が3人。誰も口をきかず、冷たい空気がしんとしている。
結局ここで東京行きの高速バスに乗り込んだのはぼく一人だった。バスの荷物室にもスキーはひとつもなし。以前は猪苗代駅といえばスキー客でごった返していたのだろうと、想像する。今はみんな車なのである。なにか寂しい。明日から仕事だと思うとよけい寂しい。

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