今年1月に書いた『高いなんて言うな』と題するブログ記事で、うちの近くの八百屋さんのことを書いたが、その八百屋さん、ついに店をたたんでしまった。
まったくもって残念。
野菜は売るが決して愛想は売らないオジサンだった。
その八百屋の店じまいの弁が、柱に貼ってある。
そこに次のように書いてあった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お客様各位
ご挨拶
このたび、ビルのオーナーの都合により、ここで八百屋が出来なくなりました。
私は、八百屋を六十年やっておりました。何も残りませんでしたが
ただひとつ私には、他の八百屋さんにはできないことですが
それは、品物を安く仕入れることができるという特技があります。
近々消費税が大幅に値上げされるそうですが、いくら高くなっても消費税はいただき ません。
安く売っても、ネギ、リンゴ、バナナ、スイカ、メロン、玉子、サクランボ等等、食 べてまずければ、安いのではなく、価値がありません。
見てくれが悪くても、食べておいしく、値段がやすければ、商品価値は上がります。
この近くで必ず始めますから、わがままな私ですが、また来てください。
開店日決まりましたら、お客様へ連絡させて頂きます。
もしよろしければ、お名前とお電話番号をお知らせください。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『何も残』らなかった、というくだりが何とも潔い。そして『他の八百屋には出来ない』と言い切る自信はどこから来るのか?また野菜を安く仕入れるということが『特技』であるという。何かサーカスの技みたいなことを言う。
して、消費税から商品価値まで今の風潮にひとこと苦言を呈し、決意を表明し、なのに最後に来て『わがままな私』と腰を引いてしまうなんぞ、お主できるな、と思ってしまうのだった。自分の像を認識できている。
で、もちろんぼくは名前と電話をおしえました。
以来まだ何も言ってこないけど。
と思っていたら久が原駅近くでで再開していました。
遠くはないが、野菜の箱を担いでくるほど近くもない。

0