欧州チャンピオンズリーグはイタリアのACミランがイングランドのリバプールを破って優勝した。
チャンピオンズリーグは世界で一番質の高い試合の見られる舞台だ。
そのなかで頂点に立つチームを決めるのが決勝だが、だからと言ってこの試合が世界一の試合とは限らない。
今年の決勝ミラン−リバプール戦はそんな思いのするゲームだった。両方ともミスが目立った。完璧とは程遠いプレーの連続だった。
リバプールはイングランドのチームで大味な長いパスを多用するのであまり好きではない。しかしそのパスの精度やトラップの上手さはまったく持って見事というほかはない。イタリアのミランもどちらかといえば大味な試合をすることも多く、それほど好きではない。しかも今日はインザーギの先発と聞けば、アララこれまたオフサイドすれすれで飛び出して同じ事を何回もする気ね、と思ってしまう。
そしてその予想はほぼ当たってしまい、相手の良いところを消して勝つためだけの試合になってしまった。
ま、これには2年前の遺恨というものがそうさせたとも言うべきだろう。
2年前の同じ組み合わせの決勝では、ミランが3−0をひっくり返されて負けたのだ。あの守りの堅さでは定評のあるイタリアチームがである。だから今回は何としても勝ちたかったに違いない。
それともうひとつ、イタリアのサッカーの名を地に落とした「スキャンダル」(主だったクラブが審判に圧力を加えたとかで選手の頭ごなしに制裁を受けた事件)の汚名を何とか晴らしたいという一念においても勝利が欲しかっただろう。ミランはとにかく「勝ち」たかったのだ。
ワールドカップのイタリアの優勝といい、今回のミランの優勝といい、各クラブは選手にいくら感謝してもし足りないだろう。イタリアの汚れたサッカー会の名誉挽回に身を粉にして働いたのは選手なのだった。イタリアのみならず各国の。
そういう事実がぼくらを熱くさせるのだ。
オフサイドラインをかいくぐって得点することを信条とするインザーギ(ジョニー・デップばりの陰気な雰囲気の優男)がここぞという所で活躍した。今回の得点は全て彼が入れた。彼しか出来ないような「飛び出して入れる」というパターンにリバプールは負けた。しかも2回も、何ということだ。
これでは面白い試合になるわけがない。

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