オルタナティヴロックバンドVery Apeのシンガー
「Ape」のブログでございます。
基本的には過去のことについて語ります。
2007/11/18
僕にはちょっとした自慢がある。
それは、今までやったことのあるバイトの数である。
はっきりとは思い出せないが、多分これまでに40〜50こぐらいはやったのではないでしょうか。
と、まぁ、今回新しく始まるこの企画は、そんなアルバイトマスター(別名:ダメ人間)である僕の記憶の、すでに忘却の彼方に消え去ってしまっているであろう、あのたった一日で逃げるように辞めてしまったバイト先のことなどを全て思い出してやろうではないか、ということと、いかに世の中にふざけきった職場があるかということなどを中心に書いていこうと思っておりますのですよ。おほほ。
それでは第一回「私のバイト遍歴」はじまりはじまり〜!
【第一回 マク○ナルド】
僕が生まれて初めてやったアルバイト。それはファーストフード店の「マク○ナルド」である。
我ながら笑えるよなぁ。このどうしようもなくダメ人間の僕が、ファミリーとか学生とかそんな類の皆さんが「うまうま」と食されるハンバーガーを一生懸命、マニュアル通りにキビキビと、へんな「M」とか書いてあるマリオみたいな帽子とかかぶって作ってたんだもんなぁ。
しかもそこのお店は髪型とかの規則もすごい厳しくて、男は必ず黒髪で耳が全部出てる刈上げみたいな髪型じゃないといけなかったんだよなぁ。あれはキツかったなぁ。時給も確か650円ぐらいだったし。
まぁ、結論から言うと、一週間で辞めたんですけどね(笑)
しかし、人生初バイトをよく一週間で辞めたもんだと自分でもビックリです。
まぁ、そもそも何故僕が「マク○ナルド」で働くことにしたのかと申しますと、高校一年の春、ビビリだった僕は一人でバイトを始めるのがおっかなくて、友達と一緒にやろうと思って、高校で最初に友達になった「タカハシコウジ」という名の、まるで「ミイラは生きている」とか言い出しそうな、ちっさいくせにその後ヤンキーになってしまった男と一緒に探していたのがきっかけなのである。
僕は始めからコンビにとかファーストフードみたいなありきたりなサービス業とかは絶対自分には合わないから嫌だなぁと思っていたのだが、彼は割とそっち系の仕事をしたい風で、しかも僕は割とそういう「どうしよっか?」的な局面では常に「わかんない」の連発で、自分の意思というのがほとんど無い人間であり、例えば自分の母親などに「今日は何が食べたいか?」などと聞かれた折にも「わかんない」。
友達と一緒に遊んでいるとき、友達が「どこ行く?そして何をして遊びます?」なんて聞いたときも「わかんない」。
バンドなどで、「今度ライヴでやる曲どうしよっか?」などとミーティング中も「わかんない」で、僕は本当に自分でも情けなくなるぐらい、らちの開かない人間なのである。
で、これまたバイトした数並みに自慢なのだが、そんな風に常に「わかんない」の連発の僕は、今まで居酒屋などで、いわゆるツマミとやらを一度も自分で注文したことが無いのである。いつも周りが次々頼むものを横からちょいちょい突っつくばかり。
何故なら、何を食べたらよいのか「わかんない」からである。
と、まぁ話が逸れたが、そんな感じで「どうしよっか?」「わかんない」「どうしよっか?」「わかんない」の繰り返しに堪りかねたタカハシコウジがある日「バイト先、うちの近所のマク○ナルドにしよう!これ、定説!」と語気を強めて言い放ったので、僕も特に抗うことなく面接に行くことに相成ったのであるが、これまた、そこにいた面接官兼マネージャーとかいう奴がまた気に入らないタイプの人間で、どうにも生理的に受け付けないんですよね。パンチパーマとまではいかないが、なんか多分当時20代中盤から後半ぐらいだったと思うんだけど、リーゼントみたいな妙にカッチリした髪型で、今にも「腹から声出せー!!」とか言い出しそうな、的場浩司みたいな感じの男ですよ。
そんなだから、僕は面接のときも「何だよコイツ。絶対コイツ俺達がここで働き始めたら昔の武勇伝(膨張ver.)とか語りまくるよ。オイ、もう面接このままばっくれて帰ろうぜ。」と心の中で隣のタカハシコウジに語りかけながら、ちらりと横を伺い、タカハシコウジがどんな顔で的場の話を聞いているのかを見てみると、真剣に背筋をピンと伸ばしてありがたそうに話を聞いているわけですよ。
「え〜〜!僕コイツと仲良くするのやめようかな…」なんてちょっとテンション下がりつつそのままうつむいて絶望的な気持ちで的場の話をなんとなく聞いていたのだが、なんか面接というのは名ばかりで僕等のことなんて何一つ聞かないまま採用ということで、すぐに「いつから働ける?」というような感じで、強引に変な紙にサインをさせられたり、一通り働く際の諸注意などを一方的に告げられたりで「もう今日は帰ってよろしい!これからよろしくな!」となったのです。
きっと、詐欺に合う人ってこういう感覚なんでしょうね。なんだか分からないまま僕は「トレーニー」という肩書きを与えられたのでありますよ。
しかし、実際働き始めてみると仕事は鬼のように大変でした。僕は調理場でハンバーガーを作る人だったのですが、外にチョロっと出たらいちいち手をキレイキレイしないといけないし、床は油でツルツル滑るし、鉄板やらなんやらはアッチッチだし、なんか注文が入ると「サンキュー!」と大声で奇声を発しなければいけないし、ファストフードなのでバタバタと急いで作業をしなければならないし、新人の僕がモタモタあたふたしていると、諸先輩方は無言で僕の受け持つ作業場に飛んできて僕の持っていたピクルスを奪い、残りの作業を全てスピーディーにこなしてしまうのである。
もうめげちゃいそう…。なんて思っていると、余計に作業効率が落ちるので、もっともっと悪い循環になってしまい、先輩方の飛んで来かたは先程よりも更に大胆なものになり、しまいには「サンキューの声が小さい!」と怒鳴られてしまうのである。
そうなると、自分は更に塞ぎ込んでしまい、教えてもらったことに対しての返事なんてもう蚊の鳴くような声になってしまい、諸先輩方からは「やる気あるの?」「なにか不満でもあるの?」の言葉攻めで、一日の作業が終わる頃にはデリケートな僕のハートはもうビリビリに破れてしまっておる訳です。
いや、分かるよ!その諸先輩方の苛々も分かるよ!僕だって新人のモタモタとかはやっぱり見ててイラつくもの。でも、なんか仕事が終わった後にいつもスタッフルームみたいなところで、ベチャクチャ長々実の無い話をしているんですよ、その諸先輩方が。そんな風に、昨日下らない話で盛り上がってたクソ馬鹿どもに無言のプレッシャーを与えられてると思うとムカついてしょうがないじゃないですか。
それに「何がサンキューじゃボケ」という感じであるしね。
大体何が気に食わないかって、まずダサい私服に着替えた的場が中心になって予想通りの武勇伝を交えながらの下らない話が始まって、それに調子のいい真面目そうな大学生とかが大げさに感心したり、大笑いしたりで、それだけでも気持ち悪いんだけど、更に真面目そうな可愛らしい女の子とかもそんな下らない集団の中での上手な対応の仕方なんかを心得ていて、見ていて怖くなるね。真面目って一体何なのだと。
そんな大学生ノリというか、群れ感が本当に嫌で、しかも全員髪型が刈上げですからね。
そんな刈上げが大声で「サンキュー!!」「サンキュー!!!」「サンキュー!!!!」
すいません。ついていけません…。
そんなこんなで、僕は人生初バイトをたった一週間で辞めてしまったのであるが、その辞め方がまた、その後の僕のダメダメバイト人生っぷりを暗示していてなんとも面白い。
なにせ親に電話してもらって辞めましたからね(笑)
「サンキュー!!」
その後、そのタカハシコウジは僕が辞めた後もたくましくマク○ナルドで2年間ぐらい働き続け、当時27歳の人妻と恋に落ちたそうな。そして学校にいつも眠そうな顔で大遅刻で現れ「昨日は3回やって、4回目は痛かったから口でしてもらった」とか「彼女、手でしすぎて腱鞘炎になっちゃった」なんてふざけた事をぬかしてから机に突っ伏して寝てしまうのである。世の中狂っている。だって、その人妻、僕も知っているが、普通に綺麗でおシャレで大人しめな人だったんですよ。本当に狂っている。
そんな混沌とした人たちが「サンキュー!!」と奇声を上げながらハンバーガーを作っているのである。
なんだかなぁ…。
そして、その後タカハシコウジはその人妻の旦那とやらに不倫の関係がバレて、とんでもない修羅場を繰り広げたらしく、そこに的場も出てきて土下座しただのなんだの…。あぁ本当にすぐ辞めてよかった!

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