オルタナティヴロックバンドVery Apeのシンガー
「Ape」のブログでございます。
基本的には過去のことについて語ります。
2007/2/13
僕にとって、中学三年生の時、すなわち14,5歳の頃というのは、人生で三本の指に入るくらい楽しい一年間であった。
それはもう最高の仲間達と出会えて、笑いあり、涙あり、悪さあり、色恋沙汰ありの、とてつもなく濃い一年間で、その事について全く関係ない人に一週間ぐらい語れる程ネタは豊富である。
だがしかし、今回書くのはその楽しい仲間達との思い出ではなく、二年生のときに計画した「文化祭にバンドで出演して女の子にキャーキャー言われまSHOW!」というプロジェクトが、その後一体どのようにして行われていったのかについてである。
前回更新した時にも書いたように、僕等は一緒に文化祭に出演するバンドメンバーを探している最中に三年生に進級してしまい、僕ともう一人の首謀者である「Aナガ」という人物が別々のクラスになってしまったこと、それと冒頭で書いたように僕の中学三年生時代が楽しすぎたこと、それからメンバー探しが難航していたこともあり、プロジェクトは若干僕等の中でどうでもよくなりつつあったりなんかしたりした。
そんな状態で何もせず一ヶ月以上経過したある日の休み時間、ヴォーカルとしてメンバーになった、ちょい悪で短ランとか着ちゃってるような「ゆうちゃん」という人物が僕を訪ねて教室へやってきた。
「おい、あの文化祭の話どうなってんの?曲とかなにやるんだよ。」
と、なんだか知らないが、首謀者の僕等よりもやる気満々な感じで僕に問いかけてきたのである。
「あ、あれねぇ…。今いろいろ考えてる最中だから、もうちょっと待ってね。」
「じゃあ決まったらすぐ教えろよ。練習するんだから。」
と言い捨てて「ゆうちゃんは」くるりと身を反転させ得意の歌を「ボエ〜」とか歌いながら教室から出て行ったのだが、僕は正直その時
「面倒くせぇなぁ。なんでアイツあんな張り切ってるんだよ。高校行ったらアメフト部入るくせによぉ。」
と、その当時では知る由もない、しかも全く関係ない部分を取り合えず突っ込んでみた。
というか、僕は今休み時間で、友達と「バトル鬼ごっこ」という鬼に捕まるとぶん殴られるという非常に楽しい遊びを開発、及び実行している最中なのに「ボエ〜」じゃねえよって感じなのだ。
畜生、なに短ラン着てるんだよ。ちょい悪ってなんだよ。と一人でブツブツ考え込んでいるといきなり僕は友達にぶん殴られた。
しまった。鬼に捕まったのである。
取り合えず僕は殴られた弾みで床に倒れてしまったので、そのまま床にひっくり返った状態で冷静に文化祭までの日数をざっくり考えてみたのだが、うん、今が五月だから、あと半年切ってるよね。
と、いうことで、その日の放課後「Aナガ」を捕まえて、何気にもう日数的にヤバイということを含め色々話をした。
話した結果、取り合えず僕等は何気にメンバーの実力すら知らないことに気づいた。
と言っても、「Aナガ」と僕は互いの家に楽器を持ち寄ってよく遊んだりしているし、僕が手取り足取り指導したので「Aナガ」の実力はもう十分過ぎるほどよく知っている。
そして、先ほどのちょい悪「ゆうちゃん」もよく廊下で「ボエ〜」って一人で歌っているのでまぁ大体察しは付くし、ヤリマンとかその類の馬鹿そうな女が「ゆうちゃんは歌が上手い」とか呪文のようにしきりに言っているので、まぁ問題は無いだろうという感じ。
問題は、ギターが上手いで評判のもう一人のメンバー、同級生の中山の弟、イケメンの「ゴンの弟」である。
そもそもエレキギターを弾ける人物がほとんどいない学校でのギターが上手いという評判程当てにならないものは無い。
どうして僕はそこに気づかなかったのか…。
取り合えず僕等はその日にそのまま「ゴンの弟」の家にお手並み拝見をしに行くことにした。
「ゴンの弟」の家に着くと、まぁ、立派なレスポールですこと!という感じで使ってるギターは取り合えず並みの中学生ではない。
通信教育でギターを習ってると言うだけあって、教材なんかも部屋にたくさん置いてある。
おおぅ、これは期待できそうですね。
と、ふと見ると机の上に楽譜が広げてある。
「今なんの曲練習してるの?」
と僕が聞くと。
「通信の課題曲でラルクのLies and Truthをやってます。」
と、イケメンヴォイスで答える。
「へぇ〜。ちょっと弾いてみてよ。」
で、「ゴンの弟」、こなれた様子でギターをアンプに繋いで弾き始める。
おおぅ、これは期待できそうですね。
で、弾き始めたはいいんだけど、なんかすぐに首をかしげて弾くのを止めてしまい、また弾き始めたかと思うと首をかしげて止めて、途中からやり直したり、また首傾げたり…
あの〜……で、今どこ弾いてんの?って感じでありんす。
つーかこれ上手いの?あ、ほら、また首かしげた。なんなの?これ。誰が最初に上手いって言ったの?あ、ほら、また首かしげた。あ、ほら。まただよ。なに彼?ビートたけし?
まぁ、しかし、こういう微妙な空気になってしまった場合、相手がイケメンかキモメンかで大分こっちの気持ち、行動も変わってくるってもんです。
この状況で相手がキモメンだったら迷わず今すぐ鉄拳制裁なのだが、相手がイケメンだと
「あれ〜…なんか今日は調子悪いのかな…?」
っていう気に本当になってくるからこれ不思議。
取り合えず僕はこの気まずい空気を変える&彼のフォローのために一つ質問を投げかけた。
「ちなみに今って何曲ぐらい弾ける曲あるの?」
「あ、今は……っていうか…これが初めてやる曲です。」
チーン
つづく

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