2017/10/25

美味しい会社  異文化

クリックすると元のサイズで表示しますメゾンカイザーのパン

8月に始めたお仕事は、自分に合わないというか出来そうもないので3ヶ月で契約は更新しないことにしました。

でもせっかくですので、ユニークなそのお仕事のことを皆さんに報告しちゃいます。

私の仕事は、とある外資系企業内のフード部門を請け負っています。

ところが、これが他に類を見ない形で、社員食堂でもカフェテラスでもなく、一軒カフェのようなスペースで、社員さんがセルフサービスで取りに来るフード&ドリンクを提供しメンテナンスするというものです。

メインは朝食で、日替わりで有名ベイカリーのパンやサンドイッチ、ベーグル、パンケーキ、おにぎり、サラダなどが出され、毎朝のレギュラーでもパンが数種類にバターやジャム、チーズ類、ナテラ、ベジマイト、半解凍のフルーツ類もあります。

フルーツ、シリアルやナッツ、ドライフルーツも数種類1日24時間常備してあり、

コーヒーはエスプレッソマシーンとドリップの2種類の他にインスタント、一人用フィルターコーヒー、ファミレスのフリードリンクのような、数種の紅茶、日本茶、中国茶、ハーブティー、ジュースサーバーから出るコールドドリンク、日本ではまだなじみの薄いインフューズドウォーター(フルーツ、野菜、ハーブ入りの水)、

冷蔵庫にはジュース、ヨーグルト、デザート、牛乳、豆乳、コーラ、ミネラルウォーター、ヤクルト、etc.

シリアルバーを始めとするスナック類も、羊羹やおまんじゅうからプレッツエル、ビスケット、クラッカー、ポテトチップス、チョコ、昆布、のど飴、ポッキーとなんでもあり、

カップ麺やカップスープ、インスタントスープも、和洋中華が揃い(チゲも)、

果ては青汁やビタミンCドリンクまで揃っています。

その常備食以外にも、1日1回、野菜と果物3種類が出ます。

つまり、社員さんは美味しくボリュームのある朝食を楽しみに出社することができ、

コーヒーブレイクはいつでも、

ランチも、外食するチャンスがなかったり、お弁当を買いに行く暇がなくても、サラダやカップ麺なら無料で手に入るし、

午後、疲れてきたら、チョコレートやシリアルバーで栄養補給できるし、

食生活に気を使っている人でもフルーツ、ドライフルーツとナッツはいつでも好きなだけ食べられるのです。

さらに時々特別にアイスクリームが提供されたりして、

この会社では朝をメインにしているあたり、効率よく人間の能力を発揮できるよう考えられてると思います。

そのため会社が負担する福利厚生費は社員食堂が無料とか補助金が出るとかレベルよりも何倍もかかっていますが、それだけの利益を社員が生むシステムになっているのですよね。

それと、その昔アップルコンピューターのデザインは完璧だったように、この外資系企業のインテリアデザインもとても徹底して未来的でカッコよく、いわゆる事務所っぽいところはありません。一流の仕事は一流の空間から生まれる、というポリシーが無言で伝わってきます。

ただし、そのポリシーがアウトソーシングの社員までには及ばないのが辛いところで、私たちは納品業者さんからサンプルを頂いた場合には試食もできますが、基本、自分たちの扱っているものを食べたりできません。

それはクライアントさんであるその企業のポリシーではなく、フードを請け負っている方の会社のポリシーかも知れませんけど。

ポジティブな福利厚生を請け負う会社もそのポジティブな姿勢に影響されてくれればいいのですけど、残念ながら長時間労働に有給休暇なしでも頑張る社員さんが温存されているようなのです。私はもうすぐいなくなるけど、スタッフの人たちみんないい人だから良い条件を勝ち取ってほしいです。









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2017/9/16

留学生ホームステイ  異文化

日曜日から留学生を我が家にホームステイとして受け入れているので、オタク生活は棚上げとなっています。

それでも水曜日にAXNミステリーチャンネルで始まった「オリバー・ツイスト」と木曜日の同じチャンネル、「オックスフォードミステリー ルイス警部」はチラリと見ました。・・・テレビって娯楽だったんだなぁと改めて噛み締めました。いつもは本気で集中して見ていたテレビドラマも、こうして日々の喧騒からちょっとした気分転換になるのだなと・・・。

でも今日は外国の学生を受け入れるとはどんなことかを少し書きますね。

今回は、娘の高校にオーストラリアから28人の高校生が1週間来たケースです。実は娘も相手先の高校に費用は学校持ちで来月行くため、そういう生徒の家庭は積極的に受け入れをしてくださいというポリシーなのです。

ということで受け入れ家庭に当選してしまい、まずは「成田へお迎え」から。

学校の先生とホストファミリーが成田空港の到着便ゲートに集合して、オーストラリアからの一行を待ちます。

我が家に泊まるのは17歳の男の子なので、ほぼ大人として扱えるかな、とゆったり構えていた私もその場の雰囲気に緊張感が高まってきました(汗)。ホストマザーとしてしっかりしなくちゃ!とか。

ふと気づいたら、そこは懐かしいターミナル2の出口B。数年前、ベネディクト・カンバーバッチさんが初来日した時に出迎えをしたあの場所でした。あの時の緊張感もすごかったけれど、なぜ高校生ひとりのために私は緊張したのか・・・

ついにゲートからお揃いの「〇〇School Japan Ture」と刺繍が入ったポロシャツ高校生たちが現れ、先生から担当の留学生を引き渡されたのは夜8時ごろでしたが、飛行機好きの娘が早く来たがったので、その日3時ごろから成田空港をウロウロ飛行機を見てまわっていた私はぐったり(笑)。

翌日からは学校があるためちょっと外食するにも遅い時間だったため、娘と私は空港でお弁当を買っておきました。なんといってもホストファミリーの重要な役目の一つは食事の提供です。

実はお弁当の種類も、東京駅の駅弁ショップみたいに気の利いた種類が揃ってないのにガックリ。駅弁は立派な日本文化だし、国際空港でもっと力を入れるべきじゃないかなあ。

チキンカツサンド、トンカツ弁当、焼き鳥弁当というセレクションから留学生くんが選んだのは焼き鳥。ちょっと意外。スカイライナーの中でお弁当を食べながら家に向かったらあっという間でした。

スカイライナーの駅から我が家までは徒歩10分なのですが、スーツケースがあったので我が家の最寄駅から夫にメールして迎えに来てもらおうとしたら返答なしだったので、タクシーにしました。そしたらなんと410円?!そうか、タクシーの初乗りは1キロからの計算になったのでしたね。運転手さんごめんなさい〜

その日はお部屋に案内して、シャワーの使い方などを教えて、それから翌日はお弁当をホストファミリーが用意する日だったので、6時半に家を出る私は寝る前にお弁当作りでした。日本らしいお弁当ということで、ワカメと梅干のおにぎりとササミカツを甘辛く煮たもの(冷凍食品)、枝豆(これも冷凍)を子供達と私の3人前作って冷蔵庫に格納して就寝!

1週間の間に留学生は全員で「東京ディズニーランド」と「浅草〜江戸東京博物館」に外出があったのでその2日分はお弁当なし、要お弁当は計3日間でした。毎日ではないのがラッキー、だって夕食は毎日ですからね。

お弁当も最初の2回は「おにぎり+おかず」(2回目はタコさんウインナーとコロッケとミックスベジタブルのサラダ)という典型的な日本式にしたので、3回目は「クロワッサンのハム&チーズサンドイッチ」とおせんべいと葡萄のデザートに。私も簡単で嬉しいし、留学生もそろそろ日本食は十分体験したでしょうから。

夕飯メニューの方は、

月曜・・・回転寿し(楽しいと思って連れて行ったのだけれど
     家ではいつもどんなもの食べてるのか聞いたら
     「お母さんはお料理が上手でいつも家で食べる」
     という回答が来たのでつい
     「うちもいつもは家だけどここも楽しいよね?!」
     と言い訳のようなことをしてしまいました(苦笑)。
火曜・・・ポークロースの味噌漬け焼き+キャベツ千切りサラダ
     じゃが芋と玉葱の味噌汁+ご飯+アイス
水曜・・・焼きそば+シュウマイ+卵とワカメのスープ+ロールケーキ
木曜・・・トンカツ+ポテトサラダ(手作り)+ご飯+ヨーグルト     
     (この時はわざわざトンカツソースを買ったのだけど、
      リーペリンのWorcester sauceの方を選んでた(笑)
金曜・・・東京大学内のレストランのバーで、彼が選んだのはカレー
     ミニサイズのバー仕様でしたが、
     「日本のカレーは美味しい」とのコメントでした

ちなみに朝ごはんは、毎朝シリアルとパンやドーナツを用意して、特に日本の朝食はなし。留学生一行は、明日か台風が来たら明後日に広島と京都に行くので、その時に旅館かホテルに泊まれば「納豆、焼き魚の朝ごはん」に出会えるでしょう。 

それ以外にホストファミリーの仕事としては、お洗濯があります。特に後半は旅行になるので、汚れ物はなくして東京を出すのが親切ですものね。男の子のパンツやソックスを洗うのは、娘の幼なじみの子がロンドンから泊まりに来る時くらいですけど、夏場だしTシャツやポロシャツ、ショーパンも1回来たら洗うタイプの子らしく洗濯物出してと言ったら出てきました。

あとは私が5時までお仕事あるので、学校が4時半頃に終わった後、娘が学校の他の友達と渋谷に行ってプリクラを撮ったりして楽しんでました。 

それを娘がSNSにアップしてたら、校内の子たちから「い〜な〜!」「裏山!」のコメントが。娘の学校は英語コースが大きい高校なのですが、たった28人の留学生と交流できるのは1000人以上いる生徒の中でも限られた子になるのか・・・と改めて。 

それから留学生たちは原宿にも学校の先生に連れられて行きました。定番のキディランドを楽しんだようで、うちの子は「昭和電気のオタマトーン」という楽器のようなものを買ってきました。へ〜そんなものが存在していたことも知らなかったけど、可愛い顔の音符の顔なんですよ〜

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あとはね、お洗濯したTシャツの中に大日本帝国海軍と毛筆で書かれた朝日柄のとかゴジラのとかあって、やっぱこれは東京来てから買ったんでしょうね、それを着る前に一度洗うとういうのは彼のお母さんの躾でしょうか、おおらかそうなオーストラリアの人ってイメージですけど几帳面な人はどこにでもいるものですね。そういえば私のシドニーの義理の叔母も、とても綺麗好きでピカピカの家に住んでるし。

今日は夫が、築地〜新宿に連れて行っていて、私はこうして1週間ぶりにPCに向かう時間ができました。

来月は娘がお世話になる家庭の子も今学校に来ていて、娘は金髪でスラリとした女の子にどこに連れて行って欲しいかなどをすでに聞かれて嬉しそう。その子の家には、犬と猫と、なんと馬もいるそうで、私が代わりにホームステイしたいくらいです。

娘は今、学校でも家でも留学生に付き合ってお疲れモードですけど、そういう楽しみが待っているのだから頑張りたまえ。

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2017/9/8

ファッショナブルな環境  異文化

新しいお仕事がまた大変なことになっていることは9/1のブログに書きました。

ひとつ前のコンシェルジュの仕事は、主に環境と接客相手にストレスを感じましたが、職場の人たちは皆さん良い人でした。

それが今度は反対で、私がサポートすべき上司の性格に難あり&就業状況がブラックなんですけれども、環境は最高なのです。

(まったく、あちらを立てればこちらが立たずとは・・・)


では、職場に入って3週間して少し見慣れてきた目で解説してみたいと思います。
エリート企業ってどんな世界なの?!

私は今、派遣でとあるイギリス系外資企業のお仕事をしていますが、これがマトルーシュカのようにこのイギリス系はとあるアメリカ系外資企業の内部でお仕事を請け負う、ということをやっています。

最近の企業は、外資でなくてもデザインがオシャレなオフィスが増えているようですが、会員制高級クラブや高級タワーマンションで働いてきた私が見ても今の企業で圧倒されたのは、

日本人女子社員が綺麗なことでした。

国内大手企業が地味にさえ感じました。でも落ち着いて観察すると、綺麗なヘアメイクと高いピンヒールが、そのオフィスのデザインに映えて、美人ワーキングウーマンを誕生させていたのです。

この空気は、イギリスの建築+インテリア+ファッション誌の「Wallpaper」を思い出しました。

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この雑誌の現実離れした、この世のものではない御伽話の世界が好きだな〜と思っていたのに、実際にあったなんて?!

同じ人を、電車や地下通路などで見かけたとしたら、それほど感動はないような人でも、なぜかあのオフィスではしっくりオシャレなんです。まるでデパートのウインドウのようです。

そんな美しいオフィスでは、さぞオシャレ心が刺激されると思われるかもしれませんが、

私はそのオシャレ企業のロゴ入りTシャツ制服を着た働きアリ。オフィスのデザインがかっこいいだけでなく、なぜか消耗品(ティッシュケースとかプラスチック&紙コップ、食品を乗せるトレイや紙ナプキンなど)にロゴを入れたものを揃えているのですが、アウトソーシングの人員にはロゴ入り制服を着せるとは、消耗品扱いなのかと勘繰りたくも・・・


そのアメリカ系企業の社員さん方は多彩な国籍なんですが、美しいのは女子の姿だけではなく、

働きアリの私に対してまで敬意を払ってくれます。多分、皆英語ができるので英語流の対応を日本語でしている、といった感じ。

特に差が出るのは日本人の男性で、たいへんポライトな人が多いです。レディファースト文化が身についているせいでしょう。

逆に珍しく高慢さを感じるのは白人男性に多いかも。こちらは多分、私がコーヒーを作ったりしている人なので英語は通じないであろうと私を透明人間のように扱うせいかと思われます。

もちろん、日本人でも私を空気扱いする人もいれば白人でもフレンドリーな方もいますが。

それと、環境はインテリアだけではなく、外に見える景色も素晴らしく、東京駅や皇居を見下ろすので、じっくりと眺めてみたいです。丸の内には高層ビルが連立しておりますが、なぜかそのふたつを見下ろすという視点があるとは想像できませんでした。

しかし、上司はなぜか私がサボっているのではないかと疑っているらしい(私ってボーッとしているタイプだからかな〜)ので、一瞬でも窓の外など眺めているのを見つかったらどんな意地悪されることか。いっそ鬼上司にクビにされることにでもなったら360度景色を堪能してから辞めるとします。

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2017/6/7

外資の落とし穴  異文化

オシゴトを変えて10日ほど過ぎた頃、前の職場で仲良くしてもらってたSさん&Hさんとコーヒーとケーキで近況報告しあいました。

変化のあったのは私なので、新しい職場のことを話すつもりでいたら、なんと、まだ私がいた時に勃発した「GさんによるSさん攻撃」が泥沼化してそっちの話で持ちきりに。。。(汗)

クレーム女王のGさんが「SさんはHさんにばかり説明して私にはしない。スーパーバイザーは全員に説明すべきじゃないですか。」と。

挙げ句の果てに、

「私は日本語が上手だと言われるんです。」
「私は管理には自信があります。」

とまで言い出したとSさんに聞き、びっくり・・・・

すぐにはどういう意味か私には飲み込めなかったのですが、どうやら「Sさんではなくて自分にこそリーダーの資質がある」とアピールしたということだそうで!

いやー、それはGさんの大きな誤解でして、

彼女はまず普段から何かと病欠や足腰の痛みで週に1回欠勤する。感情のコントロールができず大騒ぎしてミーティングを要請する。組織図というものが理解できてないのでトンチンカンな別の部署の上の人に仕事の話をして、マネージャークラスの間に揉め事を起こしたことがある。うっかりミスが多い。自分のミスは認めない。仕事は遅い。仕事の文句を言う。日本語はカナなら読み書きできる。

このような資質を備えたGさんに、Sさんは「リーダーの資格がない」と言われたようなもので、Sさんは原因不明の発疹ができてしまっていました。


・・・こんな変な人満載の職場なんて私も初めてでしたが、

Gさんや、私へパワハラしていたゴラム先輩が、なぜ勤務を続けられるのかが謎ですよね?

そこが外資の落とし穴で、多様性に対応しすぎた結果かと思われます。

日本の普通の企業だったら通用しないようなワガママも外人はいろいろ言ってくるので、Gさんやゴラム先輩も特別目立たず放し飼いになってしまった。


さて、このような緩い職場から、日本の大企業(派遣ですけどね)へと移ったワタシですが、

最初の2日間、先輩方の説明が3倍速に聞こえました

つまり、外国人もいる職場では私の日本語の能力が落ちていたと。しかも語学力のレベルに仕事の内容というのは比例するもので、複雑なことはマネージャーが処理して、現場では知的レベルの高いことは要求されなかった。どうりでラクチンだったわけです!

今転職して2週間が過ぎ、先輩の指示に耳が慣れて普通に聞こえるようになり、あ〜よかった。私の脳が普通レベルに早く追いつきますように・・・







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2017/5/25

いちげんさん  異文化

ネトフリが最近あまり見れてないのでちょっと契約を休んだのですが、その前に見逃しがないかとざっと作品リストを眺めていて見つけたのがこちらでした。

原作はスイス出身のデビッド・ゾペティの小説で、90年代に話題になったらしいし、当時の人気女優鈴木保奈美がヒロインなのだけど、私は小説も映画も全く知りませんでした。

「異文化」というブログのカテゴリーを持つうちとしては、これは見て感想を書かねばいけないような使命感に襲われたので頑張ります!(笑)


物語:

舞台は1989~90年の京都。スイス人の主人公は、日本の古都で常にガイジン扱いを受けるフラストレーションを抱えながら大学で日本文学を専攻していた。対面朗読のボランティアで知り合った盲目の若い女性/京子と恋に落ちたり、夏の暑さに耐えかねヒッチハイクで北海道に行ったり、通訳でヤクザと刺青の世界を見たりと日本の表裏を日本人よりも見る機会に恵まれつつも、大学では教授からトンチンカンな評価しかもらえず・・・


感想:

日本文学専攻の学生が朗読をするということで、森鴎外、安部公房、それにドフォルジュの背徳の手帖などが出てきて、それが違和感のない1990年代と言うよりも50年代までの日本文学や映画が持っていたような美しい日本語のセリフが主人公の口から語られる。

しかも、それがイギリス人俳優エドワード・アタートンによって。

まずここから私は混乱しました。映画の冒頭で主人公はスイス育ちで、家の外ではフランス語、家では英語とドイツ語を話していた、とありました。

すると3ヶ国語を話す人の耳は子音の聞き分けが自分の操る言語にある数だけできるはず。エドワード・アタートンはすごーく頑張ったと思う。だって一人称「僕」で綴られる話なので日本語のセリフの量がハンパない。

頑張ったけど、やっぱり英語訛りが入ってしまいました。もしフランス語ネイティブのキャスティングだったら違ってたと思うんです。フランス語の人の日本語発音の自然なことと言ったら、少しの間なら外国人だとわからないくらいの発音ですもの。

だけど本当に頑張りも評価します。よくある英語ネイティブの日本語アクセントやイントネーションは出さないように随分訓練されたと思われます。

スタッフにも、撮影は非日本人、それ以外にも日本以外で仕事をしたことのある人を入れて、客観的な(つまり主人公の)視点で日本を映像化するのに頑張ったのだな、と思う。

それで淡々と木々や桜などの日本の自然や家屋、銭湯、ヤクザの世界を絵のように切り取った映像が印象に残るように作れたのですね。絵と絵の間に真っ暗になる1秒の間をとったのもいい演出でした。

実際には狭い畳のアパート、ラーメン屋さん、カラオケ、一緒に写真を撮りたがる日本人、フィリピンパブ、大学の学生や教授(全員が敵のように見えた)などのごちゃごちゃした日常も出てくるのですが、美しい方の映像は見ている人も引き込んで共有できるように見せているのに比べ、ごちゃごちゃの方は外国人の目で見た世界という感じで出てくるので私にはあまり印象に残りませんでした。

原作は外国人による日本語の文学作品ですので、フラストレーションは感じながらも基本的に日本への大きな愛があるので、映画もそういう風に作ったのだと想像します。

脚本も原作に忠実にしたのだな、とは「1匹の兎、そして5人の学生と」という独白でも感じます。日本語ネイティブだと「兎1匹、そして学生5人と」という語順になりがちだからです。もっとも明治の日本文学だと翻訳調という文体もあるしその両方の雰囲気が感じられるかも。


さてさて、ではそろそろ内容へツッコミたいと思います(笑)。

美しい物語で映画なので、その分リアリティがありません。

だってね、ヒロイン京子は盲目、しかも電気が消えたりついたりしても反応がない全盲らしき。その彼女はどうも母一人娘一人で、お母さんも美人で綺麗に髪をまとめて着物を着ているんです。このお母さんは何者?!職業もお父さんはどうなったとかの説明はありません。

この母娘は東京から引っ越してきたとのことですが、古い一軒家に住んでいます。お母さんはお金持ちの内縁の妻なのかしら?着物の着こなしが自然だし高級芸者だったのかしら?

そしてなぜ京子がいくら小さい頃から盲目で慣れているとはいえ、「今まで娘が外国人と会ったこともないから留学生によるボランティアは友達を作る機会にもなる」と年ごろの一人娘を外国人の男とわざわざ友達になるよう仕向けたのか?

お母さんが2泊3日もひとり娘を残して外出するなんて放置しすぎじゃないでしょうか?

しかも娘とその男がテーブルを挟んでキスしそうになっているところに西瓜持って現れるんですね、絶対その状況に気づかないわけないですよ〜!

とにかくそのお母さんの存在が私は気になって気になって、主人公にとっては目の見えない美しい京子が妖精のような存在だったかもしれないけれど、私にはお母さんの方がよっぽど妖精のように見えました。シェイクスピアの、恋のいたずらをするような。

そして私なりの本題です。

「王様の為のホログラム」だ。

西洋人の男が人生で壁にぶち当たり、異文化圏で異邦人として、現地の人にもとざされてるような世界も外国人だという特権で興味深い体験をする。しかし所詮は異文化圏に一体化はできない。そこへ異文化を受け入れる強さと賢さのある美女が現れ恋愛をする。

その彼女たちは好奇心旺盛だから異文化を受け入れるのだけれど、恋愛にもとても積極的。西洋人の男は美女を受け入れるだけでいいんです。これならば彼女と別れて自分の国に帰ってしまっても「蝶々夫人」にはならないでしょう?って声が聞こえちゃう。

男の美しいロマンだよね〜と思いました。

あと、物語が1989年、明治の純文学の空気をギリギリ出せた最後の時代だったのじゃないでしょうか。

独白にも出てくるように、「まだドイツが二つ、ソ連も存在し、ネルソン・マンデラがまだ投獄されてた時」なんですね。(主人公はテレビでベルリンの壁が崩されるのをソワソワと見ていました。スイス近いもんね。ちなみに私はその頃ロンドンにいました)あの時代はまだPCもインターネットもなくて、大学の卒論が手書きです。(でもワープロはあったよね?あれは学生は使わなかったのかしら?私は卒論を書いたことがないのでわかりませんが)

あれから30年近く経って、この物語も古典のような香りがすでにするのです。鴎外のロンドンみたいな。




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