思い出映画その1
「さくや妖怪伝」 2000年 日本映画
江戸時代(宝永4年)霊峰富士が噴火し世に妖怪が溢れだした。妖怪により乱れた世を、妖怪封印を生業とする妖怪討伐士榊一族が駆け抜ける。志半ばにして倒れた父の遺志を継ぎ妖刀「村正」を手にした「さくや」は、仇の妖怪の子を「太郎」と名付け弟として育てる。そんな中、富士爆発の元凶が駿河の国草薙の地である事を知ったさくやは、太郎と共にかの地へ旅立った・・・
妖刀・妖怪・陰陽・忍者等、日本のアクション時代劇の面白そうな要素が全て詰まった娯楽作品。プラス主人公は
美少女という事で掴みはグンバツ。
妖怪を封印出来るが、使い手の
寿命を喰らうという妖刀「村正」。寿命を回復するには人間を斬らなければならないというジレンマ設定で、もうこれだけで
中二病患者はドハマり確実。
CGもそれなりに使われていて画面の迫力はあるのだが、アクション面はもう少し
頑張りましょう、といった所。主演の
「安藤 希」は、さくやのイメージにぴったりだが動きがイマイチ。
「肘井 美佳」や
「武田 梨奈」位動ければもっと臨場感が出たはず。安藤さんの
抑揚のないセリフ回しも気になる。
妖怪はCGではなく
特殊メイクと着ぐるみの為、どこか子供向けのほのぼのとした雰囲気がある。確か公開が夏だったので、ファミリー層を意識した造りだったのかもしれない。これは悪い事ではないが、作品全体の雰囲気からすると少し
浮いたように感じられる。
アニメではありそうだが、この作品の様な少年漫画的時代劇の劇場版映画というのは珍しいのではなかろうか?興業的にどうのこうのというより、こうした特撮を駆使した娯楽作品を造ろうという
気概は素晴らしい。
竜騎士採点(5点満点)
★★★★☆ 全体の造りは悪くない。今観ても十分面白い作品だ。細かな設定を詰め込んでいてそれをキチンと活かしているのだが、余りに盛り沢山で1回観ただけでは理解できないかも・・・?
女優度数(5点満点)
★★★★☆ 主人公「さくや」を演じる「安藤 希」の凛とした可愛さが良い感じ。ラスボス「土蜘蛛」は
「松坂 慶子」こちらは流石の貫録。
さて、この作品は劇場公開をリアルタイムで観賞した。当時は、秋田書店の
「ヤングチャンピオン」に漫画原稿を持ち込んでいた時代。何回か賞を受賞していたので一応
担当さんが付いていた。打ち合わせの中で映画の話が出る事もあり、作品を描く上でも
映画をもっと観よう!という意識が強くなっていた。(元々映画は好きだったが)
で、この作品は当時暮らしていた東京において
一人で観に行った最初の映画として記憶に残っている。基本的に映画は家族・友人と観に行く事が基本だったので一人で観に行った作品は殆ど無かった。上京後何本も映画を見たが、この作品までは必ずツレが居た。しかし、上記の状況から数をこなすには他人の都合を見ながらというのは効率が悪いわけで、自然一人で観に行く事になる。その最初がこの「さくや妖怪伝」だったのだ。この作品を切っ掛けに、一人でガンガン劇場に足を運ぶ事になるのだが、これは当時住んでいた所が
新宿に近かったことも一因だ。仕事帰り等にぶらっと映画を観れる環境が整っていたのだ。
では何故この作品を選んだのか?
大きな理由は、ヤングチャンピオンで映画の宣伝も兼ね主演の安藤希さんのグラビアが掲載された事。そして、映画のあらすじを読み中二病が発症した事の2つである。そうでなければ、アニメ・特撮以外の邦画を好んで観ない私が、始めの一歩として邦画を選択する
ハズが無い。
漫画原稿は色々な編集部へ持ち込んだが、最終的にヤングチャンピオンへの持ち込みに落ち着いた。そんな中、漫画製作の肥しとして映画を観る決心をし、その時一番興味を惹いた作品がこの「さくや妖怪伝」だったのだ。
開けても暮れても漫画の事を考えていた時の思い出の映画である。
<了>

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