蘇った怪獣王
今回紹介する作品は
「ゴジラ」です。初代では無くVSシリーズ(子供向け)が一段落した80年代
(84年)に公開された作品です。
日本の漁船「第5八幡丸」が消息を絶つ。ただ一人の生き残り「オクムラ」は、巨大な怪物を目撃したと証言。同時期、ソ連の原潜が日本近海で撃沈。アメリカとの間に緊張が走るが、原潜を襲ったのはゴジラであった。
アメリカとソ連にゴジラに対する
戦術核兵器の使用を求められるミタムラ首相だが、毅然としてその要求を撥ね退ける。
やがてゴジラは、原発を狙い日本に上陸。ついに新宿副都心を蹂躙し始める。自衛隊は首都防衛戦闘機
「スーパーX」で応戦。カドミウム弾にてゴジラを仕留めるが、落雷により蘇生したゴジラに壊滅的なダメージを受けてしまう。
その時、ゴジラを生物的に研究していた「ムラタ」教授は、ゴジラの帰巣本能を刺激する音波の開発に成功。ゴジラを伊豆大島三原山へ誘導し、火山へ落とし葬り去るのであった。
初代以後、いつの頃からかゴジラは子供(人類)の味方、という怪獣に
あるまじき様相を呈していた。怪獣同士の殴り合いは子供に大うけだったが、同じような話の
インフレが広がり飽きられていった。そんな一連のVSシリーズがひと段落した時、再び
怖いゴジラが帰ってきた。当時中学生だった私はVSシリーズの方が好きで、人類の敵として設定されたゴジラに少なからず疑問を覚えた。しかも、作中のゴジラは怪獣ではあるが、我々人類と同じ生物である、と位置付けられていた。ゴジラも人類の
犠牲者という設定だ。これはこれで後のシリーズの
「話せばわかる」という意味の判らない(説得力の無い)根幹となって行くのだが、この時点ではそんな事は微塵も考えず、火山に消えて行くゴジラに目頭を熱くしたものだ。
さて、この作品は
初代ゴジラの
リメイク、と言っても良い内容。ゴジラは中々その姿を現さず、中盤に突如原発に現れるまでは、日米ロの国際問題、オクムラ兄弟の兄弟愛、ムラタ教授のゴジラに対する想い等の人間ドラマが展開されていきます。この構成が怪獣映画の基本。お化け屋敷の様に出るゾ、出るゾと振って中々出ない。満を持して出現後は自衛隊と大バトル。最後は静かに消えていきます。
初代の鉄塔で生中継のアナウンサーの役所は武田鉄也演じる浮浪者、ゴジラの物悲しい最後はオキシジェンデストロイヤーで溶かされるゴジラと火口に沈んで行くゴジラにと、初代を髣髴させる演出が光る。
また、当時は何とも思わなかったが、作中のミタムラ首相の決断力を今の政治家に見せてやりたい。
NOと言える日本人だ。
現在原発というキーワードは、負のイメージとなりつつあるが、純粋に娯楽作品として面白い作品ですので、是非ご覧になって頂きたい。
「ゴジラ」 1984年 日本映画
竜騎士採点(5点満点)
★★★★☆ 当時はオープニングの第5八幡丸内部のミイラがメチャクチャ怖かったが、今観ると全然怖くない。時代を感じたよ。スーパーXはカッコ悪いなぁ(パイロット達の男気は良いけど)。
女優度数(5点満点)
★★★☆☆ ヒロインはオクムラの妹で演じるのは東宝ヒロイン
沢口靖子。カワイイけどそれだけ。

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