10月11日は、中体連全県選抜と水戸クラブの全国大会予選でした。
毎年、この時期に全県選抜の精鋭18名と対戦できることは、ものすごくうれしいことですし、勉強になります。
県内に、中学校野球部に所属する選手が何人いるかわかりませんが、とにかくその中の選ばれた18名ですから、すばらしい選手にはまちがいありません。
水戸市の元石川球場。朝一番、私は正直、ガッカリしました。
県内から選ばれたエリートばかりです。もちろん野球はピカイチでしょう。でも、野球と共に、全県選抜ですから、その他にも光るものを期待していました。
その選手達、私と顔を合わせてもあいさつひとつ出来ません。コチラから「おはよう!」と声をかけても、返事も返って来ません。最悪は、私から顔を背ける選手もいました。
これには、私も参りました。
県内から選ばれたすばらしい選手なら、そのくらいのことは出来ると信じていました。そのようなことを期待する私が、間違っているのでしょうか?
思えば、学童野球水戸エンジェルスの子供達も、小学校の時にきちんとあいさつできても、中学校へ行くと、あいさつが出来なくなってしまい、ガッカリしたことはあります。
どうも、中学生の年代というのは、あいさつなどが「気恥ずかしい」と思う年代なのかも知れません。中学校の先生は、どのように教えているのかな?と、いつも疑問に感じていました。
ひとつ判ったことがあります。
このKボールの試合会場に来ていた中学校の先生達を見ていて、判りました。
先生方が、まず、あいさつできません。コチラからあいさつして、はじめてあいさつが返ってきます。
これでは、生徒達は出来ませんね。
子供達は、教えてもらっていないんですね。おそらく・・・・。
Kボールの全県選抜が「教育活動の一環」というなら、、野球以外にも他の選手のお手本となるような選手を選んで欲しいと思うのは、私だけでしょうか?
最近、私が「師と仰ぐ」大先輩から、こう注意されました。
「おまえも、間もなく60歳になるんだから、敵を作るような発言は慎んだ方が良いよ。」
確かにそう思います。歳をとると、人間ずるくなります。言いたいことも、ぐっと我慢して、適当に人生を送ります。
今回も、このようなことをつぶやけば、多くの人から、たくさんの攻撃を受けることは目に見えています。
でも、このことだけは何としても、自分で納得いきませんでした。
「野球さえうまければ、他のこととはどうでも良い。」そう言えるのは、ある意味、水戸クラブの方かも知れません。
でも、私は、そう言いたくありません。
私は古くさい人間かも知れません。
でも、野球をやるのは人間です。人間性がよくなければ、選手として大成しないと信じています。
最高の野球技術を持っている選手だからこそ、人間的にもすばらしくなって欲しいのです。
間違っていたら、ごめんなさい。
今日は、ちょっと長くなります。よかったらお付き合いください。
そして、その全県選抜との対戦です。
先発したのはT・K君です。水戸エンジェルスで、一緒に野球をやってきた、エンジェルスO.Bです。マクドナルドトーナメントにも出場して、全国ベスト16まで、一人で投げ抜いた選手です。
6月に中学校野球部が負けてしまったときに、真っ先に「Kボールがやりたいです。」と駆け付けてきた一人です。水戸クラブの練習を始めたら、今度は中体連の「県央選抜」に選ばれてしまいました。当然、彼は県央選抜に参加しました。
しかし、彼は、最終的に「全県選抜」には、残れませんでした。
そして、再び、私のところを訪ねてきました。
「全県選抜と対戦したいです。」涙が出ました。その心意気、私が感動しないわけはありません。
正直言って、このとき水戸クラブには、彼を上回る投手が、数名いました。
そして、この日、初戦の先発は、そのT・K君です。
選手起用について、私は、一切、口を挟みません。
彼の心意気を、紀藤監督と深作コーチは、充分理解してくれていたのです。これまた、私は、うれしかったのです。
昨年までの水戸クラブは、エンジェルスO.Bが中心でした。今年は、そのエンジェルスO.Bは、チームにたった2名。
その水戸クラブの伝統を、彼は背負ってくれたのです。
走者を出すも、要所を押さえて、点を与えません。彼の、マウンド裁きは天下一品です。数々の修羅場を経験している裏付けがあるからです。
彼の投球回数は、4回を予定していました。
ところが、その4回。ピンチを迎えます。ランナーを背負って、苦しい場面でした。
当然、投手交代を考えた場面です。お互い無得点。勝負を考えれば、投手の交代は必死のところでした。
そこで、紀藤監督がひと言。
「ココで彼を変えたら、彼の将来には、決してよくない。押さえられればそれでよし。打たれても、それまたよし。一番いけないことは、彼をモヤモヤさせた気持ちで変えることだ。」
さすが投手出身の監督。水戸クラブの勝負の前に、一人の選手の将来を優先したのである。何という、教育的配慮なのだろうか。
結局、彼は、後続を断ち、予定の4イニングを無得点で、投げきったのである。
そして、リリーフしたのはT・D君。
彼もまた、ドラマを持って水戸クラブに参加してきた。
ネット上で募集した「紀藤真琴投手塾」に真っ先に応募してきたのである。
「まだ、中学校の野球部活動が残っています。学校の活動が終わったら、紀藤塾に参加したいので、それまで待って頂けますか?」と、熱いメールを送ってきたのである。
そのうえ、水戸クラブでは自ら主将を買って出て、チームをまとめて来たのである。
彼も、回を重ねては、得点を許さず最終回を迎えた。
両チーム無得点。緊張感あふれる最終回となった。
そして、結果的にサヨナラ負けとなる局面を迎えることとなるのである。
ここでも、勝負だけを考えれば、その場面を押さえられる選手は充分にいた。
同じく、紀藤監督は続投を決断した。先ほどと同じ理由である。
結局、彼は、サヨナラヒットを打たれるのだが、紀藤監督はこう言った。
「彼は、すばらしいモチベーションを持った選手だ。この悔しさをずっと背負ってがんばっていける人間だ。今日のことは彼にとって、すばらしい肥やしになる。その肥やしが、あとからじわじわと効いてくるんだ。」
毎年、Kボールの試合が終わると「来年はどうしようかな?」と考えてしまう。
毎年毎年、自腹を切って参加するのは、正直辛い。やめてしまおうかな・・・。
でも、毎年、その時になると「Kボールがやりたいんです。」多くの選手達が集まる。コチラから水戸クラブに誘った選手は、誰一人としていない。みんな、高いモチベーションを持って参加したい・・・・と言う選手を見ていると、馬鹿なことだと思いながらも、新しいボールを購入し、グランドを押さえ、ユニフォームを補充し、時には練習の合間に飯まで食わしてしまう。
でも、後悔はしない。選手達に教わることばかりだからである。
それだけに、執拗かも知れないが、全県選抜の選手達には、野球以外のものを教えて欲しかったし、水戸クラブの選手達に見せて欲しかったのである。
そしてひと言、やっぱり全県選抜の選手達の野球技術は、すばらしい。そこだけは言っておきます。
追記
紀藤真琴さんが所属している「パーソナル電電」の草野球チームが「水戸クラブ」との対戦を希望している。
水戸クラブの選手達を相手に、今でも130キロ後半のボールを投げる紀藤さんが真っ向勝負するそうである。
楽しみ・・・楽しみ・・・

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