やんちゃ坊主と真面目人間の二通り人間がいるとする。
スポーツの世界で、頂点を極める確率が多いのはどちらか?
時は1964年、私が小学6年生の時である。
東京オリンピックが開催された。子供心にも、すばらしいスポーツの祭典を実感することが出来た。
当時、自衛隊には、そのオリンピック選手の養成機関とも言われた「自衛隊体育学校」があった。その体育学校でエリート教育された選手の数は相当数にのぼった。
東京オリンピックの代表選手がマスコミで発表されるその朝、自衛隊体育学校の校長は夜明け前にその選手達に「非常呼集」をかけて、近くの小高い山に「夜間行軍訓練」をした。
日の出前に山頂に到着し、その日に発表されるであろうオリンピック代表選手達に向かって、こう激励した。
「今、昇ってくる朝日の如く、諸君も堂々と日の丸を揚げて欲しい。」
そこの中に、好対照の二人の選手がいた。
その、校長の訓話に直立不動で聞き入り、涙をボロボロと流していた「円谷幸吉選手」
かと思えば、制服の胸元をだらしなく開け怪訝そうな顔でその話を聞いていた「三宅義信選手」
円谷選手は、その東京オリンピックでマラソンに出場し、無名ながら銅メダル。
三宅選手は、重量挙げで難なく金メダル。
しかし、その円谷選手は、次のメキシコオリンピックでは金メダルを期待され、その重圧から自殺してしまうのである。
真面目な選手というのは、指導者も扱いやすいし指導しやすい。逆にやんちゃ坊主というのは、指導に手こずる。
しかし、ここ一番に勝負強いのは「やんちゃ坊主」なのである。
精神的にタフというか、大きな大会ほど実力を発揮するのは、その「やんちゃ坊主」が多いように思える。
ともすれば指導者は、その「やんちゃ坊主」を真面目な選手にしたがる。真面目にならないと、何とか排除したがる。
どのチームにも、真面目な選手と不真面目なやんちゃ坊主の選手がいると思う。
そのやんちゃ坊主を、大事に大事に育てて欲しいと思う。
真面目だった「円谷選手」 どちらかと言えばやんちゃ坊主だった「三宅選手」好対照だった二人に、私達は何かを学ばないといけないと思う。
そして、そのやんちゃ坊主は、次男坊・三男坊に多いと聞く。長男は、聞き分けの良い、真面目な人間が多いらしい。
そう言えば、あの常総学院の木内監督も、次男坊・三男坊が大好きだ・・・と聞いたことがある。やっぱり、何かを感じているのかも知れない。

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