「何とかせい!」
御大と呼ばれた、明治大学野球部の島岡吉郎元監督の口癖です。
ゲーム中、膠着した状態になると「何とかせい!」と怒鳴り、選手達に考える野球をさせていたという。
監督の言うとおりに野球をさせるのでなく、自分たちで考えさせる・・・
時折、キャプテンに指揮を執らせリーグ戦を戦ったこともあったという。
野球の指導者は、野球の知識を教えます。もちろん、基本はそこだと思います。
しかし、もっと大事なことは「野球の智恵」を教えられるか?と言うことだと思います。
大事な局面で、選手達が、自分の考えで難局を乗り越えられるか?
まさに、大事なのは「野球の智恵」だと思うんです。
ある意味、知識は過去のものです。反して、智恵は、これからのもの(将来のもの)です。
先日、ある高校の野球部の監督さんに会いに行きました。
グランドでは、選手達がなにやら、バラバラなメニューの練習をしていました。
走っている選手がいると思えば、トスバッティングしている選手など、その内容は全選手バラバラのようでした。
そこの監督さんが教えてくれました。
「60分練習って言うんですよ。」全選手が10分づついろいろなメニューを6種類こなすそうです。
それは、練習の前にパソコンでランダムに組み立てるそうです。
メニューを与えられた選手達は、工夫しながら、その6種類のメニューを自分で工夫してこなしていきます。
そこには、いろいろな要素があると言います。
もちろん、グランドで様々な練習が行われていますから「危険回避」もあります。
中には一人では出来ないメニューもあります。相手を探さなくてはいけません。
コーチにお願いします。ところが、コーチに断られることもあります。さて、次はどうするか?
または、ウエイトトレーニングの指示があるとします。さて、そのウエイトをどうするか? 中には、大きな石を持ち上げている選手などもいます。
まさに、野球の知識だけでは、どうしようもありません。
頭を使う練習なんですね。状況判断が大切になってきます。
智恵を使わないと、立ち往生して練習が進みません。
すごい練習を考えるな・・・ カルチャーショックを受けました。
選手達に智恵を教えるのには、まず、指導者が智恵を使わないと行けないんですね。
この学校は、きっと強くなるだろうな・・・ そう思いながら帰ってきました。
選手達が社会に出たとき、この「智恵」が重要になってくると思います。
智恵を使って「状況判断」が出来る人間を作れるかどうか?
指導者も「智恵」が必要なときに来ています。

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