2020/7/5

カセットテープ・ダイアリーズ  映画&アート

ブルース・スプリングスティーンのイメージってどうですか?

ヒット曲「Born in the U.S.A.」('84)が、大統領選挙戦のテーマ曲としてお門違いの使われ方をされ、その後日本でも”偉大なるアメリカ”のテーマ曲としてTVバラエティのBGMでさんざんコスられたために、アメリカ万歳なイメージのある曲と思われているけど、これは全く逆。この曲は「アメリカに生まれたのにこのザマだ」というアメリカンドリームの惨状を歌った曲なのです。イメージって怖い。

スプリングスティーンはずっと、アメリカにおける負け犬的立場を叫んできた、泥臭いブルーカラーのBossのような人なのですが、刷り込みって怖い。

そんなBossのデビュー曲「BLINDED BY THE LIGHT」をそのままタイトルにした映画が邦題「カセットテープ・ダイアリーズ」。

4月に公開予定だったもののコロナ禍で延期されて、7月3日にようやく公開されました。良かった〜。

『カセットテープ・ダイアリーズ』サントラ

舞台は1987年のイギリスの田舎町ルートン。サッチャー政権下の大不況。田舎。主人公はパキスタン移民の高校生。もう、ざわざわしますよ。(「ボヘミアン・ラプソディ」で若きフレディが「パキ公」と蔑まれていたのを思い出します。実際フレディはインド系ですが。1985年の「マイ・ビューティフル・ランドレット」も主人公はパキスタン系青年でした。)ちなみに監督はインド系女性監督グリンダ・チャーダ。

スプリングスティーンの音楽世界をよく知らない?大丈夫。主人公もBossを知らないから。彼は当初、ヒットしているPSBの「It's a sin」を聴き(これも学校生活にままならない自分と同調)その後、人生ではじめてカセットテープでプリングスティーンを聴きます。

アメリカ・ニュージャージーのスプリングスティーンからイギリス・ルートンの少年に届く曲。揺さぶれれる。踏み出せる。

これはもう、なんだか自分を重ねる人も多いのではないでしょうか(私もです)。多くの人の推し音楽「初」体験を思い出すような気恥ずかしさと誇らしさが押し寄せます。

映画内で使われている曲はほとんどミュージカルのように登場人物の心の代弁をしている。各曲がBGMではなく、セリフと同じ重要な役割をしています。ネイティヴの英米人ですらあまり歌詞を読まない現状において、曲へのリスペクト感が強いです。(これこそ、私がPSBの映画「It couldn't happen here」をあまり好きでない理由につながるのですがその話はまた書きます)

ちなみにPSB x Bossといえば、「Electric」内で「The Last To Die」をカバーしています。ツアー(日本では2013年サマソニ)でもやりましたね。

6



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ