2013/6/7

はじまりのみち  映画&アート

先週土曜日、映画「はじまりのみち」を見ました。

浜松出身の映画監督、木下惠介の若かりし頃の実話をもとにした映画。

戦時下、”作品が女々しい”と軍部から言われ、撮りたいものが撮れず監督をやめて、惠介が地元浜松に帰って来た頃、浜松が空襲に遭い、寝たきりの母をリヤカーに乗せて山間部の親戚のもとに身を寄せる行程が軸となっている。

登場人物たちはみな低体温で感情をあらわにするものは少ないけど、ああ、この時代の人って、みんな耐え忍んでいたんだなーと切なくなる。

静かな映画だけど、すごく良い映画。戦時下だけど、戦争のシーンは出て来なくて、静かな山間部がのどかで平和。人々が皆、助け合っている。ああ、本当の日本って、こうなんだよなぁーなどと思いつつ。

かなりたくさん木下惠介のフィルムが使われていて、それが現実とシンクロしています。

それで、映画のなかで、一家は「気賀(きが)から気田(けた)まで17時間、リヤカーを引き、そこからトロッコ列車に乗って勝坂の親類の家に行く」という行程だったけど、連れ(浜松人)に、それがどのあたりか訊いたら、明確にはわからないということで、次の日、確かめに行くことにしました。


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地図上の緑の線、上(北)の方が新東名で、ここでもうかなりの山の中なのですが、さらにさらにその奥に集落があります。

Aが気賀(旧細江町)、Bが気田、Cが勝坂(旧春野町)。山の中なので、A→Bは43キロ、グーグル先生によると徒歩9時間12分です。映画ではリヤカーを引きながら、かつ雨が降ったりしたので、17時間かかったと言っていました。すごい。

当時は林業が盛んで材木運搬用のトロッコ列車も通り、そこそこの宿場町だった気田も、現在は本当に静かな町。一応「商店街」とはなっているものの、ほとんどシャッター通り。かつては旅館だったと思われるレトロな建物がちらほら↓。

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で、実際に木下一家が泊まった旅館、澤田屋さんは、いまでも昔の姿そのままで営業中!ロケもここだそうです。映画の中でも澤田屋さんはとても親切でした。

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また、気田小学校も映画のロケ地で、生徒役は実際の在校生だそうです。先生役は宮崎あおいでした。木下の代表作「二十四の瞳」の風景です。

私たちがブラブラ歩く途中、向こうから数名の地元の中学生が歩いて来たのですが、みんなすっごい笑顔で「こんにちはー!」と声をかけて来ます。これだけで心が洗われますね。素敵なお子様たちだー。

気田川はアユ釣り真っ最中。

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私もじゅうぶん田舎育ち、しかもどっちかというと漁村育ちなのですが、山の田舎というのは、日本の原風景なんでしょうね、懐かしいですよ。

残念ながらトロッコ列車はもう廃線になっているので、勝坂には行きませんでした。

家から車で1時間半ほどにこんな場所があったとは、日本はまだまだ広いです。
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