2008/4/6

Fugitive  Pet Shop Boys

アルバムレビューFundamental - Fugitive -

すごくPSBっぽくて、Fundamentalに入っていてもおかしくないのに、限定版リミックス盤Fundamentalismにしか入っていないこの曲・・・。しかもニールとクリスとも、この曲についての解説や由来をあまりはっきりさせていません。

ニール:これは政治的信条の個人犠牲についての曲。

クリス:現代のラブストーリー。


なにやら不穏な空気。

Wayne博士の解説をみても、どうやらこれは大義名分のテロリストの視点で描かれているらしい。宗教の名の元でテロを起こし、ブラザー(同志)と呼び合い、飛行機の飛ぶ音が冒頭に入る・・・。これはもう、911のテロを思い出さざるを得ない。自爆テロリストというだけで死をイメージさせるが、ある種の大義で結ばれたブラザーたちの堅い絆も、クリスの解説のようにこれがラブストーリーなら逼迫した緊張感の中で展開される悲劇的ラブストーリーだろうし、もしも男性同士の恋ならば、自爆テロに身を投じなくてもイスラム社会では同性愛は即刻文字通りの死につながるだろうし。

(例えば平和なイスラム国のトルコなどでは、イスラム教徒はヒゲを生やして男らしさを強調するのに、そういう一般市民・・・もちろんノンケの・・・人たちが街中で普通に男同士で手をつないで歩いていたりする。逆に男女の場合は人前で手をつないで歩くことは国によっては犯罪になると思う・・・慣習なのだろうけど、すごく不思議な光景。)

PSBが戦争絶対反対なのは、声高に叫ばなくてもみんな知っている。2002年、イギリスがアメリカに追随してテロ報復戦争に加担した時、その年のクリスマスカードのメッセージはただ一言「NO WAR」だったし、クリスは2003年の最も公の場であるミュージック・アウォードでタキシードではなく「MAKE LOVE NOT WAR」というパーカーを着ている。また、クリスには珍しく、マスコミに対して政治と戦争に関してメッセージを発していたことがある。

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ただ、彼らは戦争やテロを憎んでいるけど、テロリスト個人を憎んではいない、それがこの「Fugitive」の視点的主人公を"愛溢れる、普通の人間の"(テロリスト)にしていることから伺える。

PSBの2人は少なくとも恐らく”マイノリティ”の立場から、国籍や性別や宗教や思想で誰かを差別することはない。むしろマイノリティだからこそ彼らは”誰の視点にでもなれる”という全視点的なポジションに立つことができる。幸い彼らはメッセージをアートに変換して世界的に発信できるアーチストだから、多くの人の言葉を借りていま起きている社会を表現ことができる。

また、Wayne博士の解説の別説では、アルバムFundamentalを捧げているイランの2人の少年(ゲイであることを理由に死刑になった)にも言及されている。いずれの説にしても、イスラム社会がベースだ。日本にいるワタシたちはイスラム社会のことをよく知らないし、知らなくても生きていける。ワタシだって不勉強だ。でも、PSBはそんなワタシたちの心にもそっと真実を教えてくれる。

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