2008/5/11

Paninaro’95  Pet Shop Boys

アルバムレビューBilingual - Paninaro’95 -

Passion and love and sex and money
Violence, religion, injustice and death

この言葉は今となっては非常に象徴的で、まるでちょっとしたソネットみたい。

「Paninaro」はもともとイタリアのちょっと軽い若者文化を単語で列挙した歌詞自体はさほど重要な意味がなく、音楽主体のやや実験的な曲で、クリスが歌ったのもB面だったからという軽い考えだゆえだと思う。それがどんどんPSBの“裏番長”にまで成り上がり、10年後「Paninaro’95」になったら、とてつもなく意味深な曲になってしまった。

クリスが「Paninaro」を初めてパフォーマンスしたのは1989年のファースト・ツアーで、その後1991年のPerformanceツアーのインタビューでは「反響が大きすぎてうんざりしたから、2度とやらない」と言っていたのに、1994年のDiscoVeryで「Paninaro’95」のベースになったラップ入りのバージョンを歌った。おそらくこのラップ部分はクリスが書いたものだ。それゆえに、この曲は最初の意味のないものから、クリスそのものをあらわす曲になった・・・裏番長たる所以だ。

(PSBのフロントマンはニールだと思うけど、決定権がある裏番長は絶対クリスのほう。)

クリスがミステリアスな人物であるのは、彼がほとんど“余計なこと”を喋らないからだが、それゆえ作品にこめられた意味が重くなる。このラップ部分を聴く限り・・・これが彼に起きた事実を歌にしているのなら・・・クリスはこの時、恋人を失って悲嘆に暮れている。それは、この年に実際に亡くなった“同棲してた恋人(と言われた男性)”を連想させる。インタビューでサラッと語るより、作品として残すほうがずっと“バレる度“が高いと思うけど、作品として永遠に残すのは、彼ゆえの愛の深さであろう・・・。

10年余りの沈黙の後、2007年のFundamentalツアーでクリスは「Paninaro」のパフォーマンスを再開した(それゆえ2006年に収録されたDVD「Cubism」inメキシコには収録されていない)。でも、

Passion and love and sex and money
Violence, religion, injustice and death

の最後の「death」を彼は決して歌わないのだ。言わないか、「everything」と言っていた時もあった。クリスにとって「death」とは甘美なものではなく、存在否定したい忌々しい現実なのだろう。
余計なお世話だけど、「Paninaro」「Paninaro’95」はビデオやパフォーマンスがみんなすごく“男の世界”っぽい。女性の立ち入る隙がないというか・・・だからちょっぴりワタシは疎外感を味わっている(海外のライブでは、クリスのパフォーマンスは男性ファンの声援がすごいのだ・・・)。乙女代表として必死に声援を送るのだけど。

↓クリスが最後に踊った「Paninaro’95」(1994年DiscoVery)。マッチョ・ダンサー・・・。



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