初めに紹介したA君の場合は、特定の波長(曲)への反応らしく、
どうやらA君にとって、マイナスな感情を引き起こす波長の曲が、「おかあさんといっしょ」に含まれていたみたいだ。
もちろん、その感情の中身を本人に確かめたわけではないので、
あくまでも推測の域を出ない。
しかし、障害児の一見特異とも思われる行動を、そうやって理解しようと周囲の者が努力すること、歩み寄ることが、障害児との間におこる
マイナスのやり取りを一つでも減らせることに通じると言うことだ。
たまたまではあるが、夕方になると泣きじゃくりパニックになるA君への対応は合っていた。
おかあさんといっしょを視聴できないように、テレビに細工をしたことは、A君にとって不快な(?)波長の曲が流れるのを阻止したことになる。
しかし、初めから
「自閉症の人は外から受ける感覚が、我々と違うことがある」
ということを知っていたならば、もっと早く何とか出来て、A君との間にマイナスなやり取りをせずに済んだのに、と今更ながら悔やまれる。
テレビから教育テレビのチャンネルを削除したこと、
このことによりA君のパニックは減らせたが、その結果もう一つ困った問題が。
それは、他の利用者も同時に教育テレビの番組を観ることが出来なくなったことだ。
個々に違う障害や個性を持ち合わせた多人数を、同時に、同じ空間で療育しようとすることの弊害である。
つづく

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