今年は、春が無かったとは息子のセリフだが、不思議な天候のまま梅雨に入っていくのだろうか?だが、ここ数ヶ月で自分の心は、新たらしい智慧を注入したのか、少しづつ焦りや怒り、不満などを捨てて、今この瞬間生きていること、美味しい食べ物、美味しい空気を味わって、音楽の能力を与えられてそれで生きていくことが出来る幸せを心から感じて生きている。
先週は、知人の K さんの伊豆高原にある別荘を訪れた。彼は、アメリカの大学を出てIT関係の会社を経て現在は写真家として活躍、主にアメリカの砂漠などの風景写真を製作している。
http://www.hirophoto.com/
伊豆高原では現在アートフェスティバルが開催されており、色々なアーティストが自宅を開放して展覧会を開いているのである。陶芸、ガラス細工、彫刻、写真など色々なアートを見た。
http://www.izukougen-artfes.com/
中でも重岡健治さんのイタリア仕込みのシュールでモダンな彫刻は素敵だった。城ヶ崎の岩場の吊り橋から見る太平洋や、温泉を楽しんで帰ってきた。
さて最近の印象に残った映画の話題。
●海の上のピアニストは、ティムロスがピアニスト役で出演しているが、知人のダンスの先生にあまりにも似ているのが面白い。アフレコも絶妙と思っていたが、実はピアノも本人が弾いているという。役者としてもピアニストとしても一流とは・・・
船の上で生まれて、廃船になっても船を下りることはなかったという設定(実話)も絶句だが、その音楽の才能の開花の仕方と、やはり船の上しか知らないと他の世界が想像も出来ないという話し。もし自分がそうだったらやはりそうかも知れないなとも思える。ジャズの発明者(?)ジェリーロールモートンとの対決も面白かった。モリコーネの音楽も秀逸。
●4分間のピアニストは、お話しは好き嫌いがあるだろうが、まあまあ、最後のピアノ演奏は凄すぎてやはり絶句だ。これはアフレコなのだろう。でもあれだけ刑務所で練習もしないで本番であれだけの名演が出来るというのも少し無理がある気も・・(笑)。
●グラデュエイターは、憎まれ役の皇帝が、狡猾で邪悪で自滅してゆくキャラを良く演じていた。地位を得るために、実父の皇帝を殺し、その継承権を持つ将軍(主人公)を処刑(それには失敗)、将軍の家族を惨殺、実の姉に恋をして、自分の子を産ませようとする(近親相姦)など、タブーをものともしない、オイデプス伝説、ソフォクレス、ユーリピデスのギリシァ悲劇を地で行くようなキャラは戦慄を起こさせる。一刻も早く地上から消えて欲しいキャラを良く演じている。
普通、ヒーローの方が魅力的で脇役はその引き立て役と映るものだが、憎まれ役が秀逸。それにしても洋の東西を問わず人類は飽きもせず殺し合いをして、生き残りをかけてきた物だ。ローマ時代、現代においても武器が変わっただけで、ずっと戦争して仲間を殺し続けている人類って、食べるためにしか殺さないライオンや白熊などの肉食獣より劣った種族なのではないのだろうか?
●2012を見た。天変地異で人類は滅亡の危機に・・やはり主人公だけは奇跡的に助かってゆくのだが、ジョンウェインの西部劇のように、銃撃戦で敵は死んで行くのにヒーローだけは奇跡的に助かる。まあ、主人公が死んでしまったらそこで映画は終わってしまうからね?(笑)現代版ノアの方舟だ。過去に人類は5度以上、全滅しているという。現代文明よりももっと進んだ段階まで進んだにもかかわらず、傲慢、慢心によって滅んだという。今回の文明も、選ばれた人以外滅亡する運命だと言う説もあるが、まあ人間必ず死ぬわけだし、
各自がベストを尽くすしかないわけだけど、この時代、新たらしい人間、国、世界、音楽、音楽教育ののビジョンを語る人が切望されると思う。
●モダンタイムス、●殺人狂時代・・チャップリンの笑いと風刺の精神は大好きだ。久々に堪能した。20世紀大量生産の資本主義の非人間的な側面、結婚詐欺で女性からお金を巻き上げ殺してしまうのを生業にしている男の最後の捨てセリフ・・私は殺人のアマチュァです。数人しか殺さないと犯罪者で、国からみで大量殺人すると英雄と言われるのはどうしたものか・・・。
同じ言葉をタバコの会社と政府にも言いたいものだ。瞬時に殺すと犯罪だが、20年30年かけて殺すと商売になるというのはいかがなものか?

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