● 「マイノリティ・リポート」を見た。さすがスピルバーグだけあって、一級の娯楽作品。あらすじを紹介すると、これから見る人の興味をそぐので控えるが、近未来SFに良くある、今の時代から見た、信じられない未来には、科学的に見せかけて、実は大量のファンタジーが、含まれているという良い例だ。
原作者のフィリップ・K・ディックは知らなかったが、ブレードランナーや、シュワちゃん(アーノルド・シュワルツェネッガー)が出ていた、火星の話・トータルリコールや、他にもあるらしい、空想科学小説の大家ということらしい。残念なことにもう他界しているが・・
プレコグ(=予知能力者)が、どんどん未来を予知して、その映像を、エンジニアがモニターして、殺人しそうな人を予め、収容所に入れてしまって、殺人を防ごうというのだから、逆に、アメリカでは、それほど、殺人が多いと言うことなのだろう。
主人公のトムクルーズが、警察に追われるのだが、プレコグ(=予知能力者)の言うままに傘を買ったら雨が降るし、ここにいてと待っていたら、風船売りが来て、警察の目を逃れる所など、こういう少し先の未来が見える人がそばにいたら、とても有利に立ち回れるだろうな?と思う反面、自分の運命が全て見えてしまうという不幸、重圧もすごいものなのだろうと想像させられる。やはり、そう言う人に「あなたはこうなるのよ・・」とは言われたくない!、自分で自分の運命を決めていきたいと思う。
さっきも述べたが、科学の仮面をかぶったファンタジーというのは、巧妙に出来ていて、例えば、手塚治虫の「鉄腕アトム」「フランケンシュタイン」に始まって、科学者が、命を操作したり、死んだ人間を生き返らせたり、時間を逆行したり、どうにでもなる世界だ。(笑)そしてそれは未来を描いているように見せかけて、その時代の精神、雰囲気、願望、憧れ・・を象徴するのだ。
もし自分の未来が見えてしまったとして、人間はそれを変えられるかという命題は実に面白い。変えられなかったら、運命は決まっていて、人間に自由は無いと言うことになる(決定論)。それは最悪につまらない世界だ。
未来を見てしまっても、違う選択をしてゆけば、未来は変えられて、また予知する未来は変化するのだと思いたい。そうでなければ、生きていて何の意味があるというのか?
あと、感じたことは、小さな嘘は、それとつじつまを合わせるために、もっと沢山の嘘が必要になり、結局は、全てのつじつまを合わせるために、ものすごい記憶力と、労力が必要で、しかも結局は、ばれるので、労力の割に、割が合わないと言うこと。映画でもそうやって、悪いやつは自殺した。(笑)まあ、原作ではここまで水戸黄門的な勧善懲悪ではなく、曖昧模糊としているらしいが・・
人間は、基本的に正直なのが、一番良い。もちろん人を傷つけないために、物事を円滑に進めるために、あまりにも本当のことを言い過ぎない様にする言うことも必要だけど・・・、嘘で固めた人は、最後はみな結局離れていくことだろう。自滅するしかないだろう。
そこに火事が起きているのに、自分の穴だけ掘って、そこに隠れるようなまねだけはしたくないものだ。
でもこの国では、本当に悪い人(政治家、官僚、ヤクザ、ゾンビ企業)は、裏で甘い汁を吸って、表には出てこないようにうまくやっているようだ。(怒)
●「キューティハニー」も見た。
ヒロインのサトエリは、胸の大きさだけではなく、なにかハッピーなキャラで、憎めなくって可愛い。アニメ・エバンゲリオンの庵野監督が実写ものを取るというので、期待していたが、なかなか楽しい。
な〜〜んだ!息子たちが、幼い頃に見ていた「チェンジマン」などと内容は全く同じ、形をかえたチャンバラ映画とうことだが、音楽の処理や、所どころ、歌や演奏が出てきてとにかく楽しませてくれる。特に及川ミツヒロ君の歌とバックの覆面悪者組が、踊りながらバイオリンを弾いてくれる所など、ハリウッドにも負けない、エンタメセンスだと思う。
こういう映画に音を付ける作業も楽しいだろうなぁ?CGの進歩も素晴らしいが、とにかく楽しい映画。

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