これはキリストの受難を描いた映画で、あまりに残酷なので、悪寒を訴える人が続出した映画と聞いていて、いつか見なくてはと思っていたのだ。キリストの教えに「右の頬を打つものが有れば、左の頬を差し出せ」というのがある。イエスは、鞭打たれ、貼り付けにされて、手足を釘で打ち付けられても、神に、「彼らをお赦しください、何をやっているのか解らないのですから・・」と祈っている。生きたまま、手足に釘を打って、貼り付けにされる痛みというものは想像を絶しているが、それで人類全部の罪を贖うという、考えがすごい。キリスト者なら、その後に、復活したキリストを信じるのが当たり前なのだろうけど、そう言うことよりも、どんなときにも、味方はもちろん、自分の敵をも愛するということは、出来たら素晴らしいことなのだろうけど、普通の人間にはなかなか出来ないことだ。また、自分を本当に愛することだってとてつもなく難しいことだと実感せざるを得ない。
フィリピンで、キリストの受難をまねて、本当に手足に釘を打って貼り付けにされるのをやっていたのを新聞で見たことがある。それも女性だった。あまりに残酷なので非難の声が挙がっていたとか?アメリカがイラクやっていることの方が、もっと非道で残酷だと思うが・・
「あずみ」を見た。
上戸彩は可愛くて良いのだが、「パッション」に比べると(まあ、倫理的な映画と、娯楽の映画を比べるのも変だが・・・)残酷さの表現はだいぶ違う。あずみたちは、幼いときから、使命(刺客として、世に戦乱を起こす者を始末するという使命)のために、修行しているわけだが、10人いる仲間を、指導者の爺の指示により、仲間同士殺し合って、5人に減らすと言うのも、ひどい話だが、それほどおどろおどろしくないのは、苦痛の表現が、一瞬で終わってしまうからだろう。
いくら剣の天才的使い手だからといって、何百人の中に十代の女の子が切り込んでいって勝ってしまうという設定も、すごい!でもどう見てもあの振り回し方では、勝てるようには見えないのだが・・・。(笑)
最近の、映画の血しぶきの飛ばし方など、たけし映画でもそうだったが、昔よりリアルになっているようだ。死ぬときの苦痛への感情移入より、死んだらいなくなって、存在しなくなるという虚無感の方が、より感じられるように作ってあるような気がするのだ。
時代劇と言うよりは、マッドマックスのような SF 近未来暴力映画といった作り方は面白いと思った。カメラワークや、映像の美しさもあり、一回は見ても損はない映画だと思います。
次回は「ラストサムライ」を見る予定。


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