2011年3月11日を初版第一刷の発行日とする『私が原発を止めた理由』が、著者の樋口英明氏から送られてきた。樋口氏は福井地裁の裁判長として、2014年に大飯原発3・4号機の運転差止、2015年に高浜原発3・4号機の再稼働差止判決を下した元判事だ。電力会社や行政を相手にした裁判で住民や被曝労働者が勝訴する例は極めて少ない。脱原発弁護団連絡会の河合弘之弁護士はその理由として、非常に難解な科学論争に陥り、ほぼ文系出身の裁判官には理解できず「専門家」に委ねるしかなくなくなることにあると指摘する。そうなると御用学者が出してくる圧倒的に膨大な資料が原告の訴えを押しつぶしていく。

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