国会中継でもこの国は相当ひどいことになっている状況を見せつけられていますが、2003年に配信した文章を再掲します。リンクは切れているものが多いと思います。
前回に続き、昔のもので恐縮ですが、この間自分は何をしていたのだろうかと、振り返っています。
三流国家で愛国心を持つこと(2003/7/26配信)
2003年版『子ども白書』(草土文化より近日刊行・2500円)で、愛国心教育・国際理解教育に関する部分の執筆を担当しました。
私自身、自分たちの「国家」を希求するパレスチナやユダヤの人々と接してきたことを含め、今の世界の仕組みの中で国家の重要性は認識していますし、民主主義国家における「公共性」と「責任」につながる愛国心の涵養は必要と思います。そして、経済的にも環境的にも文化的にもこの国を破滅に導こうとしている現政権の閣僚たちの何万倍の愛国心を持っていると自負します。
子どもの頃、日本は過去の反省の上に戦争を放棄し、他国の脅威にならず、その平和の理念と優秀さと勤勉さで信頼を得つつ発展し、世界の手本となろうとしているのだと教わり、日本人であることを誇りに思い、自分も社会に貢献しなくてはいけないと誓ったものです。このことは、その後、侵略戦争の実態を知り、経済発展の陰で収奪される人々や国内の様々な問題に出会ったあとも、間違いなく正しいことと確信しています。なぜかというと、憲法9条は独善ではなく普遍的に正しいことであり、その理念のもとに私たちは「変われた」からです。その意志を持って、理想へ向かう生き方のできるはずの国だからです。
ですから、今の日本の「国」がやろうとしていることは、私にとって悉く「愛国心」を傷つけられることです。理想を捨てて戦争国家へ逆戻りしようとしています。でたらめな言いがかりをつけて強奪するギャングの後ろでちょろちょろするチンピラです。これは他者を認め、対等な関係で信頼関係を醸成していくのとは全く逆の発想をしているということです。対話を拒み、支配の関係で黙らせようとします。情報を操り、真実を伝えず、憎悪を掻き立て恐怖心を煽り、思考や論理ではなく感情とイメージで特定の集団を抹殺していきます。ふだんは他人に無関心で冷めた人たちが、攻撃するときだけ熱くなります。
こんな三流に成り下がった国を、少しでもよい方向へ変えていこうというのが本当の愛国心ではないでしょうか。そのためにはまず、現実を直視して、それがどのようにして起きてきたのかを冷静に分析すべきことは自明です。これを自虐的としか言えない、謝らないことで保とうとし、攻撃することでしか力を示せないようでは、この21世紀まで人間社会を高めてきた、はかり知れない犠牲を無にするものです。

0