滞納している墓地管理料に関して、債務整理の弁護士から連絡を受けていたお檀家さんが亡くなった。本人は数年前から認知症で、お会いしてもトンチンカンで、自分の家の墓もわからなくなって、隣の寺の住職に連れてきてもらったこともある。
子どももなく唯一の家族である夫人の話によれば、破産には至っていないが多重債務に苦しんでいるようだ。
葬儀会場は葬儀業者のホール。病院から直行して、すでに日程も決められていた。こちらへの連絡が遅れたのは、お布施を気にして、友人葬にしようと思っていたからだそうだが、お墓があるなら寿光院に頼むべきだと葬儀社の人に言われたとか。
友人葬が希望ならそれでもいいが、こちら(寺)は元祖NPO・ボランティアだから、ご縁のある方のお弔いなら、お布施の有無にかかわらず、責任を持って儀式をつとめる。実際、NGO仲間の関係などで、難民や路上生活者の葬送をさせていただくこともある。基本的に、檀家総代だろうと行き倒れの方だろうと、読経は同じだ。
おカネがないのであればそんなホールでやらず、寺ですれば祭壇も必要ないし、区民葬などの制度を利用し、国民健康保険などの支給で賄うことも可能だ。お焼香に来てくれる人への振舞いもあろうが、それは香典を充てることもできる。
もう決めてしまったから仕方がないと思いつつも、どうしてここを選んだのかと尋ねると、「互助会」に入って積み立てていたからと言う。
話によると、積立額は40万円くらいになるが、それでは全然足りないという。それでお釣りが来る方法もいくらではあるのだが、その積立金は、おカネでは帰って来ない。ここで使うしかない。
結局、互助会というのはお客の“囲い込み”に他ならない。どうしてもそこでやりたいということであれば、多少は「会員特典」みたいなものがあるのだろうが、むしろ逆に、他の選択肢がなくなるわけだから、結局は言いなりになるケースが多いだろう。そして、カタログや比較表を見せられて、オプションがどんどん追加されていく。
葬儀とおカネの問題は、我々仏教界にも少なからず責任があることは認識しているが、とりあえずここでは、「互助会」というのは、得でも安くもないという話。

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