仏教の「縁起」の思想は、一人ひとりが世界を変え、一瞬一瞬の行動が未来を変えていくと説きます。平和・人権・環境にかかわる活動を通し、足元から、そして現場主義をモットーに、言いたいことを言わせていただきます。
2009/10/31
1996年、翌年に控えた地球温暖化京都会議に向けて、「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」(略称:足温ネット)を立ち上げました。派手な国際会議で盛り上がっても、地域で地に足のついた活動がなければ、お祭り騒ぎで終わってしまうと考えたからです。その名称について、“考える”で終わってはいけないのではないかという意見も出ました。しかし、「考える」の語源は「んがえる」<「交える」だと、昔、小林秀雄の講演テープで知りました。本気で対象と交わることだと。
私たちは毎年、地域の仲間たちと、都会の生活の裏側とも言える、ダムや原発、ゴミ処分場などの計画地を訪ね、開発に揺れる現地の人々と語り合ってきました。声の出せない自然や、反対すれば村八分になる人々に向き合い、その「苦」の側から見える世界の方が真実に近いと実感します。
その切実な思いを起点に、事業の背景を徹底的に研究し、有効な取り組みを模索しました。“総括原価方式”(コストを基準に電気料金を設定できるしくみ)や、電源開発の理由付けになる“電力ピーク”を高める事業用電気料金体系(使えば使うほど単価が安くなる)などの問題点を指摘しつつ、太陽光による「市民立江戸川第一発電所」を設置しました。そしてさらにデータを集めているうちに、再生可能エネルギーの推進も大切ですが、現在は省エネの方が遙かに費用対効果が高いことが判り、それを数字で理解するための「省エネゲーム」を開発し、さらに実践につなげるため、「省エネ家電用無利子融資」事業を始めました。
省エネによって、自然エネルギー社会はかなり近づいています。被曝労働や事実上の石油戦争の犠牲者とも向き合いましたが、いのちを蝕み未来に莫大なツケを残す原子力や、戦争がつきものの石油資源に頼る必要はありません。原発や戦争を肯定する人は、「資源に乏しい我が国」という言葉を口にします。重厚長大工業に頼る時代ならいざ知らず、日本は本来豊かな自然に恵まれた国です。他国の山を破壊して持ち込む安い外材で国内の林業が崩壊し、山林を荒廃させています。莫大なエネルギーを使って輸入する農水産物で、農漁業を苦しめます。そこを破壊し、ゴミを持ちこみ、埋め立て、未来にツケを残す「開発」がすすめられます。
よく考えるべきです。何を根拠に“必要”と信じるのでしょうか? 自然エネルギーではまかなえないと思い込むのでしょうか? 犠牲は必要悪なのでしょうか? 政府や電力会社やマスコミからの情報だけで、安易な判断をしていないでしょうか?
例えばオバマ政権がすすめる“スマート・グリッド”(賢い送電網)があります。IT技術により、ソーラーや風力発電を設置した各家庭や、ガレージの車のバッテリーまで結んで電力会社が管理し、必要に応じて電気をやり取りする方式です。その他にも持続可能なエネルギー社会を可能にする方法は考えられます。
現実と向き合い、切実な思いに接し、実践から手応えを得ながら、最善の結論を出すこと。それが本来の「考える」ということなのではないでしょうか。
(『新英語教育』11月号 に寄稿)

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2009/10/23
先週、お檀家さんの法事の席で、前日に放映されたNHKの番組にわが「東小松川2丁目町会」が登場したことが話題になった。私は飲み屋で近所の酔っ払いとスポーツ番組を見るくらいで、テレビをほとんど見ないのでよく知らないが、「ご近所のなんたら」という番組があって、困っている町内の問題を考えるという企画で“ヒッタクリが多い街”として取り上げられ、近所の人たちがたくさん出演したとのこと。法事の施主のムスメのジュンコちゃん(といっても2児の母、小さい時からよく知っているのでついタメグチ)が「ぜったいジューショク出てくると思った」というので「ぜったい出るなと言われた」と答えた。そんな企画があることをかなり前から町会長に聞いていて、NHKからアンケートが送られてきたのを、妻に「返すな」と釘を刺されていた。
しかし実際、ヒッタクリが多いことは確かだ。今回も連続ヒッタクリ事件がきっかけで、それがうちのすぐ近く。その犯人は番組収録前に捕まって、確か30過ぎの男だったが、中学生から若い奴が結構多い。
いつぞや主任児童委員の研修で、少年更生施設の先生が、最近の子どもはコミュニケーション能力が落ちて、すぐヒッタクリに走る。昔の不良はカツアゲをするだけの交渉力はあった、と嘆いていた。なるほど・・・・
A:オイ! ちょっと金貸してくれよ。
B:エッ? ボクそんなお金持ってないですよ。
A:ウソ言うな、小遣い沢山もらってるんだろ。
B:そんな、うちビンボーですから。
A:それにしちゃ、いい時計してるじゃないか。
B:今持ってないし・・・
A:じゃあ、財布見せろよ、オイ!
B:あー、でもこれ参考書買って帰らなくちゃなんないんですよ。
A:今日は品切れだったって言えばいいじゃん。
B:そんなぁ。
A:だから明日まで貸してくれよ。
B:無理っすよ。
A:じゃあ、1000円にマケとくよ。
B:それで勘弁してくださいよ。
A:おゥ、ナンか貸しができたな。
B:・・・・・
A:ちゃんと返すから、名前と住所と電話教えろよ。
B:いえ、いいです。
A:そっか、じゃっ、しゃーないな。またな!
≪もちろんフィクションです≫

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2009/10/16
『新英語教育』という雑誌の<ことばをテーマにしたエッセイ>の原稿を依頼され、10月号と11月号に寄稿しました。昨日、11月号が届いたので、10月号に載せていただいた分をご紹介します。
言葉とレッテル
“対テロ戦争”を支える「思い込み」の原因
平和と人権を脅かす諸問題の重要な要素に「ことば(word)」があります。ことばの与えるイメージが、人々の「思い込み=誤解・偏見」を助長し、特定の人や集団にレッテルを貼り、それらの人たちを苦しめ、問題の本質を隠し、解決を遠ざけます。
パレスチナ問題や“対テロ戦争”を考えるときのキーワードとして「原理主義」、「自爆テロ」があります。日本の人たちと話していると「自爆テロ=原理主義=イスラム教=不寛容=怖い」というイメージと前提を持っていることを感じます。
しかし長年現地で人々と接していれば、それがいかに不当な評価であるかがわかります。もちろん原理主義者もいますが、多くは普通の人々です。それはユダヤ教、キリスト教、そして仏教にも言えることです。米国では進化論を教えない州がいくつもありますし、日本でも独善的で排他的な勢力があります。
私は20年来何度もガザを訪れましたが、そこに住む人々に恐怖を感じることはありませんでした。パレスチナの人々はイスラエルによる占領や封鎖で、非常に苦しい生活を強いられ、安定した仕事に就いている人は少なく、若者たちの多くが無職です。それでも物取りに遭ったこともありませんし、暴力や退廃のムードは感じません。日本や米国の若者たちが同じ境遇だったら、とんでもない社会が想像されます。イスラエルに家を破壊されてテント生活をする人は見受けられますが、多くは親戚に身を寄せおり、いわゆるホームレスや老人の孤独死などの話は聞いたことがありません。行政の福祉などは皆無に等しくても、当然のようにみんなで助け合って暮らしています。それが本来の宗教(イスラム教)の姿なのです。それを知らずに事件や紛争の報道で「原理主義」や「自爆テロ」が強調され、その社会全体への不当なイメージが形成されます。
私たちが真に平和でまっとうな世界を望むのであれば、メディアをはじめとする“発信者”によって使われ、人々の「思いこみ」の背景にあることばについて、注意を払う必要があります。「自爆テロ」というと、日本の私たちはイスラム社会の専売特許のように思われがちですが、英語では“suicide bomber”です。欧米人にすれば、日本の“特攻隊”と重なります。米国と同じ地平に立って久しい日本人にとって、テロやゲリラは自分たちの安全を脅かす存在です。そのことばによって括られる人々と自分たちを切り離し、差別と偏見がそれらの人々に更なる苦しみを与え、問題の解決を妨げることになっていることります。
このように、ことばによって正邪のイメージがコントロールされることについては、『ドキュメント戦争広告代理店−情報操作とボスニア紛争』(高木徹著・講談社文庫)でも詳しく述べられています。
イラクやパレスチナの人々が、国際社会が注目する中で、兵器の見本市のような大攻撃を受け、多くの犠牲とその後の混乱がもたらされました。さすがにtoo muchという批判と同情はあるものの、解決に向かおうとしない根本原因は、巧みな「ことば」によって構成された、人々の頭の中のイメージにあると言えます。私たちが無意識に使いながら、思い込みを刷り込んでいる、ことばの怖さを感じています。

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2009/10/12
オバマ大統領のノーベル平和賞が決まりました。核廃絶をはじめ、米国の政策転換への期待がこめられての受賞となります。しかしその一方、中東問題に関する限り、後ろ向きと言わざるを得ない方向が見て取れます。
このことに関し、日本パレスチナ医療協会のメルマガから転載いたします。
●メルマガ専用のメールアドレスからBCCで配信しています。
JPMAへのご連絡は従来どおり jpma@mx6.ttcn.ne.jp へお願い致します。
●このメルマガは自由にご転送ください。
パ ┃レ┃ス┃チ┃ナ┃最┃新┃情┃報┃091010
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■□ ニュース速報 □■
オバマ大統領にノーベル平和賞が贈られました。プラハでの核兵器廃絶を求める演説、カイロでのイスラーム教徒との平和を訴える演説など、世界平和へ向けた対話の再開に功績があったというものです。武力一本槍で国際協調を無視したブッシュII前大統領と比較すると、オバマ大統領の協調路線は新鮮に見えます。
もっとも、いまのところオバマ政権がアフガン戦争を止める気配はなく、彼が進めようとした「中東和平」は腰砕けになっています。オバマ氏も、イスラエルの右派政権に屈服した。最近のニュースからはそのような印象を受けます。
イスラエルに対する入植活動全面凍結の要求は、いつの間にか入植活動「抑制」の要請に代わりました。一方、1400人のパレスチナ人を殺したガザ作戦(イスラエルの死者は、軍人10人、市民3人)での戦争犯罪などに関する国連調査団の「ゴールドストーン報告」について、オバマ政権は、その塗りつぶしに奔走しているように見えます。
10月2日の国連人権委員会は、国連調査団に対するイスラエルの非協力を非難する決議を審議するはずでした。しかし、アメリカが頑強に反対、その圧力をうけたアッバース大統領が、審議の半年延期を認めてしまったのです。圧力をかけるべき対象が逆になったのです。これに屈したアッバース大統領は、与党ファタハを含むパレスチナ人全体から厳しい批判にさらされました。
西岸政権は軌道修正に乗り出し、早期のゴールドストーン報告審議再開を求めていますが、遅すぎたようです。国連安保理では、14日に同報告が議題となりますが、アメリカは、意味のある討議には強く抵抗するでしょう。
同報告棚上に、ハマースも強く反発、その影響で、25日に予定されている、カイロでのファタハ=ハマースの和解協定調印も、また延期になりそうです。
この間、エルサレム旧市のイスラーム聖地からのパレスチナ人信徒締め出しが続いています。世界のイスラーム教徒から激しい非難を呼び起こしています。現地では、連日、イスラエル警官隊と若者たちの衝突が続き、アンマンでは、この金曜日、イスラエルとの断交を求めるデモが行われました。
Haaretzに、ワルシャワ・ゲットー蜂起(1943年)最後の生き証人が死去したというニュースがありました。パレスチナ=イスラエル紛争と直接の関係はないのですが、参考までに収録しました。
<注1>07年6月、ハニヤ氏はアッバース大統領によって首相を解任され、ファイヤド氏が首相に任命されました。また、アッバース大統領の任期は、今年1月9日までとなっています。法的には、3氏の地位とも問題をかかえています。しかし、パレスチナ自治政府は事実上分裂しており、アッバース氏は、1月10日以降も大統領としての権限を行使しています。このため、引き続き、ハニヤ氏、ファイヤド氏にはいずれも「首相」、アッバース氏には「大統領」のタイトルを付すことにします。
<注2> 各ニュース記事末尾の(カッコ)内は、その主なニュース源です。必ずしも、元の記事の翻訳や抄訳ではありません。とくに断らない限り、Webサイト上の情報です。日本語ニュースの場合、固有名詞の標記は、編集者の判断で変えることがあります。

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2009/10/6
9月10月11月は、シリーズ 「子どもの参加と居場所づくり」 。
先日、第1弾「ZEROキッズ」の若者と代表の方にお話しを伺いました。
参加は一日にしてならず!共通の体験、自由に表現できる雰囲気、いくつもの手法を用意、発言は取り入れる…など、技術的なノウハウもいっぱい。また、それらを成熟させていくうえでも、拠点(=居場所)の整備が不可欠だとの話しも出ました。ヒントをいっぱいいただいた、とても凝縮した時間でした。
※取り組みをまとめた映像をいただいています。ご覧になりたい方は連絡ください。
さて、第2弾は「模擬選挙推進ネットワーク」の事務局長である林さんをお招きし、19歳以下の選挙権のない子どもたちの「声」を伺います。ぜひ、19歳以下の方に参加してほしいと思います。
江戸川の子ども・若者にもぜひ広く呼びかけてください!
みなさんのご参加、お待ちしています。
◆◇◇◇◇
シリーズ「子どもの参加」と「居場所づくり」 最前線事例【その2】
●◇模擬選挙推進ネットワーク にみる 子どもたちの選択◇●
〜未成年のリアルな意思を社会に届ける〜
シリーズ第2弾は、「模擬選挙推進ネットワーク」(http://www.mogisenkyo.com/)の事務局長をお招きして、お話しを伺います。
「模擬選挙推進ネットワーク」とは、有権者ではない19歳以下の人が実際の選挙にあわせて、立候補者・政党に対して投票を行なう、「模擬」選挙活動です。民主主義の土台である選挙を「体験」できるので、子どもや若者が民主主義や政治のしくみを学ぶ良い機会となっています。
2002年の町田市長選挙から活動を始め、国政選挙(03総選挙、04参院選、05総選挙、07参院選、09総選挙)、各地の地方選挙(首長選挙、議員選挙)を含めた20以上の選挙で取り組み、全国70校以上の学校・地域、のべ3万人を超える未来の有権者が参加。選挙権がないことにより発信できない未成年の「声」を社会に発信する機会が提供されています。
先日の第45回衆議院議員総選挙にあわせて実施された「未成年”模擬”総選挙2009」では、全国12都道府県から20校が参加。投票総数4544票を得たとのことです。また、合わせて子どもたちの意見が聴かれ、政治家に言いたいこと、期待・希望することなどがまとめられました。
今回は、選挙結果に加え、模擬選挙の意義をお話しいただくと共に、選挙年齢についても議論したいと思っています。
日にちが迫っていますが、みなさん、ふるってご参加ください!
特に、未来の有権者である、20歳未満の人たちの参加をお待ちしています。
江戸川子どもおんぶず
代表 大河内秀人
※模擬選挙推進ネットワークは特定の政党・宗教団体の影響下にない「公平・中立・公正」な組織です。
●第11回●
【日 時】 2009年10月11日(日)14時〜16時半
【お 話】 林 大介 さん(模擬選挙推進ネットワーク 事務局長)
【会 場】 タワーホール船堀407会議室http://www.towerhall.jp/4access/access.html
【参加費】 大人1000円、18才未満500円****コクチ*************
○第12回 11月29日(日)14時〜16時半、タワーホール402会議室
【事例その3】 ミニ ヨコハマ シティ
http://www1.tmtv.ne.jp/~ivtuzuki/history2007/miniyoko/index.html
→子どもだけで作るもう一つの横浜。元市民(現在大学生)が来ます!
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≪申し込み・問い合わせ先≫ ※必ずご連絡ください!
江戸川子どもおんぶず 担当青木
メール eko@mbm.nifty.com
FAX 03−5662−0917
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◆ 江戸川子どもおんぶず
〒132-0033 東京都江戸川区東小松川3-35-13
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江戸川子どもおんぶずは、子どもの権利条約の理念を活かした
子どもの市民社会づくりをめざします!
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