5年ぶりのパレスチナの印象は、一口で言えば「沈んでいる」。
エルサレムの神学校で8人の学生が死亡する乱射事件があった直後でもあり、あるいは
ガザでは1週間の間に130人もの市民がイスラエル軍の爆撃で命を落としたばかりだっただけに、かなりものものしい風景を予想していた。それほどの雰囲気がない替わりに立ち込めていたのは、何となくあきらめのムードだった。
長年に亘る占領と破壊で疲弊した上に、自治政府の不甲斐なさを見せ付けられた。そもそもパレスチナ人によって選ばれた政府が米国やイスラエルをはじめ一部の国際社会のお眼鏡に適わないということで強引に引き摺り下ろされ、選挙では負けた側の勢力が強引に政権に据えられるということも、彼らを大きくディスカレッジさせた。

これは、東エルサレムにあるパレスチナ子どものキャンペーン(CCP)の駐在事務所のある建物。旧市街からバスで10分ほどのところにある。3LKの間取りで家賃は月550ドル。それに月150ドルの税金分がプラスされる。
国際法上、東エルサレムはパレスチナ側になりアラブ人が居住する地域であるが、当然のようにイスラエルが支配している。そしてこのような重い負担を強いて、パレスチナ人の生活を圧迫している。ここの大家さんは、私たちのような外国人団体の店子がついているからいいが、大抵の人々は維持するだけでかなりキツイはずだ。また、自分の土地であっても、建築や増築の許可がなかなか下りない。手もつけられないでいると、「利用されない土地は政府のものになる」というオスマントルコ時代の法律まで持ち出されて没収されることになる。
パレスチナ人にとって、居続けることも祖国を守る抵抗だとは言っても生活や家族のことを考えて、さしあたって不安の少ない場所へ移る人もいる。土地がユダヤ人の手に渡れば、「裏切り者」のレッテルを貼られて。
時折報道される軍事攻撃や家屋破壊で追い出されるケース(それも伝えられるのは氷山の一角だが)もあるが、このように「静かな」かたちで居住地を追われる人も少なくない。
暗い話ばかりでは何なので・・・これは駐在事務所から出てすぐの家。写真がイマイチで残念だが、「桜だ! 花見だ!」と叫びたくなるようなこの木はアーモンド。この時期あちこちで見かけた。

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