「私のことをいつまでも忘れないで。私が存在していたことを覚えていて」(村上春樹・著「ノルウェイの森」より)。死という不思議、神秘の前に人間は全く無力です。そしてその完全な無力の中にこそ、神さまはその愛を、完全に顕わされます。イエスさまの弟子たちがそうであったように、私たちは、愛する人の死を通してはじめて、神さまに出会うのです。マリア姉の記念式も終わった夕方、花束を抱えたマリア姉の御友人家族がひっそりとした聖堂を訪ねて来られました。「お葬式の時の牧師さんですよね。彼女のためにお祈りさせて下さい」と・・・。私たちが死者のためにできる(ほとんど)唯一のことは、いつまで忘れないでいること、そして、祈り続けることです。このようにいつまでも忘れない人がいる限り、マリア姉は永遠に生き続けます。

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