カムカム「女王様の名前は“キラキラピカコ”さん」
おひょう「そうなんか!」
カムカム「そうかもな・・と、思っただけ、だってキラキラピカピカしてたから・・」
おひょう「それなら、“キラキラピカピカ”さんかもしれんが。」
カムカム「そうじゃなあ。3回チャンスがあるけん、1回目に“キラキラ”って言うんじゃ。で、女王様が、ドキリとした顔をしたら、ちょっと当たっとんじゃ。で2回目に“ピカピカコ”って言って、またドキリとしたら、3回目で“キラキラピカコ”さんです。って当たるんじゃないかなあ。」
おひょう「でも難しいで、ドキリとした顔をせんかもしれんけん・・」
サチコ「困ったわねえ・・えーえーこんなときは、ほらほら、G(グラビトン)虹子さんくれたダイヤなんてどう?」
おひょう「そうじゃ、あれがあったなあ!」
ひろこ「ええ、あります、あります。」
ひろこさんは、ほっとした表情になって、お守り袋を引っ張り出しました。お守り袋から、キラキラ下飛び出しました、そしてスーと消えました。皆、お守り袋に注目しています。が、何も起こりません。
おひょう「どうなったんじゃろう?」
ひろこさんが、お守り袋から、小さなダイヤを取り出そうとしたときです。
ひろこさんのカバンがゴソゴソ動きました。今度は、皆がカバンに注目しました。
カバンの中から声がします。
「なんじゃここは?真っ暗じゃ・・」
「熱中症で、気を失ったかなあ?」
「なんでこんなに窮屈なんじゃ?」
「痛いわねえ、押さないで!!」
ひろこさんは、そーっと自分のカバンを開けました。かわいらしい声だったから、平気だったんですね。
すると、中から作りかけだった3体の張り子猫が完成品になって、文句を言いながら出て来ました。
1体は、お目目パッチリ、緑色の美人猫。
1体は、目元涼しく、花火模様の渋い男前猫。
1体は、どんぐり目の派手な青いドット模様のハンサム猫。
つ猫「どーゆーこと?ここは、どこ?え?」緑の体を、ブルブル震わせます。
そう(草)「これは、どうしたことなんでしょう?張り子ですぞ?」花火模様が、チカチカします。
もく(木)「どう考えても、わけがわかりませんな。」青いドットが大きくなったり小さくなったり。
ひろこさんはテレパシーで3人に話しかけてみました。しかし、どうも通じないようです。
サチコ“ねえねえ、この3人、誰かに似てる・・”
ひろこ“え?ああ、そういえば”
現れた3人の張り子ちゃんは、どうやら張り子教室の仲間みたいです。
たぶん新見から来ている、望月ツネコさん、一草一木亭の親子のようです。
つ猫「夏の日の夢、白昼夢・・・確か今橋の上に居たはずなのに・・」
そう「そうそう、なんか目の前がキラキラしたから、貧血かなあ?わし気絶し取るんかなあ?」
もく「僕ドアノブ拾ったんじゃ。カチッて、なんか扉が開いたような音がしたんじゃ。」
サチコ“お守りのキラキラが、3人を呼んだんだわ”
ひろこ“これが、もしかして名前がわかるきっかけになるのかしら”
カムカム“よかったー”
また、おひょうがしゃべり始めました。
おひょう「やあ!こんにちは、俺、土人形のおひょうです。よろしく。」
つ猫「えー始めまして。私、ツネコです。」
おひょう「きれいな緑色の張り子猫さんじゃなあ。」
そう「そう、そう、美人猫さんじゃな。わしは有りん庵一草(いっそう)じゃ。よろしく。」
もく「僕は、息子の一木(いちもく)です。よろしく。張り子好きじゃから、夢でも張り子なんじゃわ。」
カムカム“話してもいいんかなあ?”
サチコ“おひょうは、ああだし、張り子仲間だから大丈夫じゃないかな”
ひろこ“そうよ、張り子仲間ですものね、それに、張り子に変身しているんですもの信頼できるわ”
サチコ「よろしく。」
もく「サチコさんでしょ?」
そう「そう、そう、スカートはいてるから、ずいぶん感じが違うけど。」
サチコ「うーん、サチコですけど、あなた達の知ってるサチコさんとは違うんです。似てるんですがね・・」
もく「なんか、ややこしんですねえ。」
サチコ「ええ、どこの世界も複雑なんです。」
つ猫「で、ひろこさんでしょ?」
ひろこ「ええ、わかりますか?」
つ猫「ええ、招き猫の王道の白猫ちゃん。姿は変わってても、わかりますとも。」
そう「そう、そう、そういえば、ひろこさんじゃないですか。」
カムカム「僕はカムカム、よろしく。」
つ猫「はじめまして。変わった模様ね、なんか移動してる?」
カムカム「ええ、なんでかわかりませんが、模様がときどき動くんです。」
もく「それにしても、何をしてるんですか?この、ふわふわと、まっ白な妙なところで?」
カムカム「今は、名前当てをしてるんです。3回で蝶の女王様の名前を当てないと、僕の負け、僕、女王様のものになっちゃうんです。締め切りは、オーロラが出てから消えるまでになんです。」
おひょう「誰か、女王様の名前を知ってるか?」
もく「蝶の名前といえば、モンシロチョウ。」
つ猫「蝶といえば、アゲハチョウでしょう。」
そう「そうかなあ、オオムラサキでしょう。」
おひょう「そうじゃなくて、鈴木和子みたいな名前のことじゃ。」
つ猫「そりゃあ、わからんわ。」
そう「そう、そう。」
おひょう「蝶の女王さまは、キラキラのピカピカで、美しいんじゃ・・」
もく「うーん、わからんねえ。」
そう「そう、そう。」
そうこうしているうちに、女王様の言葉通りだんだん暗くなり夜になりました。
空ではない高い高い天井に星のようにキラキラ瞬く星のような物が現れました。
月はありませんが、本物の夜空のように見えました。
そうなると、考える気がしなくなって知らぬ間にぐっすり眠ってしまいました。
それぞれに、ピッタリだったフカフカの椅子は、それぞれにピッタリのベッドになりました。
ひろこさんは、目を閉じるその前に青い星が“おやすみ”と瞬いたような気がしました。
皆すっかり眠りにつきました。
夜中を過ぎたころです誰かさんのいびきがグーグー始まりました。
いびきは、だんだん大きくなっていきました。
そうしてついには、一人を残して全員目を覚ましました。
もく「ああ、夢から覚めてもまだ夢の中じゃ。夢の中でも、親父のいびきは大きいなあ。皆さんご迷惑をおかけいたします。ごめんなさいね。」
そう「グオーグオーッガガガガ・・はっ。おや、わしのいびきか、ごめん、ごめん。おやおや、夢から覚めてもまた夢じゃ。申し訳ない。忘れておりました、あんまり気持ちよく眠れたもんで・・」
もく君は、なにやらゴソゴソ、取り出し始めました。そうして、それを配り始めました。
もく「これ、スーパー耳栓です。どうぞお使いください。こんなところで、まさか夢の中で使うことになろうとは、ほんと夢にも思っておりませんでした。わが有りん庵家の男どもは代々何でかわかりませんが非常に、いびきがうるさいのです。そこで、親父と一緒に一生懸命考えに考えて、実験に実験をかさねて、ついに実用いたしました、このスーパー耳栓どうぞ、お耳にフィットさせてください。夢の中ではございますが、こころおきなくぐっすりとお眠りください。」
よくよく考えると、眠っているような場合ではないのですが、全員スーパー耳栓をして、続きの眠りにつきました。その中で、そうさん、もく君は豪快にゴーゴーガーガー眠りました。もちろん、スーパー耳栓のおかげでグッスリ眠ることが出来たのです。

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