黒蝶人“あっ、女王様に聞こえたみたい、女王様がやってくる・・”
この言葉を残して。蝶の歌い手の気配は消えました。
サチコ“女王様が来るんだって・・今、勘が働かないみたいで、わからないわ・・”
おひょう“占い師が、これじゃあ、どうしたらええんじゃ?”
ひろこ“とにかく落ち着きましょう”
カムカム“それにしても、蝶さん可愛そう、歌えるようになると良いのにね”
4人はテレパシーで、おしゃべりします。
突然、流れていたメロディーが変わりました。それまでとはうって変わって、力強い調子です。
ドームの空間が大きくゆがみました。そしてそこに光が集まります。
白い光が集まって羽ばたいていました。
カムカム“蝶の女王様じゃ”
どうやら、今までそこにいた、蝶の歌い手は、床の小さなシミになって張り付いたようでした。
大きく優雅なキラキラは、ドームをゆっくり旋回しています。
おひょう「こりゃまたきれいな蝶々じゃなあキラキラじゃ。」
この言葉に気を良くしたのか、大きな光る蝶は下へ降りてきました。
大きな羽は小さくたたまれ、さっきの黒い蝶のように人型になりました。
さすが女王様、というだけあって美しさにも威厳があります。
キラキラしているのは、いろいろな形の宝石がピッタリと体に張り付いているからでした、その宝石がキラキラするのにあわせてそれぞれに美しい音を奏でています。
キラキラ輝きながら澄んだ虫の音のような音がさざ波のように次から次に押し寄せてきます。
あまりにキラキラしているため美しいであろうはずの顔も表情も良く分かりません。
蝶の女王「そこなるもの!ここに居た黒い蝶を歌わせてはならんぞ!」
おひょう「はいはい」
ひろこ「私は、ひろこと申します。あなた様が蝶の女王様ですか?」
蝶の女王「そうじゃ。」
カムカム「女王様は大変美しいですね、女王様はお歌もお上手なんでしょ?」
蝶の女王「そうじゃ。しかし、黒い蝶のほうが上手じゃ。」
カムカム「あーあーでも、歌えないんですよねえ、黒い蝶さんは・・」
蝶の女王「そうじゃ。」
その時、黒い蝶からカムカムにテレパシーが送られてきました。
黒蝶人“女王様の名前を当てたら、望みをかなえてくれる”
カムカムは、そのテレパシーにつられて
カムカム「僕が女王様の名前を当てたら、なんでも望みをかなえてくれる?」
その言葉を聞くと蝶の女王様はコロコロと華やかに笑い崩れました。
するとドームの中は光であふれ、目を開けていられないほどキラリキラリ、そこら中がキラキラであふれました。その光のせいか、黒い蝶の小さなシミは、跡形もなくなりました。
おひょう「おいおい、カムカムそりゃなんじゃ?」
蝶の女王「ほほほほほ、どこからそのような知識を得たものやら。おチビちゃん、あのひろこさんの、お仲間なんじゃな。ひろこさんぐらい冒険をしていたら、いろいろと物知りになるものじゃ。そのようなことを知る機会があったのじゃな。よろしい。当ててみなさい。ほほほ。もちろん、ルールも存じておるな。」
ひろこ「あの、あの、ところで、そのルールというのはなんなのでしょう?」
蝶の女王「おや、ひろこさんが、知らぬのか?私は、耳が良いので多くのことを知っておるぞ、もちろんすべてを知っているわけではないが・・おチビちゃんが、カムカムで、そこの土人形が、おひょうであろう。私の名前を言い当てれば、何でも望みをかなえてやろう。何でもじゃ。いったい何をお望みかな?おチビちゃん?大王様にでもなりたいのかい?言うてみよ!」
カムカム「へ?あの、あの、あの黒い蝶さんが歌えるようにしてあげてください。」
それを聞くと、女王様の顔が変わりました、よく見えないでキラキラ輝いていた女王様が、暗く鈍い光になったのです。そして流れるメロディーも口調も恐ろしいものに変わりました。
蝶の女王「何を申すのか?そのようなこと?まあ、約束じゃからなあ・・」
サチコさんは、ひろこさんに話をしていました。
サチコ「なんか、こう、これってよろしくないわいねえ・・でも、なんでかよくわからないわ・・勘がぜんぜんさえないの・・」
ひろこ「占い師の勘ね・・だめなのね、でも、どうも良くない感じね・・」
蝶の女王「仕方がない。私の名前を言い当ててみよ。」
カムカム「えーっと、えーっと・・」
ひろこ「女王様。」
蝶の女王「なんじゃ。」
ひろこ「今少しお時間をくださいませ。」
蝶の女王「よかろう。私がここから去ると夜が来る。次に、オーロラが出て、朝になる。それが合図じゃ。オーロラが消えるまでに、私の名前を言い当てよ。チャンスは3度。言い当てれば、望みをかなえよう、はずせば、カムカムおぬしは、私のモノとなる。よいな。」
そう言うと蝶の女王は、先ほどのゆがんだ空間に姿を消したのです。
おひょう「消えたで。なんじゃ。カムカムは、私のモノって、どーゆうことじゃ?」
カムカム「なんじゃ?それ?」
ひろこ「ねえ、かむかむ?なんでまた女王様の名前を言い当てるって?」
カムカム「黒蝶さんが、テレパシーでなんかそう言うてから、な。な。」
ひろこ「で、黒蝶さん、なんて?」
カムカム「なんてって?なんも。それだけ。」
ひろこ「じゃあ、女王様の名前は?」
カムカム「しらん。」
おひょう「へー、そうか」
サチコ“なんか、ようわからんけど、テレパシーで話しましょ”
おひょう“なあなあ、カムカム、黒蝶って変なやつじゃなあ”
カムカム“女王様も変わっとるで、カムカムは、私のモノって・・どーいうことじゃろう?”
ひろこ“だから、ルールだって・・カムカム、名前をあてられないと、バツがあるのよ、それが女王様のモノになるってことじゃないかしら?”
カムカム“えーそんなー名前知らんわ!”
サチコ“黒蝶に、だまされた?”
カムカム“でも、誰だって、歌ぐらい歌いたいに決まとるわ”
ひろこ“とにかく、女王様の名前ねえ”
カムカム“おーい、おーい、黒蝶さーん!名前はなんていうのー女王様の名前ー!!”
おひょう“なあなあ、サチコさん占いで名前わからん?”
サチコ“はあー今日はダメ・・ムリ”
ひろこ“困ったわ・・”

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